豚々ジャッキー/旭橋(那覇)

沖縄は肉食文化圏で、焼肉・ステーキ・鉄板焼・しゃぶしゃぶの店は多いのですが、不思議とトンカツ屋は限られています。その数少ないトンカツ屋の中で最も人気があるのが「豚々ジャッキー」。住所は那覇市久米で、ゆいレールの旭橋駅・県庁前駅からそれぞれ歩いて5分ほどです。
家庭的な雰囲気の店内。客席としてカウンターとテーブルが用意されており、たまたまかもしれませんが妙にひとり客が多い。開店と同時にカウンター席は全て埋まり、みな黙々とトンカツを食べ続けるハードボイルドな雰囲気です。ちなみに店名は、店主の苗字が「謝敷(ジャシキ)」であり、あだ名がジャッキーだったことに由来するそうです。
注文後20分ほどで「あぐーロースかつ」が着丼。2,200円です。当店の肉は全て県産のものを用いており、ブランド豚「あぐー」を用いたメニューは数量限定で売り切れてしまう日もしばしば。
かなり攻めた調理であり、コンガリを通り越して黒焦げに近い揚がりっぷりです。一口サイズにカットしてくれてあるので食べ易い。
脂身が非常に多いタイプのトンカツですが不思議とクドくなく、サクサクぱくぱく食べ進めることができます。一方で、長時間かなり強めに揚げているので火がギンギンに通っており、ジューシーさが抜け出ているのが気になりました。
お椀はイナムドゥチ。沖縄の郷土料理である具沢山の味噌汁であり、優しい味わいで胃腸が休まります。
ライスやキャベツはおかわりOK。こちらからリクエストせずとも店主のほうから「おかわりでしょ?」と勧めてくれます。
お漬物が美味しい。恐らくは自家製のものであり、トンカツ屋のオマケで付いてくるモノとしてはハイレベルな逸品です。
沖縄での定食としてはかなりの価格設定ですが、暴騰に暴騰を重ねる都内のトンカツ屋に比べればかわいいもの。ノーマルなトンカツ(それでも県産豚だ)であれば千円かそこらからスタートするので、まずはエントリーレベルのカツから試し、自分の好みと照らし合わせてみると良いでしょう。

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SOTO(そと)/富山市

アメリカで30年以上にわたってSUSHIを啓蒙し続けてきた小杉外博シェフが故郷の富山に開いた「SOTO(そと)」。ミシュラン2ツ星です。
内外装ともにシンプルな誂えで、カウンター10席強といったところ。入店時の消毒やアクリルボードの配置など、衛生面について意識の高いお店です。荘厳なクラシック音楽をBGMとして流しているのは珍しい。食事はおまかせコースのみであり、料理だけだと2万円、日本酒のペアリングをつけると2.4万円です。
最初に胡麻豆腐。泡状にした醤油フォームが面白い。
甘海老には塩麹やオリーブオイルを用いたりと興味深い試み。外子の塩漬けが酒を呼びます。
キジハタはポン酢主体でサッパリと。シソやショウガの風味がその爽やかさを後押しします。
フクラギ。ブリの幼魚であり、ブリほどコッテリしておらず軽やかな味わい。しかしながら調味にトリュフオイルを用いる意図はよくわかりませんでした。
ゲンゲ。富山湾の奥深くに棲む深海魚であり、そのブヨブヨとしたゼラチン質が特徴的です。
モズクに太刀魚をトッピング。土佐酢のジュレが潔い味わいで美味。
タコの小豆煮。初めて食べる料理ですが、仄かな甘味と小豆の風味が思いのほかタコに合いました。
ヒラメの薄造りは昆布の旨味と柚子の香りが心地よく、潔い味わいです。
バイガイはたっぷりのカイワレと共に。素材そのものは悪くないのですが、ガーリックパウダーを多用しており調味が暴力的で、とっ散らかった味わいです。
茶碗蒸しが独特。ボタンエビの出汁がガツンときいたヘヴィ級の味わいであり、具材は無いものの存在感のあるひと品です。
白エビはシイタケの風味がきいたお出汁と共に。白エビを食べると富山に来たなあという気持ちが盛り上がります。

