かどや/押上

「今日の馬鹿客」とツイッター上で日々の来店客をこき下ろしカルト的な人気を誇る向島「かどや」。グーグルの検索候補にはハードボイルドな文言が並びます。

とは言え店主が客に求めていることは上記のような当たり前のことだけであり、何をそんなにトラブルになることがあるんだろうと怖いもの見たさでお邪魔することに。
立地は浅草・曳舟・押上の下町バミューダトライアングルのちょうど重心あたり。いずれの駅からも歩いて10分ほどの住宅街にあります。
典型的な下町の大衆酒場といったエクステリア。入り口あたりにはカップ酒の自動販売機があるのが面白い。「ラーメン二郎 三田本店」入り口近くにある黒烏龍茶の自動販売機を思い出しました。
ガラりと引き戸を開けると「いらっしゃいませぇ~」と普通にウェルカムな客あしらいで拍子抜け。手指をアルコール消毒した後、指定された席に座ります。店内の至る所にメニュー表が掲げられており、日本酒ラヴァーにとっては狂喜乱舞する価格設定です。
ちなみに店員はマスク着用、カウンター席にはアクリルボードが設置。基本的に1人客が多く無言で黙々と飲み食いする雰囲気なのでコロナはあまり気にならないはず。
腰を落ち着けると店員がやって来て「最初にお飲み物を~」と聞かれます。400円の生ビールを注文。確かに店員の愛想は良いとは言えませんが悪い訳でもなく、そのへんのラーメン屋の接客と大差ありません。
目の前のメニュー表から適当に注文すると「あっちに今日のメニューもあります。スマホで撮って、席でじっくり見て」と普通に親切です。それにしても場末の酒場で(失礼)これだけの料理を取り揃える手際の良さには舌を巻く。
まずは生ウニが出てきました。高級な鮨屋で爆盛りされるウニと大差ないクオリティでありめちゃめちゃ旨い。これが1皿400円というのはちょっと信じられない費用対効果の高さです。
刺身の盛り合わせも確か500円ぐらいだった気がします。ヘンな表現ですが普通に美味しい。外食においてこの量と質で500円というのは墨田区の奇跡と言えるでしょう。スーパーで買うより安い。
鳥ハラミポン酢。肉の量はもちろんのこと、ネギもたっぷり盛り付けられておりサッパリと頂けます。注文からの提供スピードも恐ろしく早く、どの料理もポンポンポーンと出てきます。
牛タタキは350円。やはり目を疑いたくなる価格設定。これをパックしてデパ地下に並べれば3倍は請求できそうなクオリティです。
しばらくビールを続けた後に日本酒へと移行。ちなみに生ビール400円、ビンビール500円、ビールのピッチャーなら950円と大変良心的。サワーのピッチャーなど600円である。
揚げ物ゾーンへ突入。こちらはつくねを揚げたものであり、
こちらはナンコツの唐揚げ。これらは一般的な居酒屋で食べるものと同等でしたが、価格は1皿300円かそこらです。
うな丼で〆。鰻の容積はかなり大きく、一般的な鰻屋であれば千数百円はしそうなクオリティなのですが、当店でのお値段は何と600円。こんなに幸せな〆の炭水化物は中々ありません。
かなり飲み食いしてお会計はひとりあたり4千円ほど。うわーめちゃんこリーズナブルやんか。ビビりながらの入店でしたが着席してしまえば居酒屋として普通の接客であり、どこにそんなモメる要素があるんだと肩透かしをくったぐらいです。
店主は迷惑な客はどんどん出禁にしていきますが、ルールを守ることのできる客にとっては有難い仕組み。接客コストを含め利益率の悪い客からのダメージは、巡り巡って普通のゲストの支払金額に跳ねて来るもんなあ。
1~2人でサク飲みするに最適なお店。自炊より安く、選択肢が多く、旨い。オススメです。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

