ブラッセリー トモ/麻布十番

Brasserie Tomo 。麻布十番商店街のキャンドゥの向かいのビルと、便利な場所に位置します。
 壁一面が窓なので採光が最高。
グラスの泡は小ぶりであり一息で乾いてしまいました。
アミューズはツブガイ。粒のあるマスタードで和えてあって取り合わせの妙。新しい食べ方の提案。
前菜は豪華絢爛。レストラン間の料理をさらに煌びやかに盛り付けたような一皿で嬌声が上がります。
ずわいカニのほぐし身に生うに、カツオ出汁のジュレ。言わずもがなの地上の楽園。クリーミーな生うにがカニとカツオの旨味の両者を取り持ちます。
エダマメにトマト、アスパラガス、トマトのジュレ。これは構成要素がバラバラでまとまりがありませんでした。先のジュレとも趣旨が被るので、クリームなどを用いて調和を演出するのも良いかもしれません。
黒鯛は実に元気いっぱい。モグモグと数分間かみ続けられるほどタフな身であり、口腔内で味わいを長時間維持できます。
いわゆるネギトロを味噌味で。当然に美味しいですね。
バゲットはごくごく普通ですが、ネギトロをたっぷり塗りつけて食べるのもまた一興。
松茸をカモで包んだ贅沢な一品。旨味は強いが香りは弱い鴨肉と、香りは強いが旨味は弱い松茸を互いに補い合わせるというコンセプト勝利。
ヴィシソワーズ。冷たいジャガイモのポタージュです。これまでの料理が創意に満ち溢れていたのに、ヴィシソワーズはこれでもかというぐらいのド直球。この緩急の付け方は嬉しくなってしまいます。ジャガイモの甘味とバター、および生クリームのコクがどこまでも正統派。食器は当然のこと、スプーンまでも冷やされており、こだわりを感じます。
メインはタイのポワレ、牛頬肉の赤ワイン煮、ローストポークたっぷりの野菜と共に、のいずれかから選択です。通常であれば牛か豚を選択したところですが、前夜は朝の4時までの深酒。さすがにおとなしく魚にしました。

が、ミスチョイスの恐れあり。いわゆる普通のタイのポワレでした。これまでの独創性のある品々から、和魂仏才はっきりしたメインを期待していたのですが、非常に平板で特色の無い調理です。美味しいのですが、これまでの料理と比べると押しが弱く感じてしまう。
デセールは梨。品の良い甘さに満ちた生地と丁寧に処理されたナシ。それを取り囲む旬のフルーツ。3,000円のランチコースでこのレベルの甘味は見事です。
たっぷりのコーヒーで〆てごちそうさまでした。

3,000円のコースとしては、素晴らしい品々に溢れた昼食でした。場所は十番の目抜き通りのビル2F。きっと目を剥く家賃の高さでしょうに、この価格でこれだけの料理を提供できるのは賞賛に値します。次回は是非ディナーでフルフルのコースでシェフの駿才を存分に堪能したい。



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麻布十番にはフランス料理屋がたくさんあるのですが、残念ながら割高でハズレなお店も多い。外さない安定したお店は下記の通り。
東京カレンダーの麻布十番特集に載っているお店は片っ端から行くようにしています。麻布十番ラヴァーの方は是非とも一家に一冊。Kindleだとスマホで読めるので便利です。


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