Bistro シュハリ/学芸大学

学芸大学駅から歩いて10分強、清水稲荷通り沿いにある「Bistro シュハリ」。都内のレストランで経験を重ねたシェフがフランスやイタリアの料理をベースに、日本の食材を組み合わせてアレンジしたものを提供します。
店内はキッチンに面したカウンター席が4席にテーブル席がいくつかあって、合計で20席ほどでしょうか。早い時間から地元の常連客から満席で、人気のほどが伺えます。子供連れの利用も歓迎しているところが学大っぽくていいですな。
シェフとホールのツーマンセルで忙しそうなので、我々はボトルで注文しました。ビールやグラスワインは千円を切るあたりから用意があり、都心の飲食店に比べると幾分お値段控えめ。
お通しにしてスペシャリテの「鯵のリエット」。丁寧にほぐされ滑らかな口当たりとなった鯵の身は青魚特有の風味が凝縮されており、濃厚な旨味とコクが口の中に広がります。カリッとした歯触りのパンにたっぷりと乗せれば、それだけで立派なごちそうです。
子持ちヤリイカと焼き茄子のマリネ。子持ちヤリイカはプリッとした身の柔らかい甘みが特長的。茄子のとろけるような食感と香ばしい風味がアダルトな美味しさでワインが進みます。
鳥取産イノシシのパテ・ド・カンパーニュ。ジビエならではの力強い生命力に由来する野性味あふれる濃厚な旨味と独特の香りを持ち、ゴロッとした粗挽きの肉の食感が食べ応えを与え、ひと口ごとに異なる部位の味わいが楽しめます。量もとんでもなく多く、その辺のハンバーガー屋のパティよりも迫力があります。
鎌倉ベーコンとゆで卵のシーザーサラダ。鎌倉ベーコンが全体を牽引する贅沢で満足感の高いひと品。噛みしめるほどに上質な脂の甘みと凝縮された肉の旨味、そして豊かな燻製の香りを楽しむことができます。シャキシャキとした新鮮なレタスの歯ざわりも小気味良く、まろやかなコクを持つゆで卵との相性も完璧です。
近江鴨のロースト。上質なブランド鴨に低温でじっくり火を入れており、皮は香ばしく身はしっとりジューシー。噛みしめると近江鴨特有の上品で雑味のない赤身の旨味が凝縮された肉汁と共に口の中にあふれ出します。付け合わせに季節のお野菜がたっぷり用意されるのも嬉しい。
いろいろ魚介のペペロンチーノ。魚介の旨味を余すことなく堪能できる逸品で、それぞれのエキスがパスタの1本1本に纏いつき、シンプルながらも飽きの来ない味わい。調味は控えめで和食のようにササっと体に染みわたり、食欲が食べながらにして湧いて来る。鴨ですっかり満腹なはずでしたが、スイスイと胃袋に収まっていきました。
以上を2人でシェアし、グラスワインも追加してお会計はひとりあたり8千円ほど。最高かよ。こりゃあ人気が出るわけだ。ランチの営業もあるようで、ご近所マダムで埋まる様が目に浮かぶ。近隣の社会基盤のひとつといっても差支えのない魅力的なレストランでした。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
目黒は焼鳥やトンカツ、カレーにラーメンと生活に密着した飲食店が多く、そのいずれのレベルも高い。地味ですが豊かな食生活が約束されている街です。
市や区など狭い範囲で深い情報を紹介する街ラブ本シリーズ。2015年の『目黒本』発売から約4年の年月を経て、最新版が登場!本誌は目黒に住んでいる人や働いている人に向けて、DEEPな目線で街を紹介するガイドブックです。

ここ数年で滞在した高級・有名とされているホテルを一覧化し◎〇△×と記した

年間を通じて外泊が多いので、ここ数年で滞在した高級・有名とされているホテルを一覧化しました。

◎〇△×と記していますが、これは私が滞在した時点における感想であり、価格や為替の変動、混雑度合い、当時のスタッフの対応など偶然に因る部分も多いので、話半分に捉えてください。また、ハイアットやヒルトンは最上級会員であり、ひらまつは株主なので、素で予約する場合とは対応が異なるかもしれません。

費用対効果も重要視しています。お金に糸目をつけないお金持ちの方々とは観点が異なることをご承知おきください。

ところで、私は子連れ客とそれをコントロールできない宿泊施設を憎んでおり、そういった客層が支配的なホテルは自然と△や×が多くなります。しかしながら、これは見方を変えれば家族旅行に向いたホテルを選ぶ指標となり得るかもしれません。