ROTISSERIE★BLUE (ロティサリーブルー)/恵比寿

恵比寿ガーデンプレイスタワー39階のレストラン街にあるロティサリーチキン推しのフレンチ「ROTISSERIE★BLUE (ロティサリーブルー)」。店名がダンス☆マン的であり、ブルーのスペルは英語なんかい、と、ツッコミどころが多い。
眺望が抜群。入店時にはコロナ的注意事項を店員と読み合わせ、席の間隔にもゆとりがあり、新しい生活様式に適合したお店です。乳幼児ウェルカムのためかベビーカー軍団が妙に多かった。
一休から予約を入れたのでスパークリングワインがつきました。
見ため立派なサラダが最初に出てくるのですが、味わいはコンビニサラダと大差ありません。
前菜はサーモンのマリネにマッシュルームのペースト、タコやキュウリなどなど。まあ、ロティサリーチキンがメインのランチのオマケと考えればこんなもんでしょう。
メインのロティサリーチキンなのですが、うーん、小さい。1羽の4分の1とのことですが、体感的にはケンタッキー1つにも満たないサイズであり、味もケンタッキー・フライド・チキンのほうが上です。
こちらは440円を追加しての2分の1サイズで、ようやくメインディッシュらしくなりました。なのですが、「マウイ・マイクス(Maui Mike’s Fire-Roasted Chicken)」であれば千円を切った上でもっと大きく美味しいことを考えると、モノの値段って何なんだろうなと深く考え込んでしまいます。
パンもそのへんのスーパーで買うものとクオリティは変わらず。
パイナップルケーキもつくのですが、やはりコンビニレベルです。
コーヒーは中々に美味しかったです。
今回は一休の割引がきいてひとりあたり2千円(私はサイズアップしたので2,440円)で済んだので、2千円ならまあこんなもんかなという気分ですが、これが定価の4千円を請求されていれば軽く暴れていたかもしれません。

てゆうか、これ、ほんとに割引後の価格なのかねえ。白金高輪「ブラッスリー ハルナ(HARUNA brasserie)」での事件を思い出しました。

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恵比寿も十番に負けず劣らず良い街ですよね。1度住んで、片っ端から食べ歩いてみたいなあ。よそ者ながら印象に残ったお店は下記の通り。
恵比寿を中心に話題店が整理されています。Kindleだとポイントがついて実質500円ちょい。それにしては圧倒的な情報量。スマホやタブレットに忍ばせておくと出先で役立ちます。

祇園 大渡(おおわたり)/京都

祇園の古民家を改装した和食店「祇園 大渡(おおわたり)」。食べログ4.43でシルバーメダル獲得(2020年7月)と、京都でもトップクラスの人気を誇ります。座席が8席しかないので、どうしてもプラチナシート化しちゃうんですよね。ミシュランでは2ツ星です。
大渡真人シェフは福岡県出身。大阪の調理学校を卒業後、そのまま大阪で修業を重ね、奥様のご実家である京都に居を移し開業。「草喰なかびかし」と繋がりがあるようで、かまどなどは、そこと同じものを使っているそうな。かなりひょうきんでテンションの高い方で、一見と常連を分け隔てなく接し、平たく言うととても感じの良い接客です。お弟子さんのイジり方を含め小倉「照寿司(てるずし)」のような盛り上がりのあったランチでした。
まずは長芋そうめん。たっぷりのトマト酢にじゅんさいでサッパリ頂きます。塩気と旨味のアクセントにキャビアと毛ガニを用いておりセンスが良い。
「もう塩焼きは飽きたでしょう?」ということで、鮎がフライになってきました。しかしただフライにするだけでは重くなるのでお腹の部分にだけ衣をつけているとのこと。料理に対して分析的な姿勢であり私の好みの芸風です。
スッポンの冷たいお粥さん。かなりパンチの強いスープをジュレ状にしていますが、冷製であるためサッパリと食べることができます。
ハモの焼霜。ワサビをたっぷりつけて、やはりサッパリと頂きます。調味を強めたい場合は添えられたハモの塩辛で調整。これが実に旨く、酒のアテとしておかわりしたいぐらいでした。
お椀はアコウダイ。強めの出汁に赤子のゲンコツほどのお魚がぶち込まれています。ムシャムシャと食べ応え抜群。飲むというよりも食べるという表現が適切な食べ応えのある逸品。
花街でよく出される鯨餅(くぢらもち)に着想を得て作られた1品。もともとは米粉を胡桃や砂糖などと共に練って蒸したものらしいですが、当店は塩っ気たっぷり味濃いめでの提供。まだまだ知らない料理が世の中にはたくさんあるなあ。
牛しゃぶ。低温調理で仄かにピンク色。しつこさは全くなく、かなりの量があるのですがモリモリと瞬で食べきってしまいました。冬瓜の爽やかな風味もいとをかし。
スズキを焼き上げ、千切りのウド、ならびに蓼酢や山椒オイルで頂きます。お魚のふんわりとした食感がどこまでも優しい。「スズキとウドはとても相性が良くてですね、ウド鈴木なんですよ」とスマッシュを決める店主。
全くお茶目な方である。
さてアワビのお鍋。カチカチに焼かれた鍋に大量のアワビを放り込み、アラミニュットで仕上げます。魅力的な弾力を湛える上質な個体であり、肝醤油をたっぷりとつけて至福のひととき。鮨のようにバクっと一口で食べるのも良いですが、こうして1切れ1切れをたっぷり頂くのも乙な味。
ごはんが炊き上がりました。まずはシンプルに白米で。ちりめんやお漬物がいちいち旨く、ブリのへしこに至っては残りの日本酒を全てかっさらっていきました。
おかわりからは卵かけゴハンも選択できます。黄身だけでズズズとやる背徳感。
食後の甘味は本わらび粉の黒糖わらび餅。粘着力がマックスであり、これが本当のワラビのパワーなのか。あとオマケでメレンゲのお菓子も頂きました。
店主がたてるお薄を頂いてごちそうさまでした。
一通りを食べ軽く飲んでお会計はひとりあたり3万円弱。雰囲気や素材を考えればリーズナブルな価格設定です。東京であればおいくら万円することやら。加えて前述の通り店主の客あしらいが抜群であるため、実にリラックスして食事を楽しむことができました。純粋な京料理ではないため観光客向けではないかもしれませんが、予約が取れるのであれば一度はお邪魔しておきたいお店です。

