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byebyeblues TOKYO(バイバイブルース トウキョウ)/丸の内

シチリア島の海辺の街モンデッロにある星付きイタリアン「byebyeblues」の東京店。日本初上陸で、現地の味覚や雰囲気をそのまま再現することを目指し「イタリアと時差のないリストランテ」を標榜しています。日本での運営はSALONEグループが手がけているようです。
丸の内の商業ビル「東京ビルTOKIA」の1階に入居しており、何やら商売の気配を感じます(写真は一休公式ページより)。ちなみにSALONEグループの統括料理長である樋口敬洋シェフがイタリア修業の第一歩として「bye bye blues」を選んだことが、今日のパートナーシップの種子となっているようです。
アルコールはバリ高く選択肢も少ない。10年ほど前から急速に高級化を進め始めた同グループらしい姿勢と言えるでしょう。ランチであっても絶対アルコール注文しろよ的な圧が凄まじいです。ゆっくり食事を楽しみたい客には少々息苦しい空間かもしれません。
新玉ねぎのスープ。春の訪れを告げる甘みとみずみずしさを凝縮した一杯。とろりとしたテクスチャーとともに、新玉ねぎ特有の軽やかで上品な香りが鼻を抜けます。お皿もかわちいのですが、添えられるグリッシーニが粉粉のボロボロですげえ食べづらく、テーブルクロスを散らかしてしまうのでキマG。
アミューズ的なひと皿。いずれも悪くないのですが、平日限定のクイックパスタランチで提供するには不似合いに感じました。こういうのはワインをたっぷり飲む週末ランチやディナーで用意して欲しい。平日限定のクイックパスタランチであれば山盛りのサラダとかのほうが嬉しい。
自家製天然酵母のパンはシチリア産のフレッシュなオリーブオイルと共に楽しみます。美味しいのですが、このひとかけらだけというのは寂しい。パンぐらいもっとジャンジャン持ってきて欲しいなあ。
パスタは角ばった断面が特徴の太打ちパスタ「トンナテッリ」。製麺業界の雄「浅草開化楼」と共同開発したものであり、生パスタのモチモチ感と乾燥パスタのような歯切れの良さが両立しています。それにグリンピースの弾けるような甘みとに菜の花の心地よい苦みが絡みつき、立体的な奥行きを感じさせる味覚です。
デザートはティラミスとのことですが、アレンジし過ぎで何か別の食べ物になっています。リコッタや三河みりんを用いるのは興味深いですが、「これは果たしてティラミスなのか?」と常に脳内にハテナマークが浮かんでいた。
お茶菓子と紅茶でフィニッシュ。ごちそうさまでした。コース料理は3,500円なのですが、スパークリングワイン1杯と税やサービス料を加えると7千円近くを要しました。うーん、これは割高だなあ。サービスや料理は良いのですが、純粋に高い。家賃が高くつくのはもちろん、姉妹店とするライセンス料なども発生しているのかもしれません。あくまでコンセプトに対してお金を払いに行くお店だと覚悟して訪れましょう。

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Cheval(シュヴァル)/大伝馬町

銀座「THIERRY MARX(ティエリー マルクス)」で総料理長として活躍した小泉敦子シェフが大伝馬町に「Cheval(シュヴァル)」を開業。店名はフランス語で「馬」を意味し、この地名の由来に対する直接的なオマージュなのかもしれません。ちなみに最寄り駅は小伝馬町駅です。
店内はL字型のカウンター8席を主役とした空間構成であり、落ち着いた内装が洗練された大人の空間を演出しています(写真は「BRUTUS:グルマン温故知新」より)。入口横にテーブル席も置かれていましたが、ワンオペでもあるので、あまり使われていないように見えました。
小泉敦子シェフは都内の名店で経験を積んだ後、ボルドーの星付きレストランを経て「マンダリン オリエンタル パリ」でスーシェフを務め、帰国後は銀座「THIERRY MARX(ティエリー マルクス)」で総料理長として厨房を預かりました。