【ハイアット】
<北海道>

<関東>
△:ハイアットリージェンシー東京ベイ

ヒルトン・サーファーズパラダイス ホテル&レジデンス(Hilton Surfers Paradise Hotel & Residences)/ゴールドコースト

サーファーズパラダイスのど真ん中、世界的に有名なサーファーズパラダイスビーチまで歩いてすぐに位置する「ヒルトン・サーファーズパラダイス ホテル&レジデンス(Hilton Surfers Paradise Hotel & Residences)」。近くには数多くのレストラン、エンターテイメント施設が軒を連ね、ゴールドコーストを満喫するための拠点として理想的なロケーションです。市内の移動に便利なトラム(G:link)の駅も至近。ハワイだと「Hyatt Regency Waikiki Beach Resort and Spa (ハイアット・リージェンシー・ワイキキ・ビーチ・リゾート・アンド・スパ)」みたいな立地だとお考え下さい。
巨大な建造物ではありますが、ロビーフロアは意外と簡素。豪華絢爛な5ツ星ホテルというよりは、機能的なレジデンスに近い印象を受けました。それでもスタッフのホスピタリティは抜群であり、これまで世界中のヒルトンに泊まって来ましたが、当館の接客が最もマシに素晴らしく感じました。
「機能的なレジデンスに近い印象」と述べましたが、実際に当館はホテルエリアとレジデンスエリアに分かれており、前者は3〜15階、後者はそれより上の高層階に入居しています。我々はホテルとしての利用であり、客室としては上階にあたる14階と15階に位置するエグゼクティブルームへとご案内頂けました。ちなみにレジデンスエリアのお部屋はキッチンに洗濯機などが付き、リビングとベッドルームが分かれていたりするそうで、家族での利用に向いてそうです。
寝具はドッシリとした誂えで悪くない寝心地です。照明のスイッチが部屋の至る所にあり、どれがどこと連動しているのかが分かりづらく、寝る前に難儀したことを記憶しています。やっぱりスイッチ一発で照明もカーテンもジャーンと済ませたい。
ワーキングデスクは広く、大型テレビにキャストすることもできて便利。ネット環境も快適で、一日中引きこもってweb会議する日もあったのですが、一度として繋がりに不安を覚える瞬間はありませんでした。そういう意味で、数週間前に滞在したHilton Auckland(ヒルトン オークランド)は心から酷かった。
ベランダからはゴールドコーストのビーチならびに高層ビル群を望むことができます。「繁華街に位置するため周辺の飲み屋のBGMが夜間にうるさい」との口コミがあったのですが、高層階に滞在したこともあってか、私はそれほど気にはなりませんでした。
ウェットエリアが広い。広いうえ、壁面がガラス張りなので途轍もない開放感があります。もちろんトイレやシャワーを浴びる際にブラインドをおろすことも可能です。明るく広々としているため掃除がし易いのか、ヒルトンとは思えないほど掃除の質が高かった。
逆サイドからの写真。バスタブはなくシャワーブースのみですが、私はあまり湯舟につからないタイプなので問題ありません。一方、シャワーもトイレも全て同じ空間に押し込められているので、ひとりが何かを使用すれば、もうひとりは何も使用できなくなるのが欠点です。
これはウォークインクローゼットと呼ぶのでしょうか、部屋に入ってすぐ左の謎ゾーンがクロゼットとミニバーのエリアとされており、動線を考えると意外と使い易かったです。ちなみにコーヒーとお茶類は無料で提供され、冷蔵庫は空っぽでした。日によってミネラルウォーターが置かれていたり置かれていなかったりするサービスの非一貫性は、さすがヒルトンといったところでしょう。
共用エリアに参ります。当館は複数の屋外プールに屋内温水プールもあるのが自慢なのですが、いずれも浅くコースロープを取っているわけでもなく、子供が水遊びする程度の設備です。もちろんビーチは歩いてすぐなので、充分と言えば充分です。
フィットネスセンターは窓のない地階にあり、バックヤードを通り越して監獄のようです。とは言え黙々とトレーニングに勤しむのであれば、無駄に日焼けしないこのスタイルも悪くありません。
エグゼクティブラウンジは2階のプールエリア脇に位置しており、カクテルタイムは完全予約制の2部制(第1部は午後5時から午後6時30分、第2部は午後6時30分から午後8時まで)で運用されていました。面倒くせえなあと思いつつも、混雑を避けて質の高い体験を保証するためのものと考えれば悪くないシステムです。
飲み物は地元のワインとビールが盛りだくさん。また、その日のウェルカムカクテルの用意もあり、着席と同時にスタッフが用意してくれます。
ツマミの種類は限られていますがその質は中々のものであり、「パーメリア ヒルトン パース(Parmelia Hilton Perth)」のクソラウンジに比べるとマンモスラッキーです。
また、天気が良ければ屋外のスペースをラウンジとして使用することもでき、夕暮れ時には爆イケな雰囲気をクリエイトしてくれます。もしラウンジを柔軟に使えるオフィススペースやふらっと立ち寄って1杯飲むカジュアルな立ち寄り場所として想定しているなら期待外れに終わるかもしれませんが、これを「滞在プランに組み込むべき、予約制の無料プレディナー・イベント」と捉えるならば優れた価値を提供すると言えるでしょう。
朝食は宿泊者全員が1階の「Catch Restaurant(キャッチ レストラン)」を利用する決まりです。最近のヒルトンはダイヤモンドメンバーであっても温かい料理は追加で10ドルを請求され、淹れ置きでないコーヒーを楽しみたい場合は更に5ドルを徴収されるという、何か罰でも受けているかのような気分を味わえる仕組みに変化しつつありますが、当店は追加料金を請求されることなく、どの料理でも楽しむことができました。
とは言え色とりどりのジェラートやヨーグルトなど軽薄なスイーツが多く、子供たちは大喜びなのですが、テロワールを感じさせる料理などは無いため、正規料金を支払うのであれば、周辺の気の利いたカフェなどのほうが満足度は高いでしょう。
プレーンなヒルトンとは思えないほど快適なホテルでした。ビーチリゾートと都市の利便性を兼ね備えており、ゴールドコースト旅行の拠点に最適。これでパースオークランドのクソヒルトンと価格が変わらないのだからホテル界隈は奥が深い。開業が遅れているアンダーズの代わりとして、正直あまり期待せずに選んだヒルトンですが、実際に滞在してみると想像以上に素晴らしく、嬉しい誤算でした。

