「シャネル」や「ブルガリ」「グッチ」に続いて「アルマーニ」が手掛けるレストラン「アルマーニ / リストランテ (ARMANI / RISTORANTE)」にお邪魔します。場所は銀座ど真ん中、アルマーニ銀座タワーの10階に位置します。
店内はジョルジオ・アルマーニの美意識を反映している、と思いきや、外資系企業のオフィスのような内装であり、「シャネル」や「ブルガリ」「グッチ」など他のハイブランドに比べると素っ気なく感じました(写真は公式ウェブサイトより)。また、サービスは慇懃無礼でゲストを緊張させるタイプの接客であり、面白みに欠けます。
ワインはイマイチ、というか、ワインの担当者がイマイチですね。「お料理に合わせてグラスでワインをお願いしたい」と相談しているのに、ドリンクメニューをホイっと手渡し、後は勝手に選べというスタンスです。サービスマンとして失格なのはもちろんですが、営業マンとしても役立たずであり、キーエンスなら淡々とマイクロマネジメントされているところでしょう。身のこなしにもエレガンスを感じられず、抜栓もヘタでした。
アミューズはコロッケ、モッツァレラチーズの何か、生ハムのタルト。いずれも程よく塩気があり、スパークリングワインに良く合います。
パンはかなりの種類が出てきます。中々に美味しく、また、後述しますがコース料理のボリュームが驚くほど少ないので、パンは必ず全て平らげるようにしましょう。必ずです。
前菜はヤリイカ。タルタル状に仕上げたものをトマト風味のスープと共に頂きます。見ての通りの味覚であり、イカした味がします。
お花に見立てたトルテッロ。イタリアの詰め物パスタであり、リコッタとホウレン草が詰まっています。しかしながら量は少なく妙に冷えている。ややこしい盛りつけなどせず、さっさと持ってきて欲しいものです。料理人が可哀そうだ。
メインは牛肉で、焼きっぱなしでパっとしません。また、この料理に合わせて事前に赤ワインをリクエストしていたのに、ワインの係が他所のテーブルにかかりきりで、ほとんど食べ終わる頃にようやく赤ワインが供されるという体たらく。
お口直しにアニスのグラニテ。フレッシュなキウイも添えられており、グラニテとしては実に豪華です。なのですが、連れがお手洗いに立っているというのにサービスは皿を置いてさっさと立ち去っており、その後は何のフォローもありません。当店のスタッフの多くは高級店にあまり行ったことが無く、経験に乏しい印象を受けました。
メインのデザートは見た目は美しいものの、緻密に作り込んでいるが特に美味しくは無く、味そのものはコンビニスイーツと大差ありません。
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添えられたジェラートはルバーブの風味を活かしており結構おいしい。そうそう、こんな具合でシンプルで良いのだよ。
食後にお茶菓子も出ます。当店はアフタヌーンティー営業も実施しているそうで、冒頭のアミューズもそうですが、このあたりの小さな料理のラインナップは充実しているのかもしれません。
ブランドの輝きに頼りすぎた、残念な店でした。記憶に残る料理は何ひとつ無く、量も少ない。このあと散歩がてら1時間程かけて徒歩で帰宅したのですが、家に着いた頃には既に腹が減っている始末。サービスの酷さについては既に述べた。
洋服屋がノリで料理も出しちゃっただけの店であり、この価格帯のレストランとしては極めてレベルが低いと言わざるを得ません(そういう意味で「シャネル」はスゴイ!)。三度のメシよりアルマーニ!な方であればテーマパーク的に一度ならアリかもしれませんが、料理やサービスは期待しないよう覚悟して訪れましょう。ブランドと地価と人件費を食べるお店でした。

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