THE SCENE amami spa&resort(ザ・シーン)/奄美大島

奄美空港から車で2時間、奄美最南端のまち瀬戸内町にある「THE SCENE amami spa&resort」。奄美は北部~中部にかけては沖縄本島っぽいまあこんなもんかな的風景が続きますが、南部に入ると途端に離島感が増します。
ハコそのものはスタイリッシュな校舎といった佇まいで、度を越した直方体ではありますが、駐車場かに車を停めていると係員がすっ飛んできて、そのままチェックインまでシームレスに済ますなどオペレーションのレベルはかなり高い。前夜の「伝泊 The Beachfront MIJORA」とは雲泥の差です。
ロビーは山本寛斎が総合監修を務めたそうで、真っ白で清潔な空間が続きます。1階がロビーやレストラン、2階から4階まで各階7部屋づつ全21室のスモールラグジュアリー。
すぐそばにスタッフがいるというのに、思わず「おおー」と声に出てしまう眺望。広さはそれほどでもないのですが、部屋全体がサントリーニ島のように真っ白であり、壁一面がガラス張りであるため解放感が抜群です。
家具はおろか、調度品や家電まで全て真っ白。空間使いが上手く、繰り返しにはなりますが打率よりも打っているという印象を残す部屋の広さです。
これはオーシャンビューどころかオーシャンである。目の前の芝生を抜けてビーチにアプローチする仕組みであり、冷たい泡を飲みながら水着ギャルを眺めるのもまた一興。ちなみにこの宿、どういう事情か種々のヨガプログラムが全て無料という、OL歓喜なサービスがあります。
このホテルは設計が本当に良く、お風呂からもやはり海を望むことができます。
しかしながら当館には奄美唯一の天然温泉が別棟に設けられているので、多くの宿泊客はそちらを利用することになるでしょう(写真は公式ウェブサイトより)。
部屋のバスルームに戻ります。やはり真っ白な空間で清潔。アメニティはロンドンの「アロマセラピー アソシエイツ(Aromatherapy Associates) 」で統一されています。
バーコーナーは全て無料。コーヒー紅茶はもちろんのこと、ビールやジュースなど全て込み料金です。ミネラルウォーターについては足りなければいくらでも持ってきますとのこと。
夕食の時間となったのでビーチへと向かいます。通常はホテル内レストランでイタリアンなのですが、この日は天気が良かったのでビーチサイドでのBBQをお願いすることにしました。
食材はこんな感じ。さすがに今帰仁「MAGACHABARU OKINAWA(マガチャバル)」とまでは言えませんが、食べ応えのあるラインナップです。
焼けるまでの間は館内で調理されたローストチキンで時間をつぶします。今にも出産しそうなプレゼンテーションで驚きました。先の食材に加え2人で1羽付くんだから腹パンや。
日も暮れお腹がいっぱいになってからは屋上へと向かい星空観賞(写真は公式ウェブサイトより)。丸っこいインスタ映えするベッドが並んでおり、このホテルは色々わかっているなあという印象です。
朝食はビュッフェ形式。コロナ的にマジかよと思いましたが、食べ物を盛り付ける際はマスクと手袋着用という新しい生活様式を徹底しています。その場で絞るオレンジジュースとかパッションフルーツが嬉しかったな。
満足。東京からのアクセスは極めて悪く、着いてみても海以外は何もないという中々にハードルが高い地域ではありますが、休暇に対して誠実なゲストが多く、ヘンなパリピや不倫カップルがいないのが良い。高齢者も子供もいますが、ジェネギャを超えた客側の価値観の統一が感じられるホテルでした。

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ひさ倉 (ひさくら)/奄美大島

奄美の郷土料理と言えば「鶏飯(けいはん)」。一般的には鶏肉の炊き込みご飯を想像しがちですが、奄美の鶏飯は出汁茶漬け的な料理です。400年ほど前、奄美が薩摩藩の支配下にあった頃に始まった、役人を接待するために考案された殿様料理。元祖は奄美大島北部にある「みなとや」ですが、ハコが小さく行列どころか駐車場待ちすら発生する状態。
我々も最初は「みなとや」を訪問したのですが、どう見ても無理めだったので、2番人気の「ひさ倉 (ひさくら)」へと向かいました。こちらは駐車場50台の164席とのことで、「待つことはほぼ無い」とのことです。
店内はテーブル・椅子席、畳敷き座敷、団体専用席と使い勝手抜群。オムツ替えスペースまであり、飲食店として足りないものは何もないといった仕様です。店員の挙動もシステマティック。
注文後すぐにセッティングされれる鶏飯。おひつに入った白米に鍋でチンチンに熱された鶏スープ。具材として裂いた鶏肉と錦糸卵、ネギ、紅ショウガなどなど。ライスとスープはお代わりOKで、これで千円ちょっとです。
セルフで盛り付け鶏飯が完成しました。これが、旨い。「名物に旨い物なし」とはよく言われますが、ここの鶏飯は本当に美味しい。九州のリゾートホテルの朝食ビュッフェのラインナップに載りがちな鶏飯ですが、アレとは全く別物。