なのですが、いよいよ料理を出すテンポが遅すぎますね。そろそろ我慢ならんくなってきた。常連と喋ってばっかいないで手を動かして欲しい。
フクラギとサバの燻製をムースにしたひと品。見た目は白く可愛らしいのですが、味覚はスモーキーで凝縮感のある味わいです。
煮物はバイ貝にガスエビ。海の美味しさがギュウギュウに詰まっており日本酒が進みます。
セヴィチェと称したひと品。タネはボタンエビやホウボウ、アオリイカであり、レモンやライムを中心とした酸味が心地よい逸品です。
焼き物はクロムツに、太刀魚の味噌漬けをトッピング。ここにおいてもトリュフ塩を用いており、軽はずみな調味と言わざるを得ません。
入店から2時間半経過してようやくにぎりに入ります。ちょっともう、ひとつひとつ記述するのも面倒になってきたので、ハイこんな感じでした。ちなみににぎりに入ってもスピード感は相変わらずで正直ダルい。常連とのおしゃべりも長く、シャリをずっと手に持ったまま話し続けるのはどうかと思います。
また日本酒のペアリングについても吟醸香の強いフルーティーなものばかりが続き、当店のバラエティーに富んだ料理に合うとは言い難かったです。ひと皿づつに合わせるので種類は多いものの、1杯1杯の量が少ないので、その酒の核心をじっくり楽しむことができないのが残念。
疲れた食事だなあと振り返りつつ公式ウェブサイトに目を通してみると、メディア各社に対する要望が異常に長い。「取材要求に対しては(中略)、まずは主旨を明確に(シンプルに)記述しEメールで連絡ください。」という注意書きに思わず苦笑いしてしまいます。隗より始めよ。

食事にしろ文章にしろ無駄に長かったなあというのが率直な感想です。「天本(あまもと)」「照寿司(てるずし)」での食事もかなりの時間を要しますが、あちらは練りに練られた長さでなのでストレスは感じない。他方、当店は漫然とした長さであり、このままここで一生を終えなければならないのかと不安になるほどの所要時間でした。

食材の質と量については文句なく、お酒もトータルではたっぷり楽しめるので、2.4万円というのはお値打ち。もっと皿数を絞ってそれぞれのポーションを大きくしテンポを良くし、進捗に支障をきたす程のおしゃべりを控えれば私好みなのになあ。まあ、店主とダベりたい層も一定は居ることですし、好みは人それぞれなのでしょう。時間に余裕を持ってどうぞ。

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観光地としてあまりパっとしない富山県につき、「幸福県」すなわち「恵まれた自然環境の下、住居・労働・教育などの都市機能が整備されている県」であることに目を付けた富山本。富山の魅力を様々な観点から紐解いています。

アンコール・ワット(Angkor Wat)/代々木

「カンボジアで良い仕事がある」とヘッドハントされ、そのまま帰らぬ人となるケースが数千人単位で発生し、東アジアではちょっとした事件となっています。私も日本での調査を開始しました。
代々木駅の西口から徒歩数分の場所にある「アンコール・ワット(Angkor Wat)」。その名の通りカンボジア料理の専門店であり、創業1982年の老舗です。私はカンボジアへは20年ほど前に訪れたことがあるのですが、はて、カンボジア料理とはどんな料理だったかしら。
店内は思いのほか広く、80席近くあるのではなかろうか。我々は3人でお邪魔したのですが、6人は座れそうなボックスシートを使わせて頂き、広々と過ごすことができました。壁には有名人のサイン色紙がたくさん。予約ナシで訪れるゲストも多く、皆、アラカルト注文で思い思いのものを注文しています。
飲み物はアジアのビールが盛りだくさんで、1本600円ほど。せっかくなので「アンコール」というカンボジアのビールを注文したのですが、あまりコクが無く私好みではありません。もちろんこういうものは現地で楽しむべきものなのでしょう。
我々は3,500円の「バイヨンコース」を注文。まずは生春巻きが登場。ベトナムのそれよりも皮がモチモチしています。これがカンボジアスタイルなのか当店スタイルなのか、たまたまなのかは知らない。
続いて大根もち。いわゆる中華圏で食べられるものとは形状がまるっきり異なり、具材を生地(?)で包むような仕様が面白い。ピリっと辛いソースがビールの消費量を推し進めます。
お魚料理はシャケ。ココナッツ風味に蒸してスパイスで味を調えています。今までに接したことのない味覚なのですが、不思議としっくりくる味わいです。
揚げ物の盛り合わせ。さつま揚げやイカのお団子、豚肉を巻いたミニ春巻きなど、これは日本人が親しみやすい味覚ですね。カニを湯葉で巻いて揚げたものがとりわけ美味しかったです。
カニの爪と春雨の炒め物。優しい味わいでほんのりと甘く、また、甲殻類の風味がけっこう聞いています。お腹にも溜まるひと品です。
サイコロステーキ的なもの。醤油っぽい味付けがベースで甘辛く、やはり日本人に親しみやすい味わいです。
〆の食事にはココナッツカレーかフォー、チャーハンから選ぶことができます。我々はフォーを選択。鶏のお出汁がバリバリにきいており美味しい。これ単品の料理店としてスピンオフしたとしても勝負できるレベルの高さでした。
デザートはココナッツアイスにカボチャのケーキ。カボチャをくり抜きプリン的なものを詰め込み豪快に切り分けています。デザートにしては凄いカボチャの量である。
デザートの後にワインをボトルで注文しワイワイと余韻を楽しんでいると、サービスで巨大な肉料理をお出し頂けました。じっくりと8時間煮込んだものだそうで、バクテーをマイルドにしたような味わい。
以上を食べ、好き放題飲んでお会計はひとりあたり8千円ほど。ただしこれはかなり飲んだ結果であって、普通の飲食量であれば5千円もしないでしょう。カンボジア料理というジャンルはあまり馴染みがありませんが、東南アジア料理から辛味を抜いた優しい味わいが主軸であり、ミャンマー料理にも通ずるものを感じました。つまり日本人が好きな味です。

