なるとや/栄(名古屋)

栄は東急ホテルの裏手にある「なるとや」。食べログでは3.72とラーメン屋としては大健闘しており、百名店にも選出されています。徳川町の名店「如水」からの独立組。
店内は結構広く15席ぐらいはありそうです。壁側には待ち用の座席も用意されており、タイミングによっては待ち行列が発生するそうです。
看板メニューの「なるとやらーめん」を注文。いわゆる全部のせラーメンです。また、当店の自慢のフレーバーは「塩」であり、それも澄んだスープではなくかなりコッテリと濁っています。魚介の風味も複雑に活きており、いわゆる「塩らーめん」に比べると強度がある。
麺は細くツルっとムニュっとした食感。硬麺太麺原理主義者の私ではありますが、このスープにはこの麺くらいがちょうど良いでしょう。チャーシューも脂と身とのバランスが良く量も多い。味玉の半熟度合いも完璧でした。
美味しかった。「塩らーめん」といいつつかなり意表の突いた味わいで私好み。女性ひとり客も多く、固定客に愛されているお店に感じました。次回は「太麺・濃いめ」と素敵に煽ってくる「魚介黒醤油らーめん」を注文してみよう。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
仕事の都合で年間名古屋に200泊していたことがあり、その間は常に外食でした。中でも印象的なお店をまとめました。

食通たちが鰻の魅力とこだわりを語り尽くす一冊。よしもとばなな、沢木耕太郎、さくらももこ、椎名誠、村上龍、村上春樹、島田雅彦、五木寛之、遠藤周作、群ようこ、などなど最強の布陣が送るアンソロジー。

タベルナデエスパーニャフラガンテウーモ(Taberna de Espana FRAGANTE HUMO)/恵比寿

野村不動産が展開する飲食店ビル「GEMS(ジェムズ)」の5階にあるスペイン料理店。専用の窯で桜と楢2種類の薪で調理する薪火料理が自慢です。
店内は広く70席近くあるでしょうか。テーブル席が殆どで、カウンター席もいくつかあり使い勝手が良さそう。今回はランチでお邪魔しましたが、ディナータイムはピンチョス(小皿料理)の用意もあるそうです。
ランチセットにはサラダバーが付いてくるのですが、これが微妙。素材が大したことないのは値段を考えれば仕方ないですが、マスクも手袋もつけずに盛大におしゃべりしながら皿に盛りつけていく客が殆どであり、新しい様式には適さない設計です。店員はこのあたりきちんと取り締まって欲しいのだけれど。
私は「チキングリル」を注文。1,100円で200グラムもあります。しかしながらクオリティは値段相応であり、1,100円で200グラムのランチセットの味がしました。薄切りのジャガイモは冷え冷えの作り置きであり、バゲットに至っては切ってトマトをのせただけで味もへったくれもありません。
恵比寿という地でサラダバーまで付いて1,100円のランチというのは悪くない価格設定ですが、見方を変えればただ安いだけであり、ちょっとカッコいいファミレスでした。夜だともうちょっと印象が違うのかな。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
恵比寿も十番に負けず劣らず良い街ですよね。1度住んで、片っ端から食べ歩いてみたいなあ。よそ者ながら印象に残ったお店は下記の通り。
恵比寿を中心に話題店が整理されています。Kindleだとポイントがついて実質500円ちょい。それにしては圧倒的な情報量。スマホやタブレットに忍ばせておくと出先で役立ちます。

AKAI(アカイ)/宮島口(広島)

広島は廿日市市、宮島口駅から徒歩10分ほどの場所にある「AKAI(アカイ)」。築80年の古民家をリノベーションしたフランス料理~イノベーティブ系のレストラン。
店内はオープンキッチンでカウンターのみ8席。このような誂えにした理由を「0.1秒でも速く、出来たお料理をご提供することを考えた結果です」と何かのインタビューで答えていました。

