Hilton Auckland(ヒルトン オークランド)/ニュージーランド

オークランドの中心部、プリンセス・ワーフの端に位置する「Hilton Auckland(ヒルトン オークランド)」。海上300メートルに突き出すように建設された面白いロケーションであり、港に停泊するクルーズ船のような威容を誇ります。
全187室と、プレーンな「ヒルトン」としては珍しく小さなサイズ。そのためかスタッフは全体的に親切で、ヒルトンらしからぬ温かみを感じました。とは言えここはオセアニア、サービスの内容は限定的であり、チェックインの後はそのまま自力で荷物を持って部屋へ向かう必要があります。
我々は「King Deluxe Harbour View」というお部屋が割り当てられました。広さは35平米であり、2人で短く過ごす分には悪くない広さです。ただ、65平米の「パークハイアット オークランド(Park Hyatt Auckland)」から引っ越してきた身としては流石に狭く感じてしまいます。
当館は2001年に建設された歴史あるホテルであり、物理的な設備の面で若干の見劣りを感じます。加えてところどころ薄汚れており、清掃が甘く、日本のビジネスホテルのほうがハウスキーピングのレベルは上でしょう。なお、寝具そのものの質は悪くありません。
テラスからの眺望はまさにクルーズ船からのそれに該当します。かなりの海をクルーズ船で旅してきた私が言うのだから間違いは無いと信じたい。なお、本当に目の前にクルーズ船が停泊していることがあるそうで、その際は眺望が遮られるのでご注意を。また、フェリー乗り場も目の前で、近くを航行する船のプップーという音も朝から晩まで結構うるさいです。
ワーキングデスクはあるのですが、とりあえず置きましたという程度であり機能性には乏しい。コンセントがユニバーサルタイプでないのは我慢できるのですが、ネットの回線速度が遅く不安定なのは難儀しました。
無料の飲み物はネスプレッソ、ティーバッグ、ミネラルウォーター程度であり、その補充もあったりなかったりと流石のヒルトンクオリティです。
ウェットエリアはそれなりに広いのですが、とにかくボロくて汚いですねえ。「パークハイアット オークランド(Park Hyatt Auckland)」についてはかなりの苦言を呈したつもりですが、すんませんハイアットさんお宅のほうが全くレベルが高いです。
コンクリートの塊のようなバスタブと金魚鉢のようなシャワーブースには距離があり、また、トイレも洗面所もすべて同じ空間にまとめられているので使い勝手が悪い。家族でない他人と宿泊するには厳しい誂えです。
共用設備に参ります。が、ちなみに当館にはエグゼクティブラウンジのような洒落たものはなく、アルコールのチケットなども提供されません(2025年8月現在)。これはレセプションの方が「申し訳ないが、ニュージーランドのヒルトンにそのようなものはない」と、ちっとも申し訳なさそうな顔で言い切っていたので間違いないでしょう。
フィットネスセンターはあるのですが、特に面白味のないラインナップです。もちろん200室にも満たない小ぶりのホテルなので、こんなものと言えばこんなものかもしれません。ちなみに自慢の屋外温水プールは工事中で、必要であれば近隣のフィットネスクラブの利用券を提供するとのことでした。
ディナーで一度だけメインダイニングの「FISH Restaurant(フィッシュ レストラン)」にお邪魔しました。ヒルトンの一員としてだけでなく、飲食店そのものとして評価の高いレストランであり、飲んで食べてひとりあたり1万円程度で済みました。外資系ホテルのメインダイニングでしっかり飲み食いしてこの支払金額はお値打ち。詳細は別記事にて。
なお、朝食も同じ「FISH Restaurant(フィッシュ レストラン)」で提供されるのですが、いわゆるコンチネンタルスタイルの簡素なものに留まります。ダイヤモンドメンバーであっても温かい料理は追加で10ドルを請求され、淹れ置きでないコーヒーを楽しみたい場合は更に5ドルを徴収されるという、何か罰でも受けているかのような気分を味わえる仕組みです。
もちろんこれは当館のルールというよりは、近年のヒルトングループ全体での取り組みであるため、諦めるほかありません。つまり、ニュージーランドのヒルトンにおいてダイヤモンドメンバーとしての特典は何もないに等しいので、仮に貴方がヒルトンのステータスホルダーであったとしても、ヒルトンブランドに縛られることなく他の好きなホテルに泊まることをお勧めします。そのほうが納得感がある。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。