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京都はとにかく和食がリーズナブルですね。町全体の平均点が高いのはもちろん、費用対効果も良いことが多い。その文化に影響を受けてか、欧米系のレストランにも目が離せない魅力がある。
JR東海「そうだ京都、行こう。」20年間のポスターから写真・キャッチコピーを抜粋して一冊にまとめた本。京都の美しい写真と短いキャッチフレーズが面白く、こんなに簡潔な言葉で京都の社寺の魅力を表せるのかと思わず唸ってしまいます。

東京チャイニーズ 一凛(イチリン)/築地

築地の中華料理店「東京チャイニーズ 一凛(イチリン)」。支店である鎌倉の「イチリン ハナレ」やスペイン料理とのコラボ店「TexturA (テクストゥーラ)」など、ここのところ系列店が矢継ぎ早に出店されています。齋藤宏文シェフは、「赤坂四川飯店」出身。
鎌倉の「イチリン ハナレ」は内外装ともに超カッコよかったので、似たベクトルの雰囲気を期待していたのですが、内装は居酒屋に毛が生えたようなもので拍子抜け。加えて乳幼児OKのため隣のテーブルの家族がすげーうるさくて「いっせーのーせ」をやり始める始末。お父さんはサンダルにハーフパンツといったコーディネイトであり、客単価が1万円を超えるお店でこういう客層を受け入れているのはぴえんこえてぱおんです。
生ビールは750円と、この手の料理店としては安い。ワインも絶対的な価格が低いものから取りそろえられています。我々は当店をお邪魔する前に0次会としてシャンパーニュを1本開けていたので控えめに飲むことに。
まずはワタリガニの紹興酒漬け。ワタリガニを生きたまま紹興酒に漬けた辛くないケジャン的なもの。ネットリとしたコクがあり美味しいのですが、1品目として接するには若干重く感じました。
スペシャリテの「よだれ鶏」。これはもう、鶏肉が美味しいですねえ。素材の良さは当然として、しっとりと水分を湛えた調理が素晴らしい。ソースにはナッツがたっぷりと配備されており、サクサクとした食感も楽しい。
牡蠣。美味しいのですが、紹興酒漬けならびによだれ鶏の味の強さにコテンパンに負けています。これ1皿目で出せばいいのに。
「もしよろしければ追加料金で餃子をお付けできますが。さっきのよだれ鶏のタレで召し上がっていただきます」とのことですが、これ、別料金にするほどのものかなあ。トリュフや和牛、オマール海老であればわからなくもないですが、これぐらい最初からコースに組み込んでおけばいいのに。
鴨肉を生地で包んで食べる北京ダック的なもの。見た目の通り万人受けする味わいです。
フカヒレは煮物ではなくガリっとステーキ状に焼いています。天下一品のスープを上品にしたような風味であり、素直に美味しい。
海老をカラっと揚げ、たっぷりのスパイスを混ぜ込んだもの。頭からかぶりつくことができ、スナックのような味覚。ビールにピッタリです。
お魚はハタだったっけな?ムチムチとした食感に、カニの旨味がきいた蟹玉ソースが良く合います。なのですが、やはり優しい味付けであり、もっと序盤に食べたかった。
〆の食事は冷やし豆乳担々麺。これはまあ、美味しいですが、その辺の中華料理屋のそれと同等の味わいであり特に記憶には残りません。
デザートはフレッシュなマンゴーを用いたプリン。これも美味しいのですが、1.1万円のコース料理のフィナーレを飾る甘味としては貧相に思えました。

控えめに飲んでお会計はひとりあたり1.4万円。どの料理もそれなりに美味しいですが、謎にカジュアルな雰囲気と支払金額がマッチしておらず、高くて美味しいバーミヤンに来たような印象です。ランチで来るべきお店でなのかなあ。少なくともキメのデートや接待で訪れるべき店ではないと感じました。

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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
1,300円としてはものすごい情報量のムック。中国料理を系統ごとに分類し、たっぷりの写真をベースに詳しく解説。家庭向けのレシピも豊富で、理論と実戦がリーズナブルに得られる良本です。