赤井顕治シェフはイタリアンレストランやワインバーで経験を積んだ後に渡仏。帰国後、日本の料理コンテスト「RED U-35」で優勝し、その数年後に当店を開業し故郷に錦を飾りました。
ワインはお料理に合わせて全てシェフにお任せ。特に値段は聞きませんでしたが、最終支払金額から逆算するに、4杯のペアリングで7~8千円ぐらいでしょうか。出てきたワインを考えるとちょっと高いかなあ。
ワタリガニwithもものすけ。「もものすけ」というのは最近話題のサラダカブ。旨味たっぷりのカニと共に素敵な走り出しです。
ウマヅラハギを揚げたものに、そのキモのペースト。魚の身よりもキモのペーストのほうが目立って美味しく、身が付け合わせのようになっています。
トラフグの白子の炭火焼はカブのお粥と共に。ねっとりとクリーミーで美味。なのですが、皿出しのテンポはめちゃくちゃ遅いですね。シェフひとりで調理とワインのサーブを行っており、完全に回っていません。そのくせ無駄口も多く、トークの間は作業が止まるタイプであり、振り返ってみればそれほど皿数が多いわけでもないのに3時間を要していました。「0.1秒でも速く、出来たお料理をご提供することを考えた結果です」とは何だったのか。
お魚はキンキ。トロっとした口当たりにふんわりとした舌ざわり。本体は優しい味なので、もうちょっとメリハリのきいた調味があっても良かったかもしれません。
ヒグマの肩肉のハンバーグ。野性味溢れる味わいであり、噛み応えを含めて力強い味覚です。バリっとした赤ワインによく合いました。
ヒラスズキはイマイチ。お酢を用いた調味は興味深いのですが、肝心の魚の調理に混乱をきたしており、ゴワゴワでカスカスな食感が記憶に残りました。また、悪いことは重なるもので、このお料理に合わせてワインを出すことを忘れられ、身のボソボソとした舌ざわりが切れ味の悪い刃物のように口の中に残ります。
鴨もお料理としてはとても美味しいのですが、インターバルに20分も要するのはいかがなものか。味が良くてもテンポが悪ければ美味しさは半減である。
〆のお食事に羊肉のカレー。カレーよりも羊肉の主張が強く、羊肉のスパイス風味、ライス添えといった印象。レモン系のさっぱりとした酸味が心地よい。
デザートは牛乳アイス。美味しいのですが、もう少しスピーディーに。どうも当店は料理を出したあとに客とおしゃべりし、ゲストが一通り食べ終わってからようやく次の料理に取り掛かる傾向があります。
プリンも既に焼いてあるものを盛り付けるだけなのにノンビリとしています。あとひとり手伝いもいるのですが、その方はひたすら洗い物ばかりをしているようで、どうにもコンビネーションがかみ合っていません。
コーヒーですら淹れるのが遅い。味が良いだけに勿体ない。でもあんまりシェフは気にしてるふうでもないんだよなあ。ここ数年お邪魔したレストランの中で、最強レベルの鋼の心を持っている料理人に感じました。
お会計はひとりあたり2.3万円強。料理とワインの写真だけザっと見れば悪くない費用対効果なだけに、食事のリズムが悪すぎであることがまことに口惜しい。もう少し皿数を絞って、その分のポーションは大きくして、サービスもしくは料理人をひとり増やしてスムーズに流れるようにすればかなり印象が違うと思うのだけれど。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。

鮨 栞庵 やましろ/恵比寿

銀座のミシュラン星付き鮨屋「栞庵 やましろ」が恵比寿に出店。「若い方にも気軽に利用してほしい」という想いが込められ、銀座よりも客単価をずっと控えめにしてのチャレンジです。
鮨屋としてはかなり広く、カウンターだけで十数席、個室も入れれば20席以上はありそうです。内装はブラック主体でスタイリッシュな印象。なるほど若者向けかもしれません。

「あたし最近ぜんぜん寝てないなぁ。でもショートスリーパーだから大丈夫なんですけどねっ!」カウンター右隣のカップルから気をひく話題が飛び込んできました。そっと見遣ると演説するのは30過ぎの女。社会人2~3年目ならまだしも、その年になって寝てない自慢は危険である。
先付にアンキモ。コッテリとクリーミーながら調味はサッパリとしており、さあ食べるぞという気にさせてくれる一品です。

「へえー、そうなんだぁ、すごいねえ」と頷くもう片割れの男。見たところ40代後半。これって一体どういう関係なんだろう。半タメ語ながら親密さは感じられず、かといって水商売風でもありません。
前菜3種。クリームチーズにマグロの酒盗、タコを煮たもの、おひたし。マグロの酒盗がズルい味。その名の通り酒が進む味わいです。
にぎりに入ります。まずはキンメダイ。肉厚で食べ応えのある1番バッターでした。

