霊峰・月山の麓で1929年に創業し、日本で初めて「山菜料理」を専門体系として確立させた料理旅館「出羽屋(でわや)」。もともとは出羽三山(月山・羽黒山・湯殿山)に向かう宿坊的役割を担う施設だったようですが、現在は山岳ガストロノミーの最先端として各種メディアに取り上げられ、食べログではシルバーメダルを受賞。ゴエミヨにも掲載されるようになりました。
何だか物凄い肩書ですが、宿そのものは古き良き日本の旅館といった風情です。土蔵を改装して開設したシェフズテーブルが話題ではありますが、ロビー脇に併設された「そば処」のランチは予約不要。数多くの山菜とキノコをを出汁とともに煮込んで味わう「月山山菜そば」が人気です。
我々は1泊2食付きのプランで滞在しました。チェックインは16時~とやや遅め。最初から布団が敷かれているスタイルです。
客室内は典型的な旅館といった設えであり、子供の頃の家族旅行を思い出します。エンタテインメントはテレビが主力であり、wifiはあるにはあるのですが、下り1-2Mbpsとドパガキには厳しい環境かもしれません。パソコンを触るためのデスクなども当然に無いため、仕事などを持ち込まないよう気を付けましょう。
ウェットエリアも親戚の家のようなニュアンスがあり心和みます。とは言えこれだけ広いのだから、トイレは独立型にしてもらいところです。
お風呂も実家みに溢れています。ちなみに当館の浴場は天然温泉ではなく、湯船を満たすのは月山自然水の沸かし湯。館内3階に共同浴場もあるのですが、連れが首を傾げながら帰って来たので、私は部屋のシャワーで済ませました。
夕食は別のお部屋に用意されます。我々は「おふるまい料理」という、宿による最高級のおもてなしコースを予約しました。詳細は別記事にて。
夜はあまり良く眠れませんでした。水道管(?)の劣化なのか断続的にウェットエリアのほうからギョエーという音が響き上手く寝付けず、また遮光意識の無いスタイルでもあり明け方からギンギラギンに明るいのですっかり睡眠不足です。淡路島「グランシャリオ北斗七星135°」の天井窓を思い出しました。
1泊2食付きでひとりあたり33,000円。唯一無二の山岳ガストロノミーを心ゆくまで楽しんでこの支払金額はリーズナブル。とは言え各種メディアの神格化はいささか過熱気味に感じました。土地の食文化を深く知る貴重な体験として間違いなく価値はありますが、分かりやすい快楽や高揚感を求める食事とは別ベクトルの、極めて通向けな世界です。私のような若輩者にはその深淵を真に理解しきれなかったのかもしれません。良くも悪くも、食べる側のリテラシーが試される一軒でした。
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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。
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