宮川/麻布十番

名前から察するに、おそらく宮川系列の鰻屋さん。十番いちのパン屋であるポワンタージュお隣の1階です。
まさに地元の鰻屋さんといった風情。蛍光灯がキンキラキンに明るく、夜というよりはお昼のお店なのでしょう。
しかしながらランチメニューといったものは無く、卓上のグランドメニューから好きなものを好きなだけ注文するシステム。
うな重の梅を注文。3,000円です。食べる前から何ですが、やはり東京の鰻は高いですね。2017のAWはクジラのように鰻食べまくってきましたが、それを可能にしたのは名古屋という、鰻に対してリーズナブルな土地柄のおかげだったのかもしれません。
セットのサラダは鮮度がイマイチ。乾燥が進んでおり赤みまでさしており、人工的な味わいのドレッシングもピンときません。
小鉢の切り干し大根はやや調味が薄い。鰻というダイナミックな調味の料理を前にしては印象が薄れてしまいます。もっと大胆な味わいの小鉢のほうが私は好き。
肝吸いが美味しい。ベースとなる出汁の味わいがタフであり、肝もしっかりたっぷりと入っています。
真打登場。なるほど東京流のベーシックな調理であり、フワっとした食感が特徴的。また、ライスの一粒一粒に存在感がありパクパクと食べ進めることができます。
お漬物は自家製なのか、意思を感じる味わいで美味。

お会計はピッタリ3,000円。まあ、こんなもんでしょうか。十番という立地でこれだけのウナギを提供して3,000円というのは悪くない価格設定でしょう。しかしながら、やはりウナギという存在は食材として割高ですね。フグ・スッポン・ウナギ・マグロ、このあたりの食材を摂るといつも同じ感情を抱く。こればっかりは当店に責任はありませんが、やはりウナギは高いなあという印象を持ちました。


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2018年ベストホテル&レストラン

本年もご愛読ありがとうございました。毎年恒例、年末の総仕上げとして、ベストホテルとベストレストランを3つづつ挙げることとしましょう。

【ホテル第3位】
シェラトン・グランデ・オーシャンリゾート/宮崎
http://www.takemachelin.com/2018/09/sheraton.html
「該当なし」にしようかとも考えました。それぐらい私の美意識ギリギリにいるホテルです。2009年に滞在した際には感動に次ぐ感動だったのですが、さすがに2018年にもなると経年劣化が進み、どことなく古臭い印象が拭えない。クラブラウンジの飲食物もケチ臭く、全体的に家族向けに舵を切った印象。温泉の素晴らしさは相変わらずなのが唯一の救い。大規模なリノベーションを期待します。


【ホテル第2位】
リバーリトリート雅樂倶(がらく)/富山
http://www.takemachelin.com/2018/02/garaku.html
富山駅から車で40分と、僻地中の僻地にあるスモールラグジュアリー。「川のほとり、アートの宿」がコンセプトであり、沖縄の百名伽藍に似た雰囲気です。ジャパンを意識させつつも設備仕様は最先端で、まさに快適性に満ちた宿です。一番のお楽しみにはメインダイニングのレヴォ(後述)。レヴォでしこたま飲んでそのままお布団にダイブするというアクティビティとセットでの評価です。


【ホテル第1位】
Hôtel des Berges(オテル デ ベルジュ)/Illhaeusern(フランス)
http://www.takemachelin.com/2018/05/hotel-des-bergesillhaeusern.html
ミシュラン3ツ星を50年間維持し続ける奇跡のレストラン「オーベルジュ・ド・リル(L'Auberge de l'Ill)」併設の宿泊施設。ストラスブールから約60km南、人口約600人の小さな村イローゼン。柳の緑に囲まれ、コウノトリが飛び交い、白鳥が泳ぐ小川のほとりにあるスモールラグジュアリー。ここのスタッフは本当に感じが良いですね。おもてなしの心を見事に体現。フレンドリーながら失礼は一切ない。自然な笑顔で付かず離れず接してくれます。風光明媚な景色に身を委ね、センスの良い清潔な空間でゴロゴロと、何もしない贅沢。


