【2025年11月最新】今が狙い目な旅行先、香港

2年ぶり100回目の香港。10月末から11月初旬にかけては上海蟹(大閘蟹)の旬がメスからオスへとバトンタッチされる時期であり、そのタイミングで中国を訪れると両方楽しむことができるという神回です。
前回お邪魔した際は「香港はもうオワコンかもしれない」と心配したものですが、データを見ると観光客の「数」そのものは回復しているようで、2024年には約4,450万人もの観光客が香港を訪れています。ただしその「内訳」は劇的に変化しており、約4,450万人のうち、約3,400万人(全体の4分の3以上)が中国本土からの訪問者で、やはり欧米の旅行者は大幅に減少しています。
その理由のひとつとして 政治的・地政学的なイメージの変化が挙げられるでしょう。2020年の「国家安全維持法(NSL)」の施行後、米国務省などは「現地法の恣意的な執行のリスク」を挙げており、これが欧米の一般観光客やビジネス客に「安全な旅行先ではないかもしれない」という認識を広げる一因となっているようです。駐在員も減少しているため、彼らを訪ねてくる家族や友人といった層の訪問も減っていると考えられます。
また、香港ドルは米ドルと連動(ペッグ)しているため、欧米人から見ても、円安で割安感のある日本や、物価が比較的安いタイ、シンガポールといった他のアジア諸国と比べて、香港は非常に「割高」な旅行先に映るようです。
それでも香港を訪れる物好きの欧米人は、訪日外国人に比べてマナーが格段に良いですね。写真はハロウィン真っただ中の蘭桂坊(六本木みたいな歓楽街)なのですが、皆、大人しくスマホで撮り合っているだけであり、渋谷のように酒を飲んで乱痴気騒ぎ、みたいなシーンは一度も見かけませんでした。恐らく「現地法の恣意的な執行のリスク」を気にかけての上品な振る舞いなのでしょう。ジョニー・ソマリのような迷惑系Youtuberは一発で牢屋行きもあり得ます。外国人比率が極めて多いドバイやシンガポールなども上手く共生しているようですし、このあたりの運用は日本も見習うべき点が多いでしょう。
ところで香港は「割高」だと記しましたが、ホテルについては一時期よりも落ち着きを見せ始め、今や東京・大阪・京都よりも安いくらいです。タクシーやUberはもともと安価であり、カジュアルな中国料理店も当然に日本よりもレベルは高く値段は安い。変に高級なレストランや買い物さえしなければ意外に安くつく、狙い目な旅行先かもしれません。何より街全体がエネルギッシュで、自然とワクワクする楽しさがあります。


<ホテル>
■グランド ハイアット 香港(Grand Hyatt Hong Kong)/湾仔
https://www.takemachelin.com/2025/11/grand.html
風格のあるホテルでした。巨大なホテルであるためスタッフの質にバラツキがあるものの、総じてレベルが高い。とりわけレストランやラウンジの質が良く、料飲部長と握手したいぐらいです。

■香港スカイシティ・マリオット・ホテル(Hong Kong SkyCity Marriott Hotel、香港天际万豪酒店)
https://www.takemachelin.com/2025/11/marriott.html
香港国際空港から電車で1駅、アジアワールド・エキスポ(AsiaWorld-Expo)に直結し、エントランスからは香港国際空港・MTR東涌駅に向かう無料のシャトルバスがそれぞれ30分間隔で運行しています。香港の中心地までは電車で30分、ランタオ島での観光の拠点ともなるし、香港ディズニーランドまではタクシーで15分ほどと使い勝手良し。「翌日のフライトが朝早い」という雑な理由で泊まった割に、大変満足した滞在でした。


<飲食店>
前述の通り、カジュアルな中国料理店は当然に日本よりもレベルは高く、値段は安い。また、街のジュース屋や屋台なども高くなく、お店さえ上手く選べば少ない予算でも充分に楽しめる旅行先です。

■个園竹語(Gold Garden Shanghai Cuisine)/尖沙咀
https://www.takemachelin.com/2025/11/gold.html
上海蟹(大閘蟹)を目的として、上海料理専門のファインダイニングに予約を入れました。蟹味噌入りフカヒレ煮込み、蟹味噌入り小籠包、何でもかんでも蟹味噌ソース。わたし絶頂に達しました。 それでも東京の3分の1から半額で済みやはり名物というものは、それを得意とする土地で食べるべきだと再認識したディナーでした。

