恵比寿と広尾の中間あたりに開業した「岡飯(OKAFUN、オカファン)」。ナチュラルワインと中華料理を楽しむことができるワインバーです。以前は「タベルナクアーレ クラシケ (Taverna Quale CLASSICHE)」というイタリアンレストランがあったテナントで、JR恵比寿駅東口から恵比寿通りを直進し、社会教育館交差点を左に曲がり少し歩いた右手に位置します。
これ以上は無い狭小店舗であり、それでも何とかカウンターに8席ほどを確保しています。2階は貸切スペースのようで、予約制で火鍋を提供をしているそう。お手洗いは一旦店舗を出たところにあり、とにかく狭い。そのため訪れるゲストは偶然通りがかった人々ではなく、事前に店のコンセプトを理解し、その体験を求めてやって来る目的意識の高い方々ばかりです。
当店はナチュラルワインが主力であり店主に全てお任せ。ドリンクメニューや価格表は一切無く不安を覚えるのですが、後からレシートを確認したところ、ビールは小瓶で800円、(私が楽しんだ)グラスワインは1杯1,300円でした。なお、ボトルワインの場合は小さなセラーからセルフで選ぶことができます。
青菜とアサリ炒め。シャキシャキとした青菜の食感と、アサリから溢れ出す濃厚な海の旨味が口いっぱいに広がります。ニンニクの香ばしい風味が食欲をそそり、アサリの滋味深い出汁が、炒められた青菜の甘みとほのかな苦みを優しく包み込みます。
中華風クレープ。程よく弾力を感じる生地に甘辛い味噌がたっぷり。キュウリやネギ、パクチーなど香り高い具材も組み込まれており、万人受けする味覚です。
よだれ鶏。一般的なそれとは異なり、ほんのりと温かく優しい味わい。程よくスパイシーであるものの決して乱暴な辛味を感じることはなく、円やかな調味と食感が記憶に残りました。
エビプリ。いわゆるエビマヨに近い料理であり、大粒でプリプリとした口当たりの海老にたっぷりのソースを楽しみます。ソースはマヨネーズ調ではあるものの決して単調でなく、程よい甘味が感じられ濃厚でクリーミー。
ラムワンタン。薄くなめらかなワンタンの皮を噛みしめると、中から羊肉特有の豊かでミルキーな風味が溢れ出ます。ワンタンだけでなくスープの味わいも見事であり、「広州市場(こうしゅういちば)」もそうでしたが、ここのところワンタンに恵まれた丁寧な生活をおくっています。
以上をつまみ、軽く飲んでお会計は6千円。ワインバーで旨いツマミが出てこの支払金額であれば妥当でしょう。ポーションは小さくあくまでツマミという位置づけであり、店主が独りで運営しているので腹いっぱい注文するには気まずいものがある。0次会や2次会に是非どうぞ。

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それほど中華料理に詳しくありません。ある一定レベルを超えると味のレベルが頭打ちになって、差別化要因が高級食材ぐらいしか残らないような気がしているんです。そんな私が「おっ」と思った印象深いお店が下記の通り。
- チャイナハウス龍口酒家(ロンコウチュウチャ)/幡ケ谷 ←東京の10,000円以下の中華だとダントツ好き
- 中華銘菜?陽(センヨウ)/東高円寺 ←率直に美味しくアラカルト可なのが嬉しい
- サエキ飯店/目黒 ←切れ味抜群
- ShinoiS(シノワ)/白金台 ←めちゃ美味しいんだけれど高いんだよなあ
- 4000 Chinese Restaurant/西麻布 ←王道中の王道の中華料理ですげえ旨い
- センス(Sense)/日本橋 ←あれだけ香港に通い詰めた結果、日本の飲茶が一番とは実に複雑な心境
- 南方中華料理 南三(みなみ)/四ツ谷 ←素晴らしい、何も言うことは無い
- 蓮香(レンシャン)/白金高輪 ←日本人が一般に想像する中華料理のイメージを打破する多彩な魅力
- 中華バル 池湖(いけこ)/渋谷 ←度を越した費用対効果
- 紫玉蘭/麻布十番 ←税込800円は神のなせる業
- VELROSIER (ベルロオジエ)/河原町(京都) ←フランス料理みたい
- 開化亭(かいかてい)/岐阜駅 ←過剰なものは何も無く、足りないものも何も無い
- Mott 32(卅二公館)/中環(香港) ←この中華料理はちょっと東京には無い
- Lung King Heen(龍景軒)/中環(香港) ←総合力という意味では香港における飲茶で私的ナンバーワン