恵比寿のウェスティンの裏手にオープンした「Lila vino e cibo(リラ ヴィーノ エ チーボ)」。静かな住宅街の路地に位置するイタリアンレストランであり、「中國菜 李白(RIHAKU)」のひとつ上のフロアです。
木製カウンターがキッチンを囲む温かみのある店内。日が暮れると灯されるキャンドルのあかりがかわちいです。が、ワンオペのシェフはタトゥーばりばりでちょっと、いやかなりビビりました。
グラスワインは千円強から並んでおり、また、ペアリングはイタリアワインを中心にしっかり飲んで7,700円と悪くない価格設定です。しっかり注いでくれるので、割と飲める方はペアリング一択です。 まずはマルコバン。繊細で上品な味わいが魅力のアジ科の魚であり、皮目をバリっと炙って乙なアジ。最初の第一歩からいきなり手が込んでいます。アオリイカを軸にパクチーをきかせたジェノベーゼ風に仕上げました。イカの強い甘味の素晴らしさはもちろんのこと、パクチーの爽快感にオリエンタルなスパイス使いにセンスが光ります。
そら豆と新玉ねぎのスープ。春の恵みを凝縮した優しい味わいで、そら豆のほっくりとした甘みと青々しい香りが新玉ねぎの瑞々しい甘さと相まって口いっぱいに広がります。
馬肉のタルタル。鮮度の高い馬肉はしっとりと柔らかで、ほのかな甘みと鉄分の深い旨みが広がります。噛みしめるごとに濃厚かつ爽やかな味わいが魅力的。焼きたてのフォカッチャのカリカリ部分にのっけてブルスケッタ風に楽しみました。
続いてタケノコ。シャキッとした食感とほのかな甘みが心地よく、フォンティナチーズのナッツのようなコクととろけるまろやかさが加わり、春らしい軽やかさと奥深い風味が共存します。真鯛のフリット。サクッとした衣とふわっとした身のコントラストが絶妙で、真鯛の淡泊な甘みとほのかな旨みが軽やかな衣から弾けます。
濃厚な海の旨みが炸裂するホタルイカのイカスミリゾット。ホタルイカの甘みと内臓のほろ苦さがイカスミのまろやかな塩気と溶け合い酒が進む。パスタはホタテのジェノベーゼ。ぷりっとしたホタテは熱が入って甘味が増し、バジルの爽やかな香りと松の実のコクが絡みます。
メインは福島牛のイチボ。表面は香ばしく、しっとり柔らかで濃厚な旨みが滲み出ます。ほどよく脂がのっており、満腹中枢が刺激されました。
デザートはティラミス。王道な味わいで、滑らかなマスカルポーネとエスプレッソのほろ苦さがよく合う。アルマーニもややこしいことせんで、こういうのでええのにな。アイスのカフェラテでフィニッシュ。ごちそうさまでした。以上のコースにペアリングを付けてお会計はひとりあたり2万円強。恵比寿という土地柄を考えれば悪くない価格設定であり、料理もワインもたっぷりで大満足。やっぱワンオペの店っていいな。哲学がある。
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- プリズマ(PRISMA)/表参道 ←高価格帯のイタリア料理という意味では東京で一番好きなお店かもしれない。
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イタリア20州の地方料理を、その背景と共に解説したマニアックな本。日本におけるイタリア風料理本とは一線を画す本気度。各州の気候や風土、食文化、伝統料理、特産物にまで言及しているのが素晴らしい。イタリア料理好きであれば一家に一冊、辞書的にどうぞ。