とにかくスープに深みがあり、何でも自家養鶏場で2年間放し飼いにした地鶏を4〜5時間かけて煮込んでいるとのこと。「納得のいく味を出すために、鶏や野菜などの具材は全て自家生産」と意識が高い。
こちらは「とりさし」。「さつま若しゃも」という品種らしく、激しい噛み応えながらクリアな味わい。モモの部分の刺身って珍しいよなあ。キンキンに冷えているので、少しスープで温めながら食べるとより美味しい。
こちらは焼鳥。これはまあ、別に普通ですね。もちろんそれなりに美味しいのですが、鶏飯ならびに鳥刺の美味しさが圧倒的であったため霞んで見えました。
豚足の塩焼きも同様。鶏料理屋に来て豚足を注文した私の責任です。
かなり豪快に飲み食いしてお会計はひとりあたり1,500円ほど。これはやばたんまるな費用対効果ですね。あなたが仮に食べ盛りの中高生だったとしても、ライスとスープおかわり自由という仕組みで必ず満腹となるでしょう。午前中オープンの夜閉店までのノンストップ営業というのも観光客にとっても魅力的。今回の奄美旅行で最もビビビと来たお店でした。

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coyacoya(コヤコヤ)/恵比寿

恵比寿駅から徒歩10分弱の明治通りから少し入った路地にある中華料理「coyacoya(コヤコヤ)」。「アムール(AMOUR)」とかあのへんです。月に1度くらい予約を受け付ける時があって(インスタやfacebookで告知)、まさに秒で全ての枠が埋まるという人気店。
コンクリート打ちっ放し風の店内。カウンター十数席のみの小さなお店です。宮崎小弥太シェフは武藤敬司をダウンサイジングしたような風貌であり、茶目っ気たっぷりの魅力的なオッサンです。どこかのお店で修業をしたわけでなく、50代になってからそのホームパーティ力を活かして当店を開業したそうな。
生ビールは香るエール。量もたっぷりであり、この立地で600円かそこらというのは良心的な価格設定でしょう。瓶ビールも似たような価格であり、ワインもいくつかありました。
「卵だらけのポテトサラダ」。なるほど想像以上に卵だらけというか卵であり、センス溢れる盛り付けです。ハーブやナッツ、スパイスの使い方に思いきりがあって、いわゆるポテサラよりも食べ応えが強い。
よだれ鶏はしっとりとした質感で優しいタッチです。一般的にはタレの強さでガンガンに押してくる料理ですが、当店のそれは鶏肉の味そのものが強く感じました。
餃子は5個で600円。味は悪くないのですが、これはちょっと高いかなあ。すぐそこの「えびすの安兵衛」は、方向性は異なりますがあちらの費用対効果とつい比べてしまいました。
春巻き。まさに揚げたての逸品であり、トロトロの餡にたっぷりのキノコたち。パリっとした歯触りにジューシーな食感がクセになります。
子羊の麻婆豆腐。自家製の豆板醤にミンチ状のラムが印象的。スパイスはもちろんのこと肉の香りも蠱惑的であり、ピリリと辛い山椒が見事なスマッシュを決めてくれました。

飲んで食べてお会計はひとりあたり5千円強。決して安い支払金額ではありませんが、わかり易い味付けに随所で光る真似できないセンス。何よりシェフのキャラが立っており、実に楽しそうに、ゲストとワイワイおしゃべりしながら(時には歌いながら)料理をしているのが心に残りました。これぞ外食の美点である。

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恵比寿も十番に負けず劣らず良い街ですよね。1度住んで、片っ端から食べ歩いてみたいなあ。よそ者ながら印象に残ったお店は下記の通り。
恵比寿を中心に話題店が整理されています。Kindleだとポイントがついて実質500円ちょい。それにしては圧倒的な情報量。スマホやタブレットに忍ばせておくと出先で役立ちます。