ワインはフランス産のものが満遍なく取り揃えられている印象で、グラスワインの用意もあります。
まずは「ひとくちパテとチョリソー」。着席直後のとりあえずのひと品として最適であり、シャンパーニュと共に胃袋を開く役割を担います。「ひとくち」という言葉からは想像できないほど肉の旨みと脂の甘みが層を成して押し寄せる。内臓にスイッチが入る「ひとくち」です。
パンが美味しい。大きな気泡と力強い焼き色が特長的で、皮はバリバリにハードな一方、内部はは水分をたっぷりと抱き込んでおり、しっとりと吸い付くようにモチモチします。噛み締めると程よく酸味が感じられ、料理の油脂を上手く中和し口の中をリセットしてくれます。
聖護院カブのポタージュとカニのサラダ。カブ特有の土の香りを纏わせつつ、ミルクのようなクリーミーさと清廉な甘みを楽しみます。トップに置かれたズワイガニには塩気と旨みが凝縮されており、スープの甘みをより一層引き立てます。
金目鯛の鱗焼き。パリパリと音を立てるほど香ばしく焼き上げられた鱗の食感が心地よく、そのクリスピーな表面の下にはふっくらと蒸し焼きにされた身があり、溢れ出す脂の甘みが口いっぱいに広がります。合わせるソースは王道のヴァン・ブランであり、金目鯛の強い脂をしっかりと受け止めエレガントな余韻へと昇華させます。クタクタになったネギ(?)の甘味もお洒落な味わいです。
メインはマグレ鴨。分厚い脂の層と赤身の力強さが特長的で、断面は艶やかなロゼ色に輝き、ナイフを入れるだけで肉質の弾力が指に伝わります。皮目はカリッと香ばしく、赤身からは鉄分を含んだ野性味あふれる肉汁が零れ落ちる。特筆すべきは脂の甘みで、しつこさがなくナッツのようなコクを感じさせます。赤ワインのために存在するような肉料理でした。
深川リゾット。土地へのリスペクトを感じさせる〆のひと品で、深川の名が示す通り貝とそのエキスをリゾットとして上手く活かしています。どこか和食を思わせる安らかな味覚であり、胃が落ち着く美味しさです。ちなみにシェフの出身地もこの近辺であるそうで、その文脈が料理に説得力を与えています。
デザートはクレームブリュレをチョイス。 表面のキャラメルを割った瞬間のほろ苦い香ばしさが堪らない。その下には濃厚なカスタードクリームが隠れていますが単なるバニラ味ではなく、ジャスミン茶葉の煮出しによって華やかな香りと僅かな渋みが加わっています。甘いだけで終わらせない、食事の余韻を美しく締めくくる計算されたひと皿でした。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり2万円強。料理の美味しさは当然として、小料理屋のようにアラカルトで好きなものを自由自在に注文できるのが良いですね。シェフのバックグランドは厳格な大箱でありながら自身の店舗では日常を志向しているのが興味深い。近所にあれば月に数回は訪れたくなるような、居心地の良いフランス料理店でした。

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日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。

Peace(ピース)/三越前

ミシュラン1ツ星フレンチ「La Paix(ラペ)」のオーナー・松本一平シェフが手がける新業態「Peace(ピース)」。カテゴリとしてはイタリア料理ですが、フレンチや和の要素を融合させた独自の料理が注目を集めています。日本橋室町エリアに位置し、三越前駅から徒歩3分と良い立地です。
店内は高級感とカジュアルさが調和しており、深みのあるダークブラウンの木材がふんだんに使われています(写真は公式ウェブサイトより)。キッチンが客席からよく見えるオープンな造りになっており、調理の音や香り、料理人の動きがダイレクトに伝わり、食事への期待感を高めます。
ワインは「La Paix(ラペ)」のそれを引き継いでいるのか、そのほとんどがフランス産のものでした。1万円前後のボトルが多く、同価格帯でのペアリングなども提案してくれます。
アンティパストミストとして生ハムのブルスケッタ・ワカサギのカルピオーネ・ゼッポリーニ・蟹のジュレとカリフラワーのムース。生ハムの凝縮された旨味と塩気がクリスピーなパンと調和するブルスケッタに続き、南蛮漬け風のワカサギが心地よい酸味で食欲を刺激します。
脂の乗った鯖をメークインと合わせます。鋭角的な酸味が特長的で、鯖特有のオイリーな口当たりを中和します。きめ細やかでねっとりとした甘みを持つジャガイモが、鯖の強い個性を優しく受け止め、酸味・脂・甘みのトライアングルが成立します。
「折戸ナス」を用いたひと品。加熱することでトロリとクリーミーに仕上がり、そこにカラブリア州の唐辛子入りサラミペースト「ンドゥイヤ」を合わせます。刺激的な辛味と豚肉のコクが、ナスの甘みをより一層際立たせ、シラスの軽やかな塩気が味覚のロードバランサ―として機能します。
シャラティエッリに香箱蟹と白子を合わせました。ナポリ発祥の太麺であり、うどんにも似た強いコシとモチモチ感が、重厚なソースをしっかりと受け止めます。ベースとなるチャウダーソースは、蟹の外子や内子、味噌から溶け出した濃厚なコクが支配的で、そこにクリーミーな白子が溶け込み、痛風鍋ならぬ「痛風パスタ」とも言える背徳的な旨味に満ちています。
パンからは天然酵母由来のふくよかで少し酸味を帯びた香りが感じられ、料理のソースを拭う脇役としてだけでなく、単体でも噛み締めがいのあるパンです。口の中をリセットしつつ、食事全体の満足度を底上げしてくれるような、力強くも優しい存在感があります。
スミイカに蓮根まんじゅう。パツンと弾けるような歯切れの良さと上品な甘みを持つスミイカ。そのクリアな味わいに対し、蓮根まんじゅう特有のねっとり、もっちりとした粘性のある食感がコントラストを生み出します。蓮根の土っぽい風味と甘みが、イカの淡白な旨味に深みを与え、噛みしめるごとに異なるテクスチャーが口の中で混ざり合います。
香箱蟹と白子を再登板。先はソースを纏うパスタでしたが、こちらはお米のひと粒ひと粒に魚介のエキスを吸い込ませた凝縮の料理とアプローチが異なる。同じ食材を使いながらも、テクスチャーと香りの立ち方の違いを楽しむことができる構成です。
メインディッシュは、北海道の冷涼な気候でハーブを食べて育った「十勝ハーブ牛」。肩ロース部位特有の程よい噛み応えがあり、噛むほどに赤身の強い旨味と、ハーブ由来の軽やかで臭みのない脂の甘みが広がります。添えられた肉厚のシイタケはアワビのような弾力があり、牛の旨味との相乗効果が見事です。
コースの締めくくりは林檎のカルツォーネ(包み焼きピザ)。中には甘酸っぱく煮詰められた林檎が顔をのぞかせ、そこに濃厚なミルク感のあるソフトクリームを絡めていただきます。ソフトクリームは塩やオリーブオイルを用いて味変してもOK。
ハーブティーでフィニッシュ。ごちそうさまでした。