食べログ グルメブログランキング
人気の記事
「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

Catch Restaurant(キャッチ レストラン)/ヒルトン・サーファーズパラダイス ホテル&レジデンス

「ヒルトン・サーファーズパラダイス ホテル&レジデンス(Hilton Surfers Paradise Hotel & Residences)」の朝食会場である「Catch Restaurant(キャッチ レストラン)」。大きな円形の舷窓から自然光がたっぷりと差し込む、明るい雰囲気のレストランです。
料理のラインナップは典型的な欧米系の朝食ビュッフェ。ホテルエリアとレジデンスエリアのゲストが混ぜこぜにされ、こんなに家族連れが多かったのかと息をのみます。また、ヒルトンではダイヤモンドメンバーのために素敵な座席を確保しておいてくれるのが一般的ですが、当店ではそのような配慮は無く、一貫して先入先出法を順守しています。
ところで、最近のヒルトンはダイヤモンドメンバーであっても温かい料理は追加で10ドルを請求され、淹れ置きでないコーヒーを楽しみたい場合は更に5ドルを徴収されるという、何か罰でも受けているかのような気分を味わえる仕組みに変化しつつありますが、当店は追加料金を請求されることなく、どの料理でも楽しむことができます。
ちなみに私は普段朝食は摂らない派であり、初めて泊まるホテルに限って朝食の様子を覗いてみるというスタイルなのですが、けっきょく食べたとしてもサラダとスモークサーモンと玉子とチーズぐらい。味わいは中くらいといったところであり、他のホテルの朝食と大差ありませんでした。
色とりどりのジェラートやヨーグルトなど軽薄な食べ物が多く、子供たちは大喜びなのですが、テロワールを感じさせる料理などは無いため、これで1人あたり45豪ドルというのは割高だなあというお気持ちです。私はダイヤモンドメンバーであるため実質無料で楽しめましたが、正規料金を支払うのであれば、周辺の気の利いたカフェなどのほうが満足度は高いでしょう。

