オランジュリ(L'ORANGERIE)/自由が丘

自由が丘駅から歩いて数分のビル8階に入居する「オランジュリ(L'ORANGERIE)」。他の街に比べるとフレンチレストラン比率の高い自由が丘において、トップクラスの風格を湛えるお店です。自由が丘のフレンチとしては「B(ビー)」が有名ですが、あちらとは全く芸風の異なる高級志向のレストランです。
10席ほどの小さなお店で、各テーブルにバリっとクロスが張られており思わず背筋が伸びます。プレゼンテーションプレートはエルメスであり、随所にアート作品も掲げられており色々と凄い。また、このあたりは背の高いビルが少ないので、窓からの眺望も魅力的です。
アルコールはワインのペアリングやカジュアルな3杯セットも用意されており、いずれも良心的な価格設定です。ボトルも良識のある値付けで心なごみました(以上、画像は公式ウェブサイトより)。
アミューズが凝っています。いずれもそのままサイズアップしたら立派なひと皿を構成できるほどの完成度であり、この夜の勝利を確信しました。私のように年に3万回フランス料理を食べる民はアミューズで大体わかるものです。
アミューズにもうひと品あって、フワフワはトウモロコシの何かであり、中にはトウモロコシそのものにウニやコンソメノジュレなどなど。もう、聞いただけで美味しそうであり、実際に美味しかった。
絵のように美しい盛りつけはボタン海老。土台にはアボカドや根セロリを用いておりオシャレな味わい。ソースにも海老の味覚を活かしており、甲殻類大好きマンにとっては堪らないひと皿です。
パンは2種ありいずれもシンプルな仕立てですが、全体としてソースがしっかりしたお店なので、それを拭って食べるにちょうど良い味わいです。
鰻にフォアグラ。濃厚な鰻の味覚を受け止めるフォアグラの大らかな脂質。たっぷりのキノコやワイルドライスなど食感の変化も楽しむことができ、完成度の高い料理です。
君はこんなに美しい太刀魚を見たことがあるか?日本では塩焼き一辺倒の食材ですが、当店では実に手の込んだ調理および調味を施しており、その見目麗しさにただただ圧倒されます。
メインは七谷鴨。京都が誇る高級鴨ブランドであり、1.2万円のコース料理でこれを出すとは何とも気前が良い。ソースは濃密にして濃厚でこれぞフランス料理。付け合わせも非常に手が込んでおり、情熱が無いとできない仕事をしているのが良くわかります。
パイナップルを用いた冷菓。ガリガリくんみたいな氷菓をチャチャっと出して終わりの手抜きなフレンチが多い中、当店はお口直しであっても心がこもっています。
デザートは白桃やフランボワーズを中心に女子歓喜なプレゼンテーション。ほどよくヴェルヴェーヌの風味も香っており、決してくどくなく夏に相応しい味覚です。
小菓子も相当に手が込んでいて、10席程度の小箱でこの仕事量には脱帽。ハーブティーと共にまったりとした時間を過ごし、ごちそうさまでした。

以上のコース料理が1.2万円で、ワインもそこそこ飲んでお会計はひとりあたり2万円と少し。このクオリティのフランス料理を楽しんでこの支払金額は大変お値打ちであり、都心3区であれば倍は請求されるでしょう。

その絵のようなお皿と調理の緻密さから「a.ligne(アリーニュ)」に似たスタイルを思い出しましたが、どっちが上とかそういう話ではなく、両方とも大好きだ愛してる。

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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。

とり安/烏丸御池(京都)

烏丸御池駅から徒歩で数分の場所にある「とり安」。創業は1890年の老舗であり、軒先にかかる「かしわ」の暖簾が美しい。店内はカウンター6-7席に小さなテーブルがほんの少しと小さいお店なので(料理を除いて店内は撮影NG)、お昼時は行列必至です。
回転は速く、着席してからは5分ほどで着丼します。メニューは親子丼に唐揚げ丼など4種類に絞っており、このスピード感に一役買っています。
私は唐揚げ丼を注文しました。何とも優しいビジュアルで思わず笑みがこぼれます。玉子とじの部分はお出汁たっぷりで液状化現象が生じており、「飲める」と形容するに相応しい口当たりです。ハラリと振りかけた山椒の風味もよく合っています。
玉子の部に比べて唐揚げはハッキリとした味覚であり、大振りなカット・厚めの衣・しっかりとした醤油味と王道の味わい。これは玉子とじだけでなく「定食」で唐揚げ単体でも試してみたくなります。
他方、お椀は煮詰まっている感があり、ワカメは茶色く変色しています。千円を切るランチに多くは求めるべきではありませんが、丼そのものが大変美味しかっただけに悪目立ちしていました。

以上を食べて950円。質と量を考えれば(ゴハンめっちゃ多い)リーズナブルな食事であり、待ち時間さえ許されれば何度でも訪れたいお店です。

ネット上の口コミに接客に係る苦言が散見されますが、私は親戚のオバチャンやニイチャンと接しているぐらいの距離感に感じ、寧ろ心地よく感じました。丁寧な応対を求めるゲストは950円の丼屋ではなくホテルのダイニングを訪れると良いでしょう。