「ホラ、あたしって、アメリカとフランスとオーストラリアに語学留学していたじゃないですか?だからシンガポール人の英語は全然ダメ。『シングリッシュ』って言うぐらいでほんと何言ってるかわかんない。インドとかフィリピンとか他のアジアの英語はまだマシだけど」どうやら彼女は自分がアジア人であり、日本人の英語を話していることを忘れているようです。
続いてシメサバ。そういえば、シャリは茶色に近い濃厚な色合いなのに、見た目ほど味は強くなく寧ろ物足りないぐらいです。ガリで塩分と酢を補給。
コウイカ。淡白なタネであるため、シャリの味気無さが余計に目立ちました。うーん、ちょっとこのお店のシャリは私のタイプではないようです。
ホタテは細かく包丁が入っており、肉厚ながら爽快な喉越し。飲めるホタテです。

「だからね、あたしはエンジニアとして生きていくか、MBAを取るか、マーケティングで顧客を増やすかの、どの道に進もうか迷っているわけなんですよ」ちょっと待て、先のシングリッシュの話題から数分しか経っていないぞ。一体どういう経緯でこのような話題へと遷移できたのか。これがワープなのか。
私の困惑などつゆ知らず、クリストファー・ノーラン系の女子は続けます。「弁護士の試験なんていつでも合格できる自信はあるんだけど、ほら、弁護士になることがゴールじゃないでしょ?」世の司法試験受験者よ、蜂起せよ。リーダーは小室圭だ。
中トロが旨い。かなりの肉厚で、口に含むとジュワっと溶けていき、酸味と香りが広がります。

「国連でも働きたいと思ってるんです。あたし、ジェトロにもパイプがあって、フェミニストの活動も支援していきたい。それに、児童文学にもチャレンジしたい」「へえー、そうなんだぁ、すごいねえ」さっきから気になってたけど、お前ぜったい話聞いてないだろ。
ウニとイクラの小丼。キャビアや金箔がトッピングされ見た目は派手ですが、イクラそのものの味が薄く、全体としてぼんやりとした印象です。

「せっかく個人事業主になったから、不動産のマーケティングに携わりたいと思ってるんですど、実はインドネシアのコーヒー豆の輸入にも興味があって。ホラ、在庫してもすぐに悪くなるものじゃないでしょ?ダメになりそうだったらアマゾンに出店すればいいし」「へえー、そうなんだぁ、すごいねえ」
茶碗蒸しには蟹の餡が流し込まれており、万人受けする味わいです。

「とにかく、あたしにはやりたいことが山ほどあって、だから寝ているヒマなんてないんですよね。寝てるのは死んでいるのと同じだし。あ、あたしこれからキックボクシングのジムに行かなきゃなんで、そろそろ失礼します!」「…。」この夜、彼が初めて相槌を打たなかった瞬間でした。
あなごは表面をバリっと炙り、プレーンな味わいでフィニッシュです。

何ともキャリアポルノ的であり、新刊本のタイトルの寄せ集めたような女でした。そのうちバイオ系のスタートアップをローンチするんだろうな。
巻物はカンピョウ。シャリのベクトルと同じく、カンピョウの色合いはしっかりとしているものの調味は控えめであり、アジコイメ原理主義の私にとっては少々物足りない。
ギョクはプリンのように仕上げており面白い試みなのですが、甘味や卵黄のコクに思いきりが無くあやふやに感じます。

赤出汁で〆てごちそうさまでした。

銀座本店であれば客単価数万円のところ、恵比寿であれば控えめな価格設定で楽しめるのは嬉しいですが味もそれなりであり、全般を通してどっちつかずに感じました。ランチの最安値にぎりであれば2,500円なので、まずはそちらで試してみると良いでしょう。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。

馳走 啐啄一十(ちそう そったくいと)/広島市

広島県における食べログ1位「馳走 啐啄一十(ちそう そったくいと)」。ブロンズメダルを獲得しており、ミシュランでは1ツ星を獲得。2013年の開業以来、名実ともに広島を代表する割烹料理店となりました。
店主は平野寿将シェフ。テレビ出演が多く有名人を通り越して芸能人に近いのかなと考えていたのですが、毎夜お店に立ち最前線で厨房を指揮している様に好感を持てました。というか、カッコいい。なんともセクシーなおっちゃんです。
店内はカウンター席が十数席に個室。テレビで見たことのある人がまさに目の前で躍動しているので、ここは是非ともカウンター席に着きましょう。