■祥興記上海生煎包(Cheung Hing Kee Shanghai Pan-fried Buns)/尖沙咀
https://www.takemachelin.com/2025/11/pan.html
上海伝統の「生煎包(焼き小籠包)」を専門としており、メディア露出も多く、ミシュランではビブグルマンに選出されています。 店の前に絶え間なく続く行列が、そこがただの屋台ではないことを物語っています。 

■Grand Café(グランド カフェ)/グランドハイアット香港
https://www.takemachelin.com/2025/11/cafe.html
大満足のホテル朝食でした。料理が豊富で、様々な野菜にフルーツ、フレッシュジュースの用意は当然として、香港らしく点心や麺類、粥などの用意もあります。このあたりの地元感を意識したラインナップはクアラルンプールのグランドハイアットを想起させる充実度です。 

■楽天皇朝(Paradise Dynasty)/東涌
https://www.takemachelin.com/2025/11/paradise.html
Citygate Outletsという巨大アウトレットモール内にある人気中華チェーン店。発祥はシンガポールであり、香港一円はもちろん銀座や京都にも展開しています。 雰囲気はカジュアルですが日本のホテル中華に比肩するクオリティであり、土産土法しか勝たんという結論に至りました。多言語対応のQRコードからの注文なので旅行者でも安心。空港前泊のディナーに是非どうぞ。 

■シルバークリスラウンジ(SilverKris Lounge)/香港国際空港
https://www.takemachelin.com/2025/11/silverkris.html
香港への往復はANAを使用したのですが、香港国際空港でのチェックインの際に「シルバークリスラウンジ(SilverKris Lounge)」の利用をご案内頂けました。シンガポール航空が運営するラウンジであり、特筆すべきはドリンクプログラム。何とシャンパーニュもオンリストされており、ビジネスクラスラウンジでシャンパーニュの用意があるというのは珍しい。 
ワンタン麺やラクサ、お粥などの用意もあり、コンパクトながらも中々レベルの高いラウンジでした。

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らーめん田丸(たまる)/目黒

JR目黒駅西口から権之助坂を下ること約5分の場所にある「らーめん田丸(たまる)」。1945年創業の歴史ある店であり、目黒在住者で知らない人はいないでしょう。「日本一ラーメンを食べた男」として知られるムッシュ大崎裕史が、数あるラーメン店の中で最も多く通った店として公言している店でもあります。
店内はL字型のカウンター席のみで構成され、9席から11席ほどの小ぢんまりとした空間。昔は行列の絶えない店だったようですが、私がお邪魔した際のゲストは私のみ。スタッフも外国人のワンオペであり、唐突にワンオンワンが爆誕しました。
1,100円の「チャーシューワンタン麺」と350円の「ミニそぼろ丼」を注文。ラーメンの器が一般的なラーメン丼ではなく、深さの浅いカレー皿のような独特の形状の器での提供が定番。結果としてスープが少なく冷めるスピードが速いため、賛否は両論です。
全体として昭和テイストな味覚であり、それを「しみじみ優しい」と表現するか「深みに欠ける」と表現するかは貴方次第。チャーシューも硬く冷え切っており、少ないスープに沈めて温める必要があり難儀します。茹でられたキャベツも潜んでおり、時に物議を醸すアイデンティティの象徴的な要素のひとつと言えるでしょう。
ワンタンも餡は少なく皮ばかりであり、チェーンの「手包みわんたん麺 広州市場(こうしゅういちば)」は旨いラーメンに雲吞が10粒も乗って千円を切るのだから色々と考えてしまいます。
途中、近隣の居酒屋のスタッフがOEMの餃子をテイクアウトしており、何かトラブルが生じた際の責任分界点は何処にあるのだろうと無用な心配をしてしまいました。
麺は中太から中細の、緩やかなウェーブがかかった縮れ麺が採用されています。デフォで柔らかめに茹で上げられており、食べ進めるうちに更に柔らかくなります。現代的なアルデンテの食感を好む層からは明確な欠点として指摘されることでしょう。
「ミニそぼろ丼」は独り暮らしの大学生の自炊のようなビジュであり、キムチは乳酸発酵が進み過ぎており酸味が強烈。乱雑にカットされたネギは辛く、何か罰でも受けているような気分になりました。
以上の合計が1,450円。昔ながらのラーメン屋でありつつも、役目を終えたという印象。それでも訪れてみたいという奇特な方は、「ネギチャーシューメン」が100円引きで提供されるランチタイム、もしくは毎月23日の「お客様感謝デー(ラーメン600円)」を狙って訪れると良いでしょう。おつかれさまでした。

