多平(たへい)/難波

南海難波駅すぐ近くの裏路地にある老舗の焼肉店「多平(たへい)」が百名店に選出。カウンターが席中心で、おひとりさま焼肉の聖地と崇め奉られています。営業時間帯は常に満席の大人気店ですが、14時頃であれば意外にサっと入れます。
煙がモクモクと立ち込める昔ながらのロースター式焼肉店。煙は排煙設備の不備ではなく、むしろ食欲を刺激する装置として機能しています。ゲストは皆、上着をビニール袋に入れて匂いの吸着をブロックしています。
キムチ盛りは白菜、大根(カクテキ)、キュウリ(オイキムチ)の三重奏。最初に野菜本来の甘みが広がり、後から自家製ヤンニョムの奥深いコクとピリッとした刺激が追いかけてきます。発酵が進みすぎていないフレッシュな仕上がりで、酸味は控えめです。
オッチャンが目の前で切り出したばかりの「上タン塩」。適度な厚みがありながら、火を通すと程よく柔らかく、噛むたびにサクッとした心地よい歯切れの良さが楽しめます。シンプルに塩と胡椒で味付けされているため、素材のごまかしが効かないストレートな美味しさが魅力です。
左は「上ミノ」、右は「ハラミ」。前者は細かく包丁が入れられており、厚みがありながらも決して硬くなく、特有のコリコリとした弾力と、スッと噛み切れる絶妙な柔らかさが共存しています。淡泊に見えて、噛むほどに貝類にも似た上品な磯の香りとミルキーな旨みが滲み出てきます。
「ハラミ」は赤身の濃厚な旨みと適度なサシから出る甘い脂が口の中で完璧に調和し、飲み込むのが惜しくなるほど。少し甘めでコクのある自家製ダレにどっぷりと浸かったハラミをロースターで香ばしく焼き上げる至福のひと時。
ライスは青森県産「青天の霹靂」、山形県産「つや姫」、そして京都の老舗米屋「八代目儀兵衞」のブレンド米。米そのものの甘味が強く、濃いめのタレを纏った肉をバウンドさせてバウンドさせて食べるのが、当店におけるひとつの儀式と言えるでしょう。
以上を食べ、軽く飲んでお会計は6千円ほど。西成の「くいや」もそうですが、やはり関西の焼肉は費用対効果が素晴らしい。東京のイケメンが焼いてくれる脂ギトギトの高価焼肉とは対極に位置する芸風。難波駅すぐ近くながら店内には観光客を見かけないので、穴場かもしれません。

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