大阪で豚足を食べようとなった際に、必ず議論の俎上にのるのが「豚足のかどや」。1951年の創業の老舗であり、地元民はもちろん観光客にも人気の居酒屋です。場所は難波駅を出てすぐで、このあたり都会過ぎて最寄り駅が何なのかよくわからないほどアクセス至便。
ピーク時には行列が生じますが、開店直後や16時頃であれば並ばずスっと座れます。仮に混んでいたとしても、長っ尻するような店でもないので、10~20分も待てば着席できるでしょう。
店内は雑多で年季が入っており、大阪らしい大衆酒場の雰囲気が漂います。壁には「かどやホルモンの歌」の歌詞が書かれていますが、どこまで本気なのかは不明です。
着席するとすぐに「ビール?」と聞かれます。友達かよ。その後も「何にする?」とカジュアルなやりとりが続き、一見でも常連客になった気分を楽しむことができます。ちなみにソフトドリンクや白ゴハンは置かれていないのですが、懐の深いことに持ち込みが認められています。
注文して数秒で提供される「生センマイ」。それなりに臭みはあるものの、ごま油ベースのニンニク塩胡椒ダレにパンチがあり、中毒性のある味わいです。ビールが進むのなんのって。
看板メニューの「豚足」。大きな鍋でじっくりと塩ゆでされており、トロトロでプルプルかつ透明感のある仕上がりです。ちゅるちゅるきゅるきゅるぷーるぷる。私は一年の多くを沖縄で過ごし、豚足を食べる量も中々のものですが、当店のそれは沖縄の豚足とはまた違った魅力が感じられました。
そのままでも美味しいですが、特製の味噌ダレも後を引く美味しさ。味噌ベースで程よく甘く、たっぷりの刻みネギが食欲を刺激します。ネギが少なくなればジャンジャンお代わりを持ってきてくれる気前の良さも嬉しい。
串焼きも充実しています。こちらは「せせり」で、首肉を炭火で焼き上げたひと品です。ジューシーで弾力ある食感と、香ばしい炭の風味が魅力的。
こちらは「ココロ」。いわゆるハツ、心臓の部分であり、プリッとした食感と濃厚な旨味が心に残ります。噛むほどに深い味わいが広がり、ビールと合わせるに最適のひと品です。
「牛赤身」の用意もあり、シンプルながらも牛肉本来の旨味をダイレクトに味わえるのが魅力的。これだけ牛肉を食べて3本で600円というのは破格と言えるでしょう。
白眉は裏メニューで無料の「スープ」。豚足を煮込んだ濃厚な煮汁に塩胡椒と青ネギを加えた液体で、豚骨ラーメンのスープとはまた違う濃厚な味わい。コクがあって体が温まる、唯一無二のひと品です。
以上を食べ、軽く飲んでお会計は4千円。これだけたっぷり食べてこの支払金額はリーズナブル。材料に真っ直ぐな味わいで、提供のスピード感も堪らない。通し営業で使い勝手も良い。他方、ハードボイルドな雰囲気で衛生的とは言い難い環境なので、そういう店だと理解した上で訪れると良いでしょう。万博のついで、難波観光の際に是非どうぞ。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。