【レストラン第3位】
ナベノイズム (Nabeno-Ism)/浅草
http://www.takemachelin.com/2018/03/nabeno.html
恵比寿のロブションのエグゼクティブシェフを11年務め、在任中はミシュラン3ツ星を堅持し続けた渡辺雄一郎シェフ。2016年、満を持して浅草の地で独立し、以来、レストラン業界の数多ある賞を総ナメ中。最新のミシュランでは2ツ星に昇格しました。

期待以上にドンズバでタイプな料理でした。革新的だが根本的に美味。また、美味しい・不味いの二元論だけではなく、何をどう考えて、何を主張したくて、何をどう調理したかが手に取るようにわかる構成がすごくいい。世界観がきちんとある。

独立時にはロブションの流れとは異なる革新性のため賛否両論あったようですが、先導するより追従する方が快適な料理界に一石を投じたシェフに、私は惜しみない拍手を送りたい。次回は夜にお邪魔させて頂きます。


【レストラン第2位】
レヴォ(L'evo)/富山
http://www.takemachelin.com/2018/02/levo.html
ホテル部門第2位「リバーリトリート雅樂倶」のメインダイニング。前衛的な地方料理ながら何を食べているかきちんと理解できる調理がいい。この皿の主題は何かと直感的に認知できる。ワインのチョイスは蛮勇そのものであり、所々ずっこける場面もあるのですが、記憶に残るという意味で意図的なのかもしれません。ペアリングなんてのは、ちょっとはみ出すくらいがちょうどいい。人里離れた場所にありながら、日本いや世界でもトップレベルのフランス料理店です。


【レストラン第1位】
ル・マンジュ・トゥー(Le Mange-Tout)/神楽坂
日本のフランス料理界を牽引してきた谷昇シェフ。ミシュランガイド東京発刊以来2ツ星を連続で取り続ける実力派。徹頭徹尾、素晴らしいお店でした。接客は完璧。料理は美味そのもの。皿出しのテンポも良く、とにかく居心地の良いお店です。客層も好きだなあ。予約困難性や高価であること、奇抜であることに価値を見出すゲストはひとりもおらず、健全な関係の男女が意味のある時間を過ごすためにこのお店を訪れています。私にとって大切なお店。今後も通い続けたいと思います。


秋川雅史との新春クルーズ、霧島、大阪、石川・富山、名古屋、京都、青森、GWクルーズ、関西一円、北海道、ミシュラン3ツ星を50年以上維持するフランスのレストランを巡る旅、愛媛、石垣島、バルト海クルーズ、宮崎、八丈島、ミャンマー、徳島、静岡、紅葉の京都・奈良、オーストラリアと、自分でも呆れるほど旅に出た1年でした。年々旅行の回数ならびに期間が長くなる傾向にあり、延べると年に3か月近く旅行に出ている気がします。家賃がもったいない。

それでもレストランにランキングをつけるとすると、結局日本のレストランが上位を占めてしまう。やはり私は日本人がつくる正確な料理が好きなのかもしれません。

ちなみに昨年のベストレストランは
でした。詳細はコチラ⇒ http://www.takemachelin.com/2017/11/2017best.html

来年も変わらずお付き合いして頂ければ幸いです。それではみなさん酔いお年をお迎えください。Bon appétit !


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。

麻布とさか/麻布十番

存在は知っていましたが、中々お邪魔する機会がなかった当店。突発的に「今夜行ってみるか」的なノリになりそのまま突入。
焼き台をぐるりとコの字型にカウンターで取り囲む内装。他の客の容貌が丸見えの、会話の内容まで丸聞こえなのが気まずいです。オシャレな雰囲気のわりに値段がそう高いわけではないので、若い付き合うか付き合わないかぐらいのカップル多し。
大根おろしと豆腐。この豆腐がレアチーズケーキのような食感であり、周りに塗されたナッツなど、面白みを見出しました。
前菜は鶏のテリーヌに味噌漬けチーズ。決して不味くはないのですが、普段フランス料理に浸っている私としては、量も少なければ味も中くらいという意味で、全然ピンと来ませんでした。あ、隣のニイチャンがタバコ吸い始めた。
手羽先のコンフィ。それなりに美味しいですが、世界の山ちゃんとの差は大きくは見いだせない。調理に時間がかかった割に期待外れな1本でした。
せせり。歯ごたえと脂身のパンチは良いものの、肉そのものの味わいは薄い。
そで。これは美味しいですねえ。墨のプワンとした食欲をそそる香りに脂身の甘さ、筋肉質な味わいと、本日一番のお皿でした。
サドル?「〇〇の〇の方です」と、スタッフが説明してくれるのですが、5回ぐらい聞きなおしても結局何を言っているのかわかりませんでした。そう、当店は客の大半が酔っぱらいで音量が大きい割に、店員がごく普通の声量であるため、普通のテンションでは会話が成り立たないのです。

