エスパシオ ラウンジ(ESPACIO Lounge)/名古屋観光ホテル

1936年に開業した「名古屋観光ホテル」において、「ホテル・イン・ホテル」をコンセプトとし2020年にリニューアルオープンした特別フロア「エスパシオ」。客室は9〜11階、宿泊者専用ラウンジは最上階の18階に位置します。
ラウンジ内は白を基調とした明るく優雅なデザインで統一されており、大きな窓からは名古屋市街や下園公園のパノラマビューが広がります。「エスパシオ」としての客室数は50室ほどのようですが、それに比してラウンジは非常に広く、混雑を感じさせません。
15時からはアフタヌーンティータイム。一般的にエグゼクティブラウンジのアフタヌーンティーはそう呼称しているだけで、お茶と小菓子が雑に提供されるだけに留まることが多いですが、コチラはスイーツやセイボリーの種類が豊富であり、3段スタンドを自分でカスタマイズするスタイルがユニークです。ヴァシュランやマカロンなどややこしいスイーツもきちんと美味しい。
また、アフタヌーンティーの時間であってもシャンパーニュやクラフトビールを楽しむことができるのが嬉しいですね。シャンパーニュは飲み放題味でパっとしませんが、ラウンジでシャンパーニュを出そうという姿勢だけでも賞賛に値します。ちなみに肝心の紅茶はドイツの老舗ブランド「ロンネフェルト」社のものが用意されていました。
17時からはアペリティフタイム。小学生以下の利用は認められておらず、ホテルのラウンジとしてはトップクラスの静かさです。
料理も充実しており、酒のツマミはもちろんサラダやキッシュ、名古屋名物の手羽先などしっかり目のメニューも用意されています。素材の質も高く、夕食として充分に代用可能です。
アルコールは前述のシャンパーニュに加え、白・ロゼ・赤のワインに愛知県産の日本酒・クラフトビールなどが振る舞われます。ちなみに19時で「アペリティフ」は終了し「ナイトキャップ」へと移行するのですが、差分は温かい料理の有無のみ。純粋にのんびり酒を楽しみたい勢は「ナイトキャップ」の時間帯に訪れたほうが空いていて居心地が良いです。
他方、朝食はポンポコポンですねえ。サービススタッフは常にバタバタと目の前の作業に追われており全体が見えておらず、料理の補充も全く追いついていません。食べたい料理は常にスッカラカンであり、なんだか酒のツマミみたいなものばかり食べる羽目になりました。
ひつまぶし的なゴハンが用意されている設定ですが、それは常態的に売り切れており、「なんやねんいつも空っぽやんけ」「あいつ鰻ばっかり取りやがって」と他のゲストも皆イラついています。治安維持のために提供は止めた方が良いように思えました。やるならやり切れ。できないならやるな。
オーダー制で八丁味噌を用いたおでんや鮭料理なども注文できるのですが、そんな七面倒くさい取り組みを試みる前に、普通の朝食を普通に提供できる体制を整えて欲しいものです。もちろん名古屋風の料理を楽しんでもらおうという心意気は理解できるのですが、まさに「地獄への道は善意で舗装されている」という状況です。
客室の記事で記した通り、ハコそのものは欧米のブティックホテルに勝るとも劣らないレベルに達しているのですが、ソフト面はまだまだという印象。ぽい雰囲気は演出できており年配の方が旅館の代替として利用するのであれば悪くありませんが、外資系ホテルにおける洗練された対応に慣れたヤッピーたちには物足りなく映るかもしれません。おつかれさまでした。

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