apero. WINE BAR AOYAMA(アペロ)/外苑前

ラス(L'AS)行く時に看板を見かけて気になってたんだ」とのことで、AOYAMA346に入居するワインバー、aperoへ。このビルはカッコイイ飲食店やオフィスが入居しており、そふぃすてぃけいてぃっどされた青山感に漲っています。
何やこのオシャレな空間。めっちゃアガります。店主は夫妻なのかなあ、調理担当のフランス人女性と接客担当のフランス人男性。仏語英語はもちろんのこと、日本語もペラペラです。不思議と外国人の客が多く、海外旅行に来た気分。
5月でありながら30℃に達する暑い1日だったので、まずビール。よなよなエールがタップで置いてあるとはかなりのビール好きとみた。

ちなみに店名の「アペロ(l'Apéro)」はアペリティフ(食前酒)の略。フランス人の夕食は20時からが一般的であり、それだとおなかが空いてしまうので、18時頃に軽くつまみながらダベる傾向にあります。
メニューは全てiPad化されています。気になる料理をタップすると、料理の詳細な説明と、それにマッチするワインまで提案してくれる仕組み。ユビキタスだ!(違)と感激していると、「うーん、さっきまで仕事してきた身としてはちょっとキツいかな。もうディスプレイとか見たくない」と連れ。
テリーヌは厚さ2センチはありそうなものが2切れゴロンゴロン。ちょっとしたハンバーグ状態であり私得。ハーブや山菜(?)が練りこまれており興味をそそられる成り立ちです。

何かの弾みで六本木ヒルズのツタヤの話になったのですが、「ああ~、あそこはもう、ナンパスポットみたいになってるから行きたくないなあ」と彼女。ナンパ?本屋で?スタバで?そんな話、聞いたことないぞ。
細身のバゲットがコロンとカットされており食べ易い。滋味に溢れる生地の味であり中々に美味。

「ナンパ、すごくされるけどね。行けば100%声かけられる。この前なんて3人に声かけられたもん。入店時と、座ってのんびりしてる時と、帰り際。でもチャラついた男じゃなくて、きちんとスーツを着込んだ、でも絶対にリーマンじゃない、LEONみたいなオジサマが多いかも」彼女が港区を必要とする以上に港区は彼女を必要としているのだ。
夏の気配を感じ始めたのでロゼをボトルで。サンテミリオンのメルロですが、その出自とは思えぬほど軽やかな1本。ボトルのワインは5,000円代からあり、この立地この空間で飲むにしては絶対額が安いほうか。

「ねえ、言っていい?言っていい?覚悟はできた?言っちゃうよ?」カウンター横並びながら私に正対し、私の目を真っ直ぐに見つめて彼女は言う。「あたし、海外で働けることになった!」この報告は自分のことのように嬉しかった。私は彼女がアラツーの頃からメディチ家よろしく人生の応援団となり、彼女の海外を志向する経緯を世界中の誰よりきっと知悉しているため、これは語るほどにチープになる。それぐらい嬉しかったです。
キッシュも正統的な美味しさ。こう、家で作るには面倒な料理を1ピースから注文できるのってすごくいいですよね。フランスの風を感じる一皿でした。

「むこうでは普通に英語使って仕事する予定だから、焦っててさ。毎日23時まで仕事して、24時に家に着いて、そこから2時間スカイプ英会話。もう、全然時間無くって」こういうところが彼女の良いところだ。彼女は美しく、努力家である。
サラダにはブッラータ。ブッラータとはモッツァレラチーズにクリームが練りこまれたような感じのフレッシュチーズです。新鮮なチーズと濃厚なクリームが相俟って見事な調和を醸し出す。2,500円と高価ではありますが、まあ、海外製のチーズを日本で食べると輸送費やら関税やらでこんなもんである。それを考えるとベベカマクラの費用対効果は奇跡。
赤マテ貝のマリネだったっけなあ。味は悪くないのですが、貝そのものは4口ほどしかなくそれでいて1,000円近くしたような気がするのでやや割高。それを考えると先のテリーヌは思い切りリーズナブルであった。
デザートはヴァローナ社製のチョコレートを用いたガトーショコラ。ほんのりと温かく舌先でトロりと溶ける快感。妙な甘さはなくカカオの風味がはっきりとしており美味しかった。

僕だって頑張ってるんだぞと彼女にアッピールするため、お店の方にフランス語で話しかける。コンバンワ程度のカンタンな会話なのですが、連れは目を丸くし「何言ってんのか全然わかんなかった。やるじゃん」と、彼女が私に惚れ直した瞬間である。

それにしても、英語以外の言語は良いですね。文法も発音もめちゃくちゃで、適当に単語を繋げているだけなのにそれっぽく聞こえてしまうのが凄くいい。日本には英語ができる人が多すぎて、私程度の英会話力であれば日本人の前で英語を話すのは気恥ずかしく感じてしまうものですが、他の言語であれば色々とバレないのでハッタリがききます。
連れはクレマ・カタラナ。一口頂きましたが、スパイスの風味が響き面白いスイーツでした。

ビストロ部門においては久しぶりの大ヒットです。決して安いわけではなく、絶頂に達するほど美味しい料理かというわけではありませんが、胸がザワつく程のクールな雰囲気と非日常感は注目に値します。青山でオシャレに気軽に飲みに行くなら絶対にココ。女子ウケ間違いなし。ビールもある。オススメです。
「もうすぐ海外に行っちゃうから、いまさら日本で恋愛は無いなあ。男関係でがんばる気、失せちゃった」ピンク色の液体をクルクルと回しながら口を尖らせる彼女。

「出発は3ヶ月後だからね。それまで最低5回はデートしようね。向こうに行ったら絶対遊びに来てね。でもすぐには来ないでね。向こうで生活を自分のモノにして、あたしに自信がついてからにしてね」才色兼備を地で行く彼女がついに海外進出。寂しくないと言えばもちろん嘘になりますが、それ以上に私の人を見る目は間違いなかったという歓びのほうが大きい。

いいぞ、もっとやれ。うんと感じの悪い、魅力的な女になれ。幸せは後からついてくる。


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