ポワンエリーニュ(POINT ET LIGNE)/丸の内

ラールエラマニエール(l'art et la manière)という、銀座に有名なフランス料理屋がありまして、私の誕生日祝いで大変に不愉快な思いをしたことがありセルフ出禁を誓っていたのですが、用事で丸の内を訪れた際にたまたま系列のパン屋を通りがかったので、パン屋のランチであればトラブルもなかろうと列に並ぶ。
店名は「点と線」の意。「丸の内という東京の起点から、世界という線へ、MADE IN TOKYOのパンのおいしさを発信したい」というコンセプト。軒先に行列が2本あり、左がテイクアウト用、右がイートイン用です。

12時過ぎに訪れて5~6名程度の並びだったので、それほど待たずに入れるだろうと思いきや、店内奥にもさらに待ち行列があったようで、結果として30分以上待つことになりました。私は無限に暇なので特に気になりませんでしたが、私の前後に並ぶOLちゃんたちは、「あそこ席空いてるのにずっとほったらかしじゃない?片付け手伝うから早く入れてよ!」「ああー、もう始業まで間に合わないかもヤバイヤバイ」「あのテーブル、食べ終わったんならダベってないでさっさと出て行けよ」とムカ着火ファイヤー状態。
イートインのメニューはご覧の通り。自慢のパンは食べ放題で、その他、メインのプレートと、サラダ、ディップソース、食後の飲み物がつきます。1,500円均一であり、新丸ビルという立地を考えればそう悪くない価格設定でしょう。

ところでなぜか先に並んでいた私よりも後ろの3人組が先に店内に案内されました。たまたま3人が座れるテーブル席が空いたからなのかもしれませんが、私に断りもなしに店員が案内の順序を勝手に入れ替えるのはいかがなものか。実質的な待ち時間はそう変わらないのかもしれませんが、気持ちの良い対応ではありません。このあたりのホスピタリティの無さはラールエラマニエール(l'art et la manière)のエスプリを受け継いでいるのでしょう。
席に着いてからの手際はものすごく良いです。秒でお食事セットが到着し、その数分後にメインの料理が到着するという手筈になってました。
セットのサラダ。セットのサラダ味であり標準的な味覚です。
食べ放題のパンたち。オールスクラッチ製法という、「製造過程の短縮や冷凍生地を使用せずに、生地作りから成形、焼き上げまでを一貫して行う製法」を用いているそうな。ただしパン屋のパンとは普通そういうものだという意見もある。

味覚はフレンチレストランの食中に供されるパンのレベルと同等です。店頭にある旨そうなオカズパンなどは食べ放題の対象外であるためご注意を。
ディップソースは12時からオリーブオイル、玉子、ジャガイモ、オリーブ、蜂蜜、中央は何かのジャム。これは実に良い試みですね。自慢のパンをテイストを変えながらたっぷりと食べることができます
私のメインは金目鯛のポシェ。弱火でゆっくりと加熱された金目鯛がユルユルと柔らかく、その出汁のソースと共に食べれば円やかな味わいが創出されます。1,500円のランチで付随メニューが色々あって1,500円は極めてお得。ちょっとしたビストロであればこの1皿で2千円近く請求されてもおかしくないレベルです。
おかわりのパンはセルフにて。トースターもおかれているので温めることができます。先のディップソースや金目鯛のソースを活用し、かなりの量を頂きました。
食後の飲み物にはホットのカフェラテを注文。これが結構美味しくって、ランチのオマケのコーヒーのレベルを遥かに凌駕しており、きちんとしたカフェで出されるものと同等かそれ以上です。しかしながらあんなに行列が伸びているのに、客がゆっくりと滞在するような仕組みを取り入れて良いものかと不安になる。

オペレーションの悪さ、それに起因する待ち時間の長さには辟易しますが、座ってしまえばリーズナブルなお店です。休憩時間が限られた方の利用は難しいですが、時間に余裕のある方にとっては実に費用対効果の良いお店となることでしょう。入り口近くのテーブル席は列に並ぶ人々からの「早く食え、早く出て行け」という視線にさらされるのでお気をつけて。


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