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京都はとにかく和食がリーズナブルですね。町全体の平均点が高いのはもちろん、費用対効果も良いことが多い。その文化に影響を受けてか、欧米系のレストランにも目が離せない魅力がある。
JR東海「そうだ京都、行こう。」20年間のポスターから写真・キャッチコピーを抜粋して一冊にまとめた本。京都の美しい写真と短いキャッチフレーズが面白く、こんなに簡潔な言葉で京都の社寺の魅力を表せるのかと思わず唸ってしまいます。

Hotel Éclat Taipei(ホテル エクラ、台北怡亨酒店)/大安(台北)

台北のお洒落エリア大安区にある「Hotel Éclat Taipei(ホテル エクラ、台北怡亨酒店)」。大安駅から歩いて7-8分ほどでありアクセス至便。「スモールラグジュアリーホテルズ(Small Luxury Hotels)」に所属するブティックホテルです。
いわゆる美術館ホテルであり、館内にはダリやアンディ・ウォーホルなどアート作品が所狭しと展示されています(以上、写真は公式ウェブサイトより)。ただし全60室の小さなホテルなので、フィットネスセンターなどの共用設備は一切ありません。
お部屋は「デラックス ダブルルーム(Deluxe Double Room)」に予約を入れました。25平米ほどの部屋であり、大人2人で泊まってギリといったところでしょう。我々はリュックひとつで訪れているため問題ありませんが、ギャルが巨大なスーツケースをバッカンバッカン開くには厳しい広さかもしれません。
ヘッドボードの上部にも絵画が掲げられており、アートホテルとしての矜持が垣間見れます。バング&オルフセンのサウンドシステムがあったのですが、お洒落すぎて使い方がわかりませんでした。
ライティングデスクはしっかりとした誂えで、モンブランのボールペンやダイヤル式の黒電話にメッセージ性を感じます。回線速度は申し分なく、下りで50Mbpsを超えていました。
チェックイン時に「ミニバーは全て無料です!」との力強い案内があったのですが、ネスプレッソにティーバッグ、ミネラルウォーターにジュースが数本程度なので、それほど期待しないでおきましょう。
クローゼットは部屋の広さの割にとても大きく、ライティングデスクの広さを含めて出張者が独りで長期滞在するには良いのかもしれません。
ウェットエリアも最大級に洒落ているのですが、使い勝手はイマイチ良くありません。シャワーブースを隔てるドアやカーテンが無くびっちゃびちゃです。なお、ベッドルームとの境目のガラスはボタンひとつで不透明で見えなくなるという渋谷のトイレみたいな仕組み。アメニティは「Grown Alchemist」で統一されていました。
ところでご覧の通りトイレもシャワーも手洗い場も全てが同一空間であり、誰かが何かを使うとその他は全て使用不可になってしまうスタイルです。やはり前述のとおり独りで泊まるべき部屋なのかもしれません。掃除が甘いのも気になる。
朝食はロビーフロアのダイニングにて。天井のシャンデリアが派手派手で、その下にビュッフェ台が並べられます。
覚悟していた通り料理の種類は少なく品質も中くらい。点心もいくつか用意されていましたが人工的な味わいです。全60室の小さなホテルであるため仕方はありませんが、同じお金を支払うのであれば地元の食堂などに投じたほうが旅行者のテンションは上がるでしょう。
というわけで、使い方次第だなと感じたホテルでした。部屋は狭く微妙に古く指摘すべき点は山ほどありますが、それでも雰囲気で全体をカバーするという、良くも悪くもSLH(Small Luxury Hotels)らしいホテルでした。もちろんのミシュランにキッチリ掲載されるなど方々からの評価は高いようなので、このあたりは好き好きなのかもしれません。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

