epice t.(エピス)/広尾

2024年秋にオープンした「epice t.(エピス)」。南フランス方面の料理を提供するカジュアルなワインバーであり、広尾商店街に位置します。店名はフランス語で「スパイス」を意味するのですが、最後の「t.」はシェフのイニシャルであり、発音すべきかどうか私は知らない。
店内につき、1階はカウンター席と高さ高めのテーブル席(立ち飲み?)。2階はダイニングとなっているのですが、みな、1階でワイワイやってるお店です。

菅野智子シェフは調理師学校を卒業後、都内のホテルやレストランでフランス料理やフランス菓子の経験を積んだそうです。活動の中心はケータリングや料理教室、商品開発支援などのようであり、面白い立ち位置です。
グラスワインは千円かそこらですが、中々たっぷり注いでくれます。ところでネット上の口コミには「ナチュールワインおいち♡」のような表記が散見されますが、メニューを見る限り、それほどナチュールを推しているようには感じませんでした。ここ10年でナチュールって言いたいだけの半可通が増えてきたように思えます。
ラタトゥイユ。トマト中心の組み立ててで汁気が少なく濃厚な味覚。いま貴方が相当しているラタトゥイユの数倍濃く、旨い。なお、当店は作り置きのデリが中心という戦略ですが、待たせることがなくバババと出てきて気持ちいいですね。アラミニュイットが全てに勝るとは限らないのだ。
サーモンのエスカベッシュ。サーモンの一切れ一切れがシャケ弁のそれのように大きく食べ応えあり。パプリカ・タマネギ・ニンジンなどの付け合わせもたっぷりで、心地よい酸と共にカラダがキレイになる気がします。
リエットは一旦フライパンで温めてくれます。熱で脂が溶けることにより風味が際立つようになりました。これはありよりのありだなあ。ゴハンと一緒に炒めてチャーハンとかもイケそうな気がする。
野菜のグリル。ガタガタのついたフライパンで焼くだけのシンプルな料理ですが、野菜の美味しさがダイレクトに伝わり、素直に美味しい。
アショア。バスク地方の豚肉の煮込み料理であり、スパイスとハーブが織りなす奥深い風味が特長的。スパイシー過ぎず濃厚で温かみのある味わいです。こちらをツマミにちびりちびりやるもよし、コロンと可愛いパンに合わせて食べるもよし。
以上を食べ、3杯飲んでお会計は7-8千円といったところ。「デリが中心」と聞いた上で伺い、実際その通りなのですが、量はしっかりな上にスピーディーなので、思いのほか躍動感のあるディナーでした。ワインだけ飲みにくるゲストも多いのですが、ワインバーとしては料理が充実しており独特のポジショニングです。日常に溶け込むフランス料理とワイン。ご近所さんの生活の一部となり得る素敵なお店でした。

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