冨久屋(ふくや)/富山

富山の飲み屋街から少し離れ、飲食店と住宅が綯い交ぜになったエリアにある日本料理店「冨久屋(ふくや)」。ミシュラン1ツ星。公民館というかなんというか、入り口に下足箱があるヘンテコな建物の2階にあります。
店内はカウンター席にテーブル席がいくつか。席の間隔を広めにとり仕切り板を配するなど新しい生活様式を体現するお店です。

大屋丈二シェフは東京都出身。西麻布「霞町すゑとみ」で修業し、実家の蕎麦屋の料理を担当しながら腕を磨いたのち独立。富山の食材に拘り、自ら釣りに出たりキノコを採りに行ったり熊を丸々一頭さばいたりと、未だお若いのに求道者の沼に片足を突っ込みつつあります。
生ビールは650円と安い。しかも薄はりのグラスで丁寧に丁寧に注がれ、東京のアホな居酒屋を叱りつけたくなるレベルです。その他、日本酒をいくつか頂いたのですが、いずれも1合千円前後と大変良心的な価格設定です。
手際よく通される冷製の茶碗蒸し。出汁の旨味が強く、じゅんさいのツルっとした食感と相まって、真夏の夜にピッタリの先付です。
キスの塩煮。わおー、こんなに潔い料理ってアリなんだ。しかも、それこそ絶妙な塩加減でめちゃんこ旨い。キスって、天ぷらでハフハフ熱いうちに食べきるから正直、魚としての味ってようわからんもんですが、この料理を通せばなるほどこれがキスなのかと得心する、気づきの多い1品でした。
子供のゲンコツほどにワシワシと取りまとめられた毛ガニ。これはもう、当然に美味しいですね。仄かに酸のきいた和風のジュレと共にサッパリと頂きました。1万円かそこらのコース料理でこれだけのカニが出るとは恐れ入る。
変化球でコロッケ。シンプルにジャガイモと豚肉だけでキレイに揚げられたものであり、ジャガイモの甘味がしみじみ旨い。
近海もののクジラ。富山湾って何でも獲れるんだなあ。処理も良いのか実に清澄な味わいであり、上質な馬肉を食べているかのようです。
アマダイを唐揚げに。まさに甘いタイであり、揚げているというのに生よりも軽い食後感。サクサクとあっという間に平らげてしまいました。
お椀はウナギに冬瓜。こういった形で鰻を食べるのは初めてですが、なるほど蒲焼のコッテリとした味わいとはまるで別物。変幻自在のエンターテイナーともいうべき、鰻の可能性を感じたお椀でした。
白エビとアカイカをカラスミと共に頂きます。まさに道楽といった味わいであり、日本酒が進む進む。
お刺身はウニ、ボタンエビ、マグロ、メゴチ(だっけ?)。いずれも近海ものであり、やはり1万円かそこらのコース料理でこれだけの素材を揃えられるとは、富山という土地の魅力ひいては当店の実力に他ならないでしょう。
ジューシーな水なす。良い素材をシンプルに調理し、食材そのものの魅力を引き出しています。量もたっぷり。溢れ出るナス食ったなあ感。
長芋の天ぷら。こちらもやはり素材を前面に押し出した料理でありシミジミ旨い。
アマダイのお頭焼き。お頭とかアラとか、そういうの、好きなんですよねえ。身や油、皮など魚のありとあらゆる美味しさが凝縮する部分であり、手を使いながらチュパチュパと最高の酒のツマミです。
トマトの冷製。雑味が無く和の美味なる調味が光ります。コースも終盤だというのにこのスイスイと胃袋に収まる感。
〆の炭水化物は漫画のようなオニギリ。釜でしっかりと炊いたのち、専用のおひつで水分を調整した上で握りに入るという手の込みよう。程よい塩気に海苔の香り。郷愁を誘う締めくくりでした。
デザートは水ようかん。よくこの形を保っていられるなと感心するほど、触れれば崩れてしまう食感ならびに触感です。上質な甘味に品の良い豆の香り。おいしゅうございました。
一通りを食べ、お酒をチョイチョイ飲んでお会計は1.5万円弱。わーお、ナイスな費用対効果ですねえ。東京の調子に乗った和食店であれば余裕で倍は請求されることでしょう。大将は癒し系でおっとりとした雰囲気であり、しかし料理に対する意識が高く、料理人としてかなり信用できる人物に感じました。今度は一番高いコースにしちゃおうっと。

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黒木純さんの著作。「そんなのつくれねーよ」と突っ込みたくなる奇をてらったレシピ本とは異なり、家庭で食べる、誰でも知っている「おかず」に集中特化した読み応えのある本です。トウモロコシご飯の造り方も惜しみなく公開中。彼がここにまで至るストーリーが描かれたエッセイも魅力的。