2025年1月、権之助坂を下って合流するあたりにオープンした「camalice(カメリーチェ)」。店名はイタリア語の「Camaleonte(カメレオン=柔軟性・多様性)」と「Felice(幸せ・喜び)」を組み合わせた造語だそう。私の推しのトンカツ屋さん「大宝(たいほう)」の道路を挟んで向かい側です。
店内は厨房を囲むカウンターに7-8席とテーブル席がいくつか。狭小とまでは言いませんが、なかなかギュウギュウな座席配置です。
近藤克哉シェフはフランス料理出身で、東麻布の「ラ リューン」や「WE ARE THE FARM恵比寿」で経験を積んだ後、グローバルダイニングを経て独立したようです。
飲み物は高くなく、いずれも1杯千円を切ります。ボトルのワインは入口近くのセラーから自由に好きなものを選ぶ形式。ボトルも3千円台からと手頃なワインが揃っていました。前菜の5種盛り。フキをアラビアータ風にしたり、ビーツをポテサラに混ぜ込んだりと遊び心が伺えます。
バーニャカウダ。当店のお野菜は群馬県赤城山の「KABA FARM」から無農薬野菜を仕入れているようで、なるほどシンプルに野菜の味そのものを楽しむ仕組みです。
牛肉のカルパッチョ。外側に結構火が通っており、生肉というよりはローストビーフの薄切りのような仕様です。ちなみにカルパッチョにつき、日本人は白身魚を思い浮かべがちですが、本来は牛肉とチーズを用いて作るものであり、画家ヴィットーレ・カルパッチョの赤と白の絵画にちなんで名付けられましたこれ豆な。ゴルゴンゾーラのニョッキ。ひと粒ひと粒が大きく、モッタリと食べ応えがあります。一方でソースの塩気と旨味はそれほどでもなく、ニョッキのモッサモサパワーに圧倒されている感が無いこともない。
メインはチキンタツタ。高温でガリっと揚げられパワフルな味覚。ただ、コチラは2人で1皿であり、味は悪くないのですが、かなり物足りなく感じました。パスタは「イベリコベーコンの月見カルボナーラ」をチョイス。こちらは麺が美味しいですね。もちもちグニグニと讃岐うどんのような食感であり、純粋なイタリア料理というよりは「香川一福(かがわいっぷく)」の創作うどんを食べているような気分です。
デザートとしてチーズケーキも付いてきました。以上のコース料理が5,480円で、ワインをいくらか追加してお会計はひとりあたり8千円ほど。味は悪くなく、酒は高くなく、お腹もいっぱいにはなりましたが、コースだと妙に炭水化物が多くPFCバランスが悪いため、やや物足りなく感じました。アラカルト注文もOKであり、自慢の野菜メニューをツマミにグラスワインを楽しむのが良いでしょう。ガッツリ食事というよりは、近所の人が0次会や2次会にサラっと寄っていくのがクールな使い方な気がしました。

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- 立飲ビストロシン サンテ(SHIN Sante) ←普段使いの最高峰。
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