ランチであれば千円かそこらのセットものがあるので、まずはそちらで自分の好みを見定めると良いでしょう。

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山元麺蔵 (やまもとめんぞう)/岡崎(京都)

私が世界で一番旨いと考えるうどん屋「山元麺蔵 (やまもとめんぞう)」。前回の記事を見たギャルが「ウチも行きたい。その日は仕事休むから連れてって。どうやって並んだらええか仕組みがようわからん」ということで、2週間と間を空けずにお邪魔することとなりました。
ちなみに昔は100人待ち数時間待ちは当たり前だったのですが、整理券方式になり、電話予約方式になりと試行錯誤が続いています。2022年夏においては毎朝9時から当日分の予約を受け付け、指定された時間に訪れしばし待つと入店できるというディズニーのスタンバイパスのような仕組みです。
ネット上の情報では「100回かけても電話がつながらない」「つながるまで1時間以上かかった」などの悲鳴が流れていますが、店頭での予約も受け付けており、情強の私は09:00に直接訪問しポールポジションを獲得。オープン直後の回(10:20~)を予約し難無く入店です。

この日もBGMは松浦亜弥にGLAY、ミスチルと選曲が素晴らしいですね。Z世代のギャルには昭和の懐メロぐらいにしか思えないでしょうが、私としては胸に沁みるものがありました。ところで更に話は逸れるのですが、IVEの3rdシングル「After Like」を聞いた瞬間に私は「I Will Survive」のサンプリングだと脊髄反射したのですが、同じ反応を示すのは都民の2パーセントほどだそうで、やはりこのあたりにも世代間の断絶というものがあるのでしょう。
前回は若気の至りもあってソロ入店の2セット注文という暴挙に出ましたが、今回は連れと1セットづつ注文し、追加で単品の天ぷらをひとつお願いしました。ただし2人とも大盛りで、彼女が食べきれなかった場合は私が引き受けるという特約付きです。
大盛のざる。なるほど前回のデフォルト量に比べると一回り大きく見えます。そして相変わらずミラクルな美味しさで、人生が加速する味わいです。モチモチとした口当たりながらツルっとした喉越し、しかしながら噛み応えは恐ろしくタフという斬新な代物です。一本一本が太くて長く、「麺切りカッター」なる特殊器具まで用意されているのですが、ハイアマチュアの私は割り箸だけで美しく食べ切ってみせました。
こちらは「鶏ささみ天」。うどんに負けず劣らずボリューム満点。鶏肉だけで純粋に150-200グラム近くありそうです。女子ひとりで食べ切るには厳しかろうということで、私の「野菜天」と交換こします。早く行きたければ一人で行き、遠くへ行きたければみんなで行くのだ。
この日の「野菜天」は玉ねぎ・カボチャ・ナス・ニンジン・マイタケ・ブロッコリー・大葉。根菜が多く思いのほか腹が膨れます。ブロッコリーの天ぷらが中々イケますね。ありそうでない天ぷらです。
こちらは「土ごぼう天」。丸々と太ったゴボウを低温でじっくりと揚げ、カレー塩で頂きます。先の「野菜天」の根菜集団に引き続きかなりの食べ応え。大盛りのうどんと共にすっかり満腹です。
サービスで杏仁豆腐もお出し頂けます。軽やかに舌先で溶けていくタイプなので、満腹でも無理なく胃袋に収まります。そういえば連れも難無く大盛りを食べ切っている。序盤の特約とは何だったのか。
いやあ、相変わらず美味しかった。思わず天に召されそうなほどの食後感。こうなったら全種類制覇してみたくなっちゃうなあ。やっぱり「温かいおうどん」は「赤い麺蔵スペシャル(旨辛。ゴボウ天・揚げ餅・卵入り)」から入るべきかなあ。でも「京カレーうどん」も気になるなあ。サイドメニューの「ちょっと小さな鶏ささみ天丼(卵黄入り)」も試したいなあ。

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