2024年12月にオープンした「La Gloire (ラグロワ)」。東京では久しぶりのゴリゴリのグランメゾンであり、店名はフランス語で「栄光」や「誉れ」を意味します。場所は赤坂・溜池山王で、以前は「シュマン(Chemins)」というレストランがあった場所です。
店内はシェフズテーブル的なカウンター席が4席に、ダイニングにテーブル席が配置されています(写真は一休公式ページより)。内装はカッコイイのですが照明が意味わかんないぐらい暗く、神泉の「ダム・ジャンヌ(dame‐Jeanne)」に匹敵するほど暗闇に包まれています。暗すぎて闇鍋している気分であり、せっかく色とりどりの料理やスイーツが並ぶのに勿体ないなあ。
鳴海陽人シェフは「ピエールガニェール」や「エメ・ヴィベール」、「フィリップミル東京」等で経験を積み、シャンパーニュの「シャトー・レ・クレイエール」で腕を磨いたのち、神楽坂「フロレゾン」で1ツ星を獲得。当店では開業に合わせてシェフに就任したようです。
ワインはパっとしないですねえ。リストは分厚いのですがどうにも表面的なラインナップであり、いずれも外資系ラグジュアリーホテルぐらいに値付けが高い。何とか値ごろなワインを探し出して注文しても欠品ばっかしで不動産屋の釣り広告みたいである。時間の無駄なので、在庫が無いものをリストに載せるのは本当にやめて欲しいです。
アミューズは非常に手が込んでいますねえ。帆立貝のムースからマッシュルームのサンドイッチ、パルメザンチーズのチュイルにブーダンノワールまで味覚も多様であり、今後の展開に期待で胸を膨らませます。
こちらは揚げ立てのコロッケで、中には百合根と牛テールが詰まっています。ホクホクとした百合根の優しい甘みとじっくり煮込まれた牛テールの重厚な旨味が融合し、もうこれだけでお腹いっぱい食べてしまいたいほどです。
スペシャリテの甘海老のタルタル。ねっとりとした濃厚な甘海老を細かくタルタルにすることで、舌に絡みつくような官能的な食感を引き出しています。その上に散らされた根菜には視覚的な華やかさががるのに照明が暗すぎるのが悔やまれます。
パンは2種類用意されており、いずれもフレンチレストランで食べるには最高峰の美味しさ。なのですが、ほんのチョロっとしたサイズを2切れ用意されるだけだったので、帰りにつけ麺食べて帰る勢いです。
パテ・アン・クルート。蝦夷鹿・鴨・ホロホロ鳥という三種の異なる野禽・家禽を用いて構築しています。味わいの骨格となるのは、蝦夷鹿の力強く赤身の濃い旨味、鴨の芳醇な脂の甘み、そしてホロホロ鳥の繊細ながらも独特な滋味。パイ生地の仕上がりも上々で、思わず目を閉じて上を見上げてしまうほどの旨さです。
モリーユ茸とリードヴォー。独特の網目状の傘の中には色んな美味しさが詰まっており、また、土台を支えるリードヴォーのミルキーでとろけるような食感と柔らかなコクも堪りません。白眉はソースヴァンジョーヌであり、クルミやスパイスを思わせる独特の酸化熟成香と力強い酸味がモリーユ茸の香りやリードヴォーの脂分と共鳴します。
お魚料理は金目鯛。ポワレすることで皮目はパリッと香ばしく、身はしっとりと上品な脂を蓄えた状態で仕上げられています。下に敷かれているのは浅利の旨味を凝縮したブイヨンであり、春キャベツやフキノトウと合わせて春の息吹を楽しみます。それにしても暗い。誕生日ケーキでも出て来るのかと思いきや、ずっと暗いままである。
メインはエゾジカのシンタマ。ジビエでありながら実に肌理が細かく、しっとりと柔らかな質感に驚かされます。野性味がありながらも決して重すぎず、赤身肉の純粋な美味しさを堪能できる逸品です。しかしながら暗すぎて滅。もっと光を!
お口直しに抹茶のグラニテなのですが、エルファバみたいな色合いで不気味です。これ、厨房は明るいライトで照らしながら作っているから気づいて無くて、まさかダイニングでこんなになってるって知らないんだろうなあ。客として店に行く1日の気づきは店側として働く1年の努力に匹敵するのだ。
デザートは濃厚で力強いチョコにブラッドオレンジを合わせます。添えられたアイスからはローズマリーの風味が感じられ、エレガントで記憶に残る余韻を届けてくれます。ちなみにこの写真は夜景モードで撮りました。
お茶菓子も実に手が込んでおり、いずれも大変美味しい。スイーツだけ切り出して専門店を始められる勢いです。パティシエールは日本屈指の腕前で、せっかくこんなにかわちいモノを作っているのに暗闇で食べられるとは実に気の毒です。
以上を食べ、何とか安価なワインをセレクトしましたが、それでもお会計はひとりあたり4万円台半ば。ドリンクが高すぎて滅。また、値段だけでなく店中に小さな違和感が沢山あって、それらが積み重なって何だかなあというお気持ちです。
神楽坂「フロレゾン」のほうが断然良かったなあ。あそこはオーナーがソムリエで、ワインやフランス料理文化に対する愛情がたっぷりと感じられたのですが、こっちは何だかビジネスライクで色々と表面的。私の周囲のフランス料理愛好家が口を揃えて酷評する理由がよくわかりました。
もちろん料理は文句なしに美味しいので、明るく安価なランチタイムに訪れ、「水でいいです」で通すのがベストソリューションかもしれません。お疲れさまでした。
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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
- オトワ レストラン(Otowa restaurant) ←本気でフランスの料理文化に取り組んでいる。
- ガストロノミー ジョエル・ロブション (Joel Robuchon) ←やはり完璧。
- La couleur d'ete(ラ クルール デテ) ←選んだ孤独は良い孤独。
- ナリサワ ←何度訪れても完璧。
- フランス料理研究室 アンフィクレス (AMPHYCLES) ←古典フランス料理の愛好家にとっての最終目的地。
- L’ESSOR(レソール) ←一斉スタートのちょづいた港区料理店は100回生まれ変わっても敵わない本物感。
- 現代茶寮 銀座?月堂 ←食文化の担い手としてヘタなことはできないという使命感。
- elan(エラン) ←表参道のナポレオン。
- 銀座 大石 ←自分が働くならこういう職場。
- ル・マンジュ・トゥー ←接客は完璧。料理は美味そのもの。皿出しのテンポも良く、とにかく居心地の良いお店。客層も好き。
- エルヴェ(eleve) ←アラカルトでもコースでも自由自在。
- TAIAN TOKYO(タイアン トウキョウ) ←流行り廃りに捉われないマッチョな料理。
- アサヒナガストロノーム ←そこらのフランス料理店とは格が違う。
- エステール(ESTERRE) ←料理もサービスもパーフェクト。外せない食事ならココ。
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