湯島天神下 すし初(すしはつ)/湯島

盛夏のすし初。「一緒に行きたい」「一緒に来てくれ」という謎の人気者ぶりを発揮し、ここのところ毎月お邪魔しています。この日は久しぶりの友人とのお食事で、令和に入ってから会うのは初めてかもしれません。
この日のラインナップはコチラ。「総乃寒菊 OCEAN 99 純米大吟醸 星海 -Starlight Sea- 彗星50 無濾過生原酒」が美味しかったなあ。軽い口当たりで白ワインのようにスイスイ飲めてしまいます。
と、その前にビールと枝豆を忘れてはいけません。主張の強い素材であり、そのへんの居酒屋が雑に出す枝豆とは一線を画す味わいです。
トマトとモモのすり流し。トマトの酸味とモモの豊潤な甘味が溶け合います。アクセントにガリが含まれているのは鮨屋ならではといったところでしょう。
アジをなますスタイルで頂きます。お酢のこざっぱりとした酸味が真夏の世のひと品として心地よい。ほんのりと梅の風味も感じられ、爽快感の感じられる生魚です。
貝をタルタル仕立てで頂きます。アオヤギとホタテがたっぷり入ったものであり、贅沢にエビまで含まれています。卵黄のまったりとした口当たりと上手く調和します。
極厚にカットしたカツオは塩とゴマ油で頂きます。この鉄分量から察するになるほどこれはレバ刺しの鮨屋版ですな。それでもレバーのような独特のクセは全くなく、パンチがありながらもキレイな味わいです。
ブッラータチーズにカニとイクラとシャリを泳がせます。乳脂肪の立地な味わいにカニの旨味とイクラの塩気がベストマッチ。これはもう丼いっぱいをレンゲで食べたいくらいです。
煮魚は甘鯛。アクアパッツァとマース煮の中間あたりの調理であり、お魚そのもののふくよかな味わいを楽しむことができます。煮魚って醤油とみりんでデロデロな味覚であることが多いですが、こんなに上品なスタイルもあるのです。
焼物は太刀魚。バリっと思い切りよく焼いて、皮目の香ばしさと身の脂のジューシーさを同時並行で楽しみます。これぞオッカムの剃刀とも言える真っ直ぐな味わいです。
〆のお食事(?)としてにぎり。ここは「天本」かと思うほどエビのサイズがマックスであり、当店の価格帯を考えれば実に気前の良いラインナップです。シンコもイワシも日本らしい美味しさで、やっぱりお鮨はひと口でわかり易くバーンとイケるのが良いですね。

おなかはいっぱい、今夜もすっかり酔っぱらって大満足。次回はちょうど1か月後。平成は楽しかったけれど、令和の時代は幸せだ。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。

貴船 仲よし(きぶね なかよし)/貴船(京都)

京都の夏の清流リゾート、貴船の川床。鴨川では「かわゆか」と呼びますが貴船では「かわどこ」と読みます。一般的には夏の終わりまでのイベントと捉えられていますが、ここのところ残暑が厳しい年が続くためか、10月に入っても営業している店がいくつかあります。
我々は老舗の「貴船 仲よし(きぶね なかよし)」に予約を入れました。国際会館駅または貴船口駅までマイクロバスで迎えに来てくれるので便利。貴船口駅からは登り坂を延々40分近く歩く必要があるし、車だと恐ろしく道幅が狭く離合が困難で慣れていないと相当厳しい。貴船観光は当店のような料理旅館のお迎えサービスを活用するのが良いでしょう。
ワオ!なんて素晴らしい空間づくり!もともと標高が高い上に緑に囲まれながら川の真上で飲み食いするので常にヒンヤリしています。ところどころ日光が射すのですが、お店の方が上手く日除けを作ってくれるので快適快適。子供たちは裸足になって、貴船川に足をつけて遊び始めました。
我々は「地鶏のすき焼き 上」というコースを注文しました。11,200円です。先付に抹茶ごま豆腐。味そのものは中くらいですが、京都に来た感を盛り上げてくれる設計です。
お造りはマグロにタイ、湯葉。当店というか貴船のメインディッシュはその空間づくりにあるので、料理については全く期待していなかったのですが(失礼)、タイは程よく熟成してあり旨味も乗って、想像の斜め上をいく美味しさでした。
鮎の塩焼き。焼きたての熱々でやって来て驚き。母屋の厨房から川床の席までは相当の距離と高低差があるはずなのに、このジャストインタイム感は素晴らしい。ここでバイトすると足腰が鍛えられること間違いなし。
名物の「地鶏すき焼き」が始まります。女将さんが軽快なトークと共に鉄鍋で皮目から焼き始め、お野菜などを手際よく敷き詰めていってくれます。
肉と野菜が煮え始めました。地鶏は地元の上等な鶏だそうで、一般的な焼鳥屋で出てくるおよそ全ての具材をこの一鍋で食べ尽くすことができます。正肉だけでなく内臓類も充実しているのが嬉しい。
健康的な卵を溶いて頂きます。ひと口食べて驚愕、何この鶏肉めっちゃ旨いやん。「ろばたやき山ろく」もかくやというクオリティの高さであり、ムキムキと締まりが良くパワフルで、肉そのものの味が濃い。噛めば噛むほどに鶏肉の深みのある風味がジワジワと滲み出て来ます。
鶏の味が濃いのでゴハンが進むのなんのって。お漬物もドッシリとした味わいであり、箸を進める手が止まりません。もちろんゴハンはお代わりOKです。
食後は川を眺めながら果物でサッパリとフィニッシュ。ごちそうさまでした。先に述べた通りメインディッシュは空間づくりであり、料理についてはディズニーランドぐらいかなあと覚悟していたのですが、なかなかどうして鶏料理として全く素晴らしいものでした。
食後は貴船神社を中心に散策し、気合いを入れて鞍馬寺までプチ登山。京都市内はまだまだ暑い日が続きますが、貴船界隈では今がベストシーズンかもしれません。残暑を逆手に取って、長い夏を心ゆくまで楽しみましょう。

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