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目黒は焼鳥やトンカツ、カレーにラーメンと生活に密着した飲食店が多く、そのいずれのレベルも高い。地味ですが豊かな食生活が約束されている街です。
市や区など狭い範囲で深い情報を紹介する街ラブ本シリーズ。2015年の『目黒本』発売から約4年の年月を経て、最新版が登場!本誌は目黒に住んでいる人や働いている人に向けて、DEEPな目線で街を紹介するガイドブックです。

らーめん丸富(まるとみ)/広尾

恵比寿と広尾の中間に位置する昭和レトロな店構えが特徴の「らーめん丸富(まるとみ)」。1986年創業の老舗であり、豚の背脂を金網でスープに振りかける「背脂チャッチャ系」というスタイルを確立した「らーめん香月(かづき)」の味わいを現代に受け継いでいると知られています。
店内はL字型のカウンター10席ほど。奥に6テーブル席があるようですが、スタッフがネギを切る作業場に転用されていました。また、カウンターには灰皿が置かれ、私が訪れた際は前客が使用したティッシュがその中に放置されています。これもまた、この店が守り続ける昭和の食文化の一部なのでしょう。
最安値の「醤油らーめん」を注文したのですが、それでも千円もします。動物系の風味を感じるスープであり、背脂が浮いているにもかかわらず思いのほかあっさりしています。具材はほんの少しの海苔、メンマ、ネギ、チャーシュー。価格を正当化するだけのボリュームを感じ取ることはできませんでした。
麺は細めのストレート麺ですが、スーパーの麺コーナーで売られているものと大差ないクオリティです。量が少なく、伸びている。
とりわけチャーシューがダメですね。冷たい肉の塊が無造作に鎮座しており、熱々のスープに浸してもその中心部は頑なに冷たいまま。スープはチャーシューを温めようと健気にその熱を分け与えるのですが、結果としてスープ自身の温度が奪われ、丼全体がぬるくなるという結末を迎えました。脂はいつまでも溶けずに舌にまとわりつき、肉は硬くもそもそとした食感。味気ない肉の繊維をただ咀嚼するだけの虚しい作業を強いてきます。
歴史あるラーメン屋のようですが、私の口には合いませんでした。質も量も価格もスキー場で食べるラーメンのようであり、トッピングやサイドメニューも驚くほど高価。同じ背脂系で比較すると、チェーンの「手包みわんたん麺 広州市場(こうしゅういちば)」は旨いラーメンに雲吞が10粒も乗って千円を切るのだから悪い冗談としか思えません。俺は認めないぞ。俺は認めない。

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広尾は初デートに良い街です。謎にハイセンスな雰囲気と下町的な親しみやすさが同居する。飲食店も都内トップクラスの名店が比較的リーズナブルな価格設定に落ち着いています。
[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

東京最高のレストラン2024
価格:2,420円(税込、送料無料) (2024/1/13時点)

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香港スカイシティ・マリオット・ホテル(Hong Kong SkyCity Marriott Hotel、香港天际万豪酒店)