肝心のお味は、アンドゥイェット的な臭いというか、下処理が上手くいっていない内臓のような味わいでちょっと無理でした。
なんこつ。これも全然美味しくない。スーパーの1本100円のそれと大差ありません。
ハラミ。本日出される焼鳥としては中間的な味わいでしょう。
食事は鶏を用いた小ぶりの寿司が2カン。なのですが、清潔感に欠ける店員が素手でぐにゃぐにゃと米をこねくり回すのを目の前で見せつけられると、どうにも食欲が減退してしまいます。前日にきちんとしたお店で鮨を食べたばかりだったので、余計にそう思えたのかもしれません。
鶏スープは死ぬほど熱いのですが、滋味や奥行き、複雑性といったものは感じられず、割にフラットなフレーバーでした。

以上、料理だけで4,000円。いくらなんでも高杉晋作です。つい先日に鳥しき系列の名店で似たような金額の料理を食べてきただけに、この費用対効果の悪さには顎が外れてしまう。サービスの所作もぎこちなく、なぜかタメ口の店員もいたりと、色々と違和感に満ち溢れたお店でした。


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麻布十番には日本料理店も結構多いのですが、割高であることが多いです。外すと懐が大ダメージを受けるので、信頼のおける口コミと、味覚が似た友人の感想に頼って訪れましょう。
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きりん屋/麻布十番

十番の裏路地にあるテイクアウト専門のカレー屋。30年近く営業が続いている老舗であり、十番において最も歴史のある飲食店のひとつです。
イートインスペースは無くお会計をするカウンターのみの店内。真っ白な壁にグリーンとスパイスが映え、瞬間、リゾート地にいるような気持ちになる。
どのカレーも1,000円近くと強気の価格設定。しかもライスは別売りの200円(ランチタイムは無料)。カウンターで注文を済ますとそこからルーを再加熱し始めるため、テイクアウトと言えどもそれなりに時間を要する。
おうちに帰って弁当を広げる。ルーはジップロック的な袋にキッチリと収まっており、ハコから漏れる心配はありません。
私の注文は「ナスと挽き肉のカレー 」。ランチタイムなのでライスは無料。950円です。
ルーというよりは茄子と挽肉をスパイスで炒めたものに近い。ビリビリと辛く自然と汗が吹き出します。が、あまり奥行きがないというか、大量のナスが単調に辛いだけという味わいであり、不味くはないが旨くもないという印象。
アチャール(玉ねぎをベースにしたサラダ)。こちらも夜だと別売りで200円。タマネギ特有の匂いと辛味が強く、生のタマネギを切っただけという味わい。
ライスはカレーに比べて量が多く食べ応えがあります。インドなどあっち系のお米ではなく日本米。いわゆる弁当屋のライスのそれと同等です。

うーん、これで950円はちょっと高いなあ。前日、相当にレベルの高いカレーを食べたばかりだったので、余計に割高に感じてしまったかもしれません。しかも夜だともっと高いのか。テイクアウトしかなく少し冷めてしまうのも難点。ちょっと使い道が読めないお店でした。


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カレーって美味しいですよね。インドカレーも日本カレーも大好き。ただしそれほど詳しいジャンルではなく、スパイスマニアには逆立ちしても勝てないので、意外性のあるオススメカレーをご紹介。

カレーにまつわる単語が辞典形式にまとめられ、知っていそうで全く知らないカレーエピソードがたくさん詰まっています。気合を入れてカレーを食べに行く前に目を通してから臨むと楽しさ倍増!

エピス(EPICES)/大門

大門は平日の街であり、土日のランチを実施していないお店も多く、通りも閑散としています。当店は裏路地にあるビストロであり、土曜日であってもランチを