五反田で長年愛される立ち食い寿司の名店「すし処 都々井(すしどころ つつい)」。以前は五反田駅の高架下で営業していましたが2017年に惜しまれつつ閉店。その後、ファンによるクラウドファンディングの支援を受けて2018年に「五反田ヒルズ」に復活オープンしました。同フロアには予約困難な人気店として知られる「食堂とだか」をはじめ、目的意識の高い飲食店が集います 。
店内は全席立ち食いで20席ほど。基本はカウンター席で、ひとりでサクっと飲むのが似合います。テーブル席はあるにはあるのですが、グループは2-3人での訪問が限界でしょう。日が暮れてからは混み合い行列が生じるので、早めに訪れることをお勧めします。私は平日の16時に訪れ、序盤の小一時間は貸し切り状態でした。
酒が安い。ビールは中瓶が600円で、ハイボールやサワーは500円。日本酒なんて2合で900円です。この辺りのちょづいた居酒屋は1合2千円に迫る勢いなので、当店の酒飲みへの優しさがが身に沁みます。まずはマグロ山かけ。マグロはさっぱりとした酸味があり粘りの強いとろろと絶妙に絡み合います。醤油を少し垂らし、刻み海苔とわさびが良いアクセント。
あん肝。まさに海のフォアグラであり、濃厚でクリーミーな味わいが特長的。添えられたもみじおろしとポン酢が、あん肝の濃厚さを引き締め、さっぱりとした後味をもたらします。日本酒の最良の友である。
刺身5点盛り。旬の魚を中心に彩りも鮮やかで目が足りない。とりわけカンパチと生サバが素晴らしく、日本酒とケミを起こし始めました。
なめろう。新鮮なイワシを、味噌、ネギ、ショウガなどと一緒にたたき合わせており、粘り気のある舌触りが酒を呼ぶ。青魚特有の脂の風味と、味噌のコク、薬味の爽やかな香りが一体となり、マジでエロイムエッサイム。
にぎりはセットものもありますが、私はその日のオススメを中心にお好みで注文させて頂きました。タネ・シャリ共に小ぶりなサイズで10カンぐらいは女子でも余裕。この日は少し炙ったキンメダイが良かったです。
〆にトロ鉄火巻。トロを贅沢に用いており、脂がシャリに溶け出し濃厚な旨味が心地よい。海苔の風味も豊かであり、思わず笑みがこぼれてしまう王道の味わいです。
以上を食べ、そこそこ飲んでお会計は7,500円。これは途中で親方に「注文しすぎだけど大丈夫?」と心配されたぐらいの飲食量であり、ネットの口コミを参考するに一般的には5千円前後に落ち着くようです。立ち飲みとは言え都心でツマミと鮨を腹いっぱい食べてこの支払金額は大変良心的。ポっと出の元ヤンが5万円超を当たり前に請求してくる最近の鮨界隈って何なんだろうと深く考えさせられた夜でした。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
- すし匠/ワイキキ ←このお店の真価が問われるのは数十年後のはず。
- 鮨m(すしえむ) ←東京という街が必要とする鮨屋。
- 照寿司(てるずし)/北九州 ←世界で最も有名な鮨職人。
- すし宮川/円山公園(札幌) ←人生でトップクラスに旨い鮨。
- 鮨さいとう/六本木一丁目 ←価格設定に色々と考えさせられる。
- 鮨 在(ざい)/広尾 ←これこれ、鮨とはこれですよ。
- 東麻布天本/赤羽橋 ←欅坂46のような鮨。
- 初音鮨(はつねすし)/蒲田 ←西の照寿司、東の初音鮨。
- 鮨 猪股(いのまた)/川口 ←にぎりのみの男前鮨を喰らえっ!
- 鮨舳/瓦町(高松) ←真っ当な江戸前。銀座の半額で何度でも通いたい。
- くるますし/松山 ←松山への旅行が決まればいの一番に予約したいお店。
- 天寿し/小倉 ←何度でも行きたいし、誰にでもオススメできるお店。
- 鮨 一幸(いっこう)/すすきの ←真摯に鮨に取り組む好青年。
- 鮨処木はら(すしどころきはら)/函館 ←鮨屋の答えは函館にあったのです。
- 鮨 十兵衛/福井市 ←福井への旅行が決まれば最初に予約したいお店。
- 鮨 大門/魚津(富山) ←東京の鮨はもうオワコン。
- 小松弥助/金沢(石川) ←「まごころでにぎる」を体現する鮨屋。
- 乙女寿司(おとめずし)/片町(金沢) ←私的北陸一番鮨。
すしのにぎりについての技術を網羅した決定版的な書籍。恐らくはプロ向けの参考本であり資料性の高い便覧でしょうが、素人が読んでこそ面白い傑作。写真がとても美しく、眺めているだけでお腹が空いてきます。