香港国際空港から電車で1駅、アジアワールド・エキスポ(AsiaWorld-Expo)に直結する「香港スカイシティ・マリオット・ホテル(Hong Kong SkyCity Marriott Hotel、香港天际万豪酒店)」。翌日のフライトが朝早いので前泊として利用させて頂きました。
天井が高く、窓が大きく開放的なロビー。2008年に開業し、2019年に大規模な改装を経てはいるものの、それなりに歴史あるホテルです。総客室数は658室。最先端のデザインを誇る新規開業ホテルとは異なり、手入れの行き届いた既存の高級施設と理解しましょう。
いちばん安いお部屋に予約を入れたのですが、それでも広さは30平米以上はありそうで、2人で泊まるには充分です。お向かいの「レガラー・スカイシティ・ホテル(Regala Skycity Hotel)」に泊まったこともあるのですが、値段が大差ない上に超狭かったので絶対に許さない。
広々としたワークデスクやソファもあり、また、回線速度も下り40-50Mbpsは安定的に確保しており、ビジネスでの長期滞在にも耐え得ります。飛行機の離発着音が気になりますが、空港の真横なので仕方ありません。
ミネラルウォーターは無料で冷蔵庫は空っぽと、イマドキのビジホスタイル。装備は最低限ではありますが必要にして十分といった印象です。
クローゼットは中くらいの大きさで、セーフティーボックスも完備。脇にあるスーツケースをバカっと開くスペースが潤沢で、色々と使い勝手が良いです。
ウェットエリアはバスタブ・シャワー・トイレなどがひとつにまとまっています。香港の、この価格帯のホテルでバスタブまであるのは珍しい。全てが大理石仕様であり、どっしりとした使用感があります。
トイレが独立型でないのが玉に瑕。とは言え粗探しをしてこの程度です。
ボールルームやフィットネスセンター、スパやプールは地下で繋がる別棟に配置されています。かなり本気なトレーニング機器が豊富に揃っており、ホテルのジムとしては優秀オブ優秀です。
全長25メートルの屋内温水プール。子供の水遊びというよりはガチ勢がガチ泳ぎするためのプールであり私嬉しい。プールサイドには、ジャグジー、サウナ、スチームルームも完備されており私嬉しい。
エントランスからは香港国際空港・MTR東涌駅に向かう無料のシャトルバスがそれぞれ30分間隔で運行しています。香港の中心地までは電車で30分、ランタオ島での観光の拠点ともなるし、香港ディズニーランドまではタクシーで15分ほどと使い勝手良し。「翌日のフライトが朝早い」という雑な理由で泊まった割に、大変満足した滞在でした。

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シルバークリスラウンジ(SilverKris Lounge)/香港国際空港

香港への往復はANAを使用したのですが、香港国際空港でのチェックインの際に「シルバークリスラウンジ(SilverKris Lounge)」の利用をご案内頂けました。シンガポール航空が運営するラウンジであり、ターミナル1のゲート5付近に位置します。

ファーストクラスエリアとビジネスクラスエリアに分かれており、私はダイヤモンド会員なので当然にファーストクラスエリアに向かったところ、「ここではファーストクラス搭乗者のみ利用可能だ」と通せんぼされ、とても悲しかったです。
気を取り直してビジネスクラスエリア。エントランスから続く長い廊下を抜け、ウェットエリアを通り過ぎ、メインエリアへと至ります。ダイニングエリアとバーカウンターが配置され、更に奥に進むと個室風のワークスペースなどの用意もあります。
料理は点心、チャーハン、麺類、スープなど、中華料理を中心としたアジア系のホットミールが主体となっており、これに加えて、サラダ、フルーツ、パン、ペストリーといったコールドミールや、香港では何故かバカ高いハーゲンダッツのアイスクリームも用意されています。
特筆すべきはドリンクプログラムで、何とシャンパーニュもオンリストされていました。ビジネスクラスラウンジでシャンパーニュの用意があるというのは珍しく、また、ややこしいカクテルやミルクティーなども楽しむことができます。
私は朝食の時間帯に訪れたので、サラダや玉子料理を中心に楽しみました。味は、まあ、一般的なビジネスクラスラウンジのクオリティといったところです。
点心は恐らく冷凍食品ではあるのですが、エビや豚肉がギッチギチに詰まっており、成城石井の総菜に比肩するレベルです。これらをツマミに朝からシャンパーニュが進むのなんのって。
ワンタン麺やラクサ、お粥などの用意もあり、コンパクトながらも中々レベルの高いラウンジでした。(シンガポール航空にとっての)外国にこのレベルのラウンジを設置できるってすごいなあ。日系エアラインの国外ラウンジはホノルルのANAラウンジだけなので頑張って欲しいなあ。

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