お酒は1杯千円前後であり、この手の和食店としては良心的。女将が日本酒に詳しいようで、お料理に合わせた地酒を提案してくれるのも楽しい。
最初に朝掘りのタケノコ。清純でクリアな味わい。白眉はスープ。料理に合わせて複数種の出汁を用意しており、それを実現するために水が良い広島で開業したとの拘りようです。
いきなり「間人(たいざ) ガニ」が登場。丹後のブランド蟹であり、丹後町の間人港で水揚げされた松葉蟹です。脚の美味しさはもちろんのこと、外子(そとこ)や内子(うちこ)の深みが大迫半端ない。
海老芋にタラの白子。白いハンバーグのようにガツンの炙りあげ、これまた刺身かよと驚くサイズの自家製カラスミでフィニッシュ。これはどう考えたって日本酒ですねえ。これだけで1合いけてしまう完成された酒の肴でした。
特大のハマグリに思わず目がいきますが、目玉はお出汁。なるほど先のタケノコとは全く異なるスープの味わいであり、フランス料理におけるソースのようにお皿ごとにハッキリと風味が変遷します。
お造りは焼津の人気鮮魚店「サスエ前田魚店」より。放血神経締めやら熟成やら何やらで手が込んでいます。ヒラメのエンガワのコクとシロアマダイの旨味の強さが心に残りました。
カツオにサワラ。熟成した魚はグデグデのジュクジュクになって全部同じ味に感じることが多く私はそれほど好まないのですが、このカツオとサワラは別格。きちんと魚の個性を残しつつ熟成によるコクを重ねていきます。
キンメダイ。やはり適度な熟成であり、しっとりとした旨味です。
先の白子を今度は生で。冷静に考えるとすげえグロい食材ですが、これが絶品とも言うべき味わいなのが罪深い。
お造りのフィニッシュは大間のマグロの赤身と背トロ。様々な産地の魚を様々な熟成で選り取り見取り。見事なお造りの構成でした。
焼き物は黒むつ。山椒で風味をつけて焼いており間違いなく美味しいのですが、やはり熟成お造りオールスターズの輝きの陰に隠れてしまった感は否めません。
大根やアワビダケを炊いていきます。またまた違ったお出汁の味わいであり、スープの1滴も残すまいとスパチュラが欲しくなりました。
メインディッシュは榊山牛をローストビーフ風に。「榊山牛(さかきやまぎゅう)」とは広島県内で特別に育てられた特別な和牛であり、生産数が少なく幻の牛とも呼ばれているそうです。という蘊蓄はさておき、和牛特有の嫌なクドさはなくサラっとした味わいであり、この局面においてもスイスイと食べることができました。実に爽やかなお肉です。
〆のお食事はイクラにトリュフに生卵という反則行為。これはどうやったって美味しいですね。ただ、せっかくお出汁が自慢なのだから、その出汁を用いた出汁茶漬けなどもあればより記憶に残ると思うのだけれど。
デザートは白ごまプリン。ゴマの風味が強く上質で甘い担々麵を食べているかのようでした。

お会計で驚き。以上を食べふたりで4合近く飲んで支払いはひとりあたり2万円を切りました。ぐわー、この費用対効果の良さは異例を通り越して異常です。東京の調子に乗った和食店であれば倍近く請求されてもおかしくな質と量。大将の客あしらいもよく、常連一見分け隔てなく気軽に言葉を交わし居心地の良さを醸成しているのも素晴らしい。

中国地方、いや日本全体を含めてもトップクラスに好きな和食店です。オススメ!

食べログ グルメブログランキング


関連記事
和食は料理ジャンルとして突出して高いです。「飲んで食べて1万円ぐらいでオススメの和食ない?」みたいなことを聞かれると、1万円で良い和食なんてありませんよ、と答えるようにしているのですが、「お前は感覚がズレている」となぜか非難されるのが心外。ほんとだから。そんな中でもバランス良く感じたお店は下記の通りです。
黒木純さんの著作。「そんなのつくれねーよ」と突っ込みたくなる奇をてらったレシピ本とは異なり、家庭で食べる、誰でも知っている「おかず」に集中特化した読み応えのある本です。トウモロコシご飯の造り方も惜しみなく公開中。彼がここにまで至るストーリーが描かれたエッセイも魅力的。