食べログ グルメブログランキング
人気の記事
「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

軍鶏丸(しゃもまる)/恵比寿

創業30年を超える、恵比寿でも屈指の鳥料理店「軍鶏丸(しゃもまる)」。恵比寿駅から歩いて7-8分、目の前には防衛装備庁の艦艇装備研究所のすぐ近くにあり、戦艦大和のコンセプトモデルが試作された地と言われています。これ豆な。
店内はカウンター6席に小上がりが3卓。古き良き昭和の居酒屋感に満ちており、女将さんの丁寧な接客を含め、なんとも居心地の良いお店です。焼き物はお皿に盛ってお持ちして下さり、また、鍋物は全てお店のスタッフが調理してくれます。
ビールやハイボール、各種サワー類は700円程度であり、日本酒も1合千円かそこらです。我々は大勢でお邪魔しボトルで日本酒やら焼酎やらを楽しんだのですが、さんざん飲み食いしてもひとり1万円程度でした。
お通しにササミのキムチ和え。キムチのピリッとした辛味と酸味が、ささみの淡白な旨味を引き立てます。箸休めや酒のつまみに最適だ。
モモ、ネギ、ナスの3種焼き。主役のモモ肉は、皮目がパリッと香ばしく、噛み締めれば力強い旨味の肉汁がジュワッと溢れ出します。合間の焼きネギは、香ばしい焼き目の中から、熱で凝縮された蜜のような甘さがトロリと現れるのが特長的。ナスは炭の香りを纏いながら、旨味のタレと自身の水分で驚くほどジューシー。
串焼きに入りまして、まずは「ぼんじり」。脂の乗った尾肉を炭火で丁寧に焼き上げており、ジューシーで弾力のある肉質が心地よい。とろけるような濃厚なコクと、後を引く豊かな味わいに舌鼓を打ちます。
手羽先をカラッと揚げたひと品。外はパリッとした食感で、香ばしいかおりが食欲をそそります。噛むと肉汁が溢れ出し、ほのかなスパイスの風味がアクセント。我々は20年前に連日鳥貴族で盃を重ね合った仲なのですが、皆、偉くなったもんだとしみじみします。
野菜スティックとレタスも出ます。梅肉や味噌で味変しながら味蕾をサッパリ整えます。
こちらはポン酢和えでしょうか。しっとり柔らかい繊細な肉にポン酢の爽やかな酸味が心地よい。ほのかな醤油のコクが旨味を深め、口当たりは軽やかでサッパリ。
ササミの梅しそ焼き。淡白ながらも旨味のあるササミ肉。しっとり柔らかな食感と繊細な甘みが、梅のほのかな酸味と紫蘇の清涼感ある香りに引き立てられます。炭火の香ばしさがアクセントとなり、軽やかな味わいながら奥深い旨味が広がります。
レバ。表面は炭火で香ばしく焼き締められ、中はしっとり滑らかでクリーミーな食感。濃厚なレバーのコクとほのかな甘みが広がり、独特の臭みは皆無。レバーが苦手な人にこそ試してほしい、その真価がわかる一串です。
卓上に炭火が熾された七輪が並び、鍋料理が始まります。目玉は鶏のお団子であり、鍋に入れる直前に目の前で成形されていきます。つなぎには卵のみを使用しており、他に類を見ない驚くほどふんわりとした食感が生みだします。
スープは鶏の出汁が効いた澄んだ味わいで、その他の具材は主役の味を邪魔しないようネギと焼き豆腐というシンプルな構成 。卓上に置かれた山盛りの大根おろしと共に頂きます。上品な出汁の中で火を通したつくねを口に含めば噛む間もなくほろりと崩れ、鶏肉本来のピュアな旨味と卵の優しいコクだけを残して、すっと消えていくようです。
コースの最終章は、それまでの全ての食材の旨味が溶け込んだスープを用いて締めくくります。我々はハーフ&ハーフでお願いし、まずはお茶漬け風に楽しみます 。
続いてうどん。徳島県産の手延べうどんを用いており、つやつやと美しく滑らかな口当たり。太さは不揃いで食感にリズムを与えます。

以上を食べ、しっかり飲んでお会計はひとりあたり1万円。酒代から逆算するにコースは6千円くらいでしょうか。だとすれば暴騰に暴騰を重ねる東京焼鳥界隈に疑問を投げかける存在です。仕事は価格ではなく、どれだけ心を込めたかだ。

食べログ グルメブログランキング

関連ランキング:鳥料理 | 恵比寿駅代官山駅中目黒駅


関連記事
焼鳥は鶏肉を串に刺して焼いただけなのに、これほどバリエーションが豊かなのが面白いですね。世界的に見ても珍しい料理らしく、外国人をお連れすると意外に喜ばれます。
素人にとっては単に串が刺さった鶏肉程度にしか思えない料理「焼鳥」につき、その専門的技術を体系的に記しています。各名店のノウハウについても記されており、なるほどお店側はこんなことを考えているのかという気づきにもなります。