以上のコースが15,400円で、ワインを含めると支払いは1人3万円に達しました。イタリアンとしては強気の価格設定ですが、パスタを軸とした王道のスタイルではないため一般的な「イタリアン」を求めて訪れると肩透かしを食うかもしれません。

また、ぽいことを色々と試みてはいますが突き抜けた何かは無く、美味しくはあるものの来週には忘れてしまいそうな料理ばかりなのが気がかりです。価格を正当化するだけの圧倒的なスペシャリテの爆誕が期待されます。おつかれさまでした。

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ブラッスリー ギョラン (Brasserie Gyoran)/八丁堀

八丁堀の「ブラッスリー ギョラン (Brasserie Gyoran)」。ジビエが自慢のフランス料理店であり、本場のブラッスリーを思わせる深紅の外観が目印です。店名につき、元々は魚藍坂で営業していたそうで、その響きを「ギョラン」として引き継いでいるようです。食べログでは百名店に選出。
店内もやはり本場のブラッスリーを彷彿とさせる内装。空間を引き締める深い赤色の腰壁と、ダークウッドの家具がクラシックな雰囲気を醸成しています(写真は食べログ公式ページより)。

羽立昌史シェフはフランスとベルギーの各所で約6年間にわたり腕を磨きました。帰国後は「AUX BACCHANALES 」や「オザミグループ」で活躍したのち、2013年に「BISTRO GYORAN」を開業。ジビエが自慢と前述しましたが、シェフ自身も狩猟免許を持っているそうです。
ワインの値付けは良心的で、ボトルのワインは6千円台から、グラスやカラフェでの提供品も幅広く用意されており、濃いめの骨太料理に合わせてガブガブ飲むにピッタリです。
アミューズはインドのスナック「パニプリ」。パリッと軽快に砕ける薄い球状の生地の中には鹿肉の旨味が凝縮されたクリーミーで濃厚なリエットが詰まっています。添えられた野菜のマリネの爽やかな酸味とシャキシャキとした食感と共に軽快な幕開けです。
私は前菜にオマール海老のテリーヌを選択。上質なオマールの身を丁寧にすりつぶし滑らかなパテ状に仕上げており、甲殻類特有の甘みと旨味が口の中に広がります。オマールの身そのものも含まれており、プリプリとした歯応えとの対比が心地よい。添えられたソルベはリンゴであり、そのシャープな酸味が海老の海洋的な深みを引き立てます。
連れはスープドポワソン。キンキとアナゴを磨り潰した濃厚なスープであり、ひとくち味見させて頂きましたが、キンキのコク深い甘みとアナゴの繊細な旨味が融合しており、そのトロリとした口当たりと共に重厚なひと皿です。量もたっぷりだ。
自家製のパンは素朴なものですが、前後の濃厚な料理と合わせるにはこれぐらいシンプルなものがちょうど良い。日本人がゴハンにうるさいように、フランスで長く過ごした料理人はパンにまで抜かりがありません。
メインは新潟産のツキノワグマをチョイス。成獣の内臓など激重な料理とは異なり、仔熊のロースなので臭みや脂身は少なく赤身の風味をストレートに楽しむことができます。ゴリゴリとタフな噛み応えであり、濃厚な赤ワインと合わせて食べるにピッタリだ。
デザートはババ。ふんわりしたスポンジがラム酒の風味を纏い、しっとりとした甘さが基調となっています。サクランボのコンポートが山ほど添えられており、野性的な酸味とジューシーな果汁が余白を彩る。加えてイチゴのソルベが添えられることで、冷たいクリーミーさと酸味がコントラストを生み出しており、軽やかながら複雑な味覚です。
締めくくりはマカロンに紅茶。ごちそうさまでした。以上を食べ、そこそこ飲んでお会計はひとりあたり1.6万円。質実剛健なフランス料理をたっぷり食べてこの支払金額はリーズナブル。何より空間を埋めるゲストの雰囲気がいいですね。今夜は旨いもんをガッツリ食べるぞという決意めいたものがひしひしと感じられ、港区あたりの写真だけ撮って満足するアッパラパーとは面構えが違う。平日ランチのラインナップはよりカジュアルでお値打ちなようなので、次回はお昼にお邪魔してみたいと思います。

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日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。