きんそば/首里(那覇市)

 首里平良町の「きんそば」。特注の生麺とカツオ出汁の綺麗なスープが評判の沖縄そば専門店です。ゆいレール儀保駅から歩いて15分ほどの場所に位置し、私の推しのフランス料理店「ビストロ アビエ(BISTROT HABILLER)」の近くです。軒先に駐車場も数台用意されています。
店内は明るく清潔感があり、テーブル席主体というのもあってかファストフード店のような印象を抱きました。先に注文・会計を済ませてから着席したり、お水などはセルフサービスであるあたり、やはりマック感ある。
私は「炙りきん"肉"そば」に無料の「ひとくちジューシー」、「ゆし豆腐」も付けてもらって合計で1,330円です。肉類は炙られたのち別皿で用意されるのですが、きちんとお皿が温められており、プロとしての矜持を感じました。皿キンキンの老舗フレンチとは職業意識がダンチです。
スープは鰹節と昆布、鶏ガラでしょうか。カツオの華やかな香りが強く感じられ、口に含むと鶏ガラの厚みのあるコクが追いかけてきます。塩気は角が取れてまろやかで、あっさりとしているのにボディが逞しい。毎日でも食べたくなる飽きの来ない味覚です。
麺は「特注生麺「特注全粒粉生麺」「西崎製麺所のゆで麺」「特注よもぎ生麺」のいずれかからのチョイスであり、私は「よもぎ生麺」を選択しました。鮮やかな緑色を含んでいるもののヨモギ特有のほろ苦さは決して強すぎず、上品なハーブのようなアクセントとして機能しています。最大の特長は乾燥麺や茹で置き麺には出せない生麺ならではの圧倒的なコシと弾力。ツルツルとした喉越しも良く、スープを程よく持ち上げながら、麺そのものの旨味を存分に主張する存在感のある麺です。
お肉は「炙り本ソーキ(スペアリブ)」「炙り軟骨ソーキ」「炙り三枚肉(皮付き豚バラ肉)」の3種。炙られることで脂の甘みと旨味が活性化し、ワイルドな香ばしさが鼻を抜けます。トロトロのコラーゲンと、カリッとした香ばしさのコントラストが心地よく、ねっとりとした旨味が炙りの焦げ目と合わさることで、まるでキャラメリゼされたような濃厚なコクを生み出しています。
「ゆし豆腐」は糸満市の有名店「宇那志(うなし)豆腐店」謹製。一般的なゆし豆腐に比べて大豆の密度が高く、濃厚な豆の甘みとクリーミーなコクがしっかりと感じられるのが特長的。きんそば独自のスープと合わさることで、スープ全体が豆乳鍋のようにまろやかで優しい味わいに変化します。そういえば先日お邪魔した「とまり食堂」も宇那志豆腐店のものを用いていました。
平日限定で無料で提供される「ひとくちジューシー」。ぜんぜん「ひとくち」ではなくしっかりと量があり、豚肉やカツオの出汁をベースに、ひじきや人参などの具材とともにふっくらと炊き上げられています。量・味ともにオマケの域を超えている。フルサイズにしても130円なので、普通に注文したとしても満足すること間違いなし。
推しのフレンチの近くに、これほどハイレベルな沖縄そば屋があるとは、この界隈のポテンシャルには驚かされるばかりです。これだけ手間暇のかかった三種の肉とこだわりの豆腐を堪能し、お腹も心も満たされて1,330円。素晴らしい費用対効果と言えるでしょう。首里方面へ行く際の、新たな選択肢として定着しそう。麺の種類を変えればまた全く違った表情が見られそうであり、次回は全粒粉麺にするか、あるいは王道の特注生麺に戻るか。何度でも通いたくなるお店です。

食べログ グルメブログランキング


関連記事
寒い季節は沖縄で暮らしているので、旅行やゴルフだけで沖縄に来る人よりかは一歩踏み込んでいるつもりです。沖縄の人ってネットに書き込みしないから、内地の人が知らない名店が結構多いです。
沖縄通を気取るなら必ず読んでおくべき、大迫力の一冊。米軍統治時代は決して歴史のお話ではなく、今の今まで地続きで繋がっていることが良くます。米軍の倉庫からかっぱらいを続ける悪ガキたちが警官になり、教師になり、ヤクザになり、そしてテロリストへ。沖縄戦後史の重要な事件を織り交ぜながら展開する圧巻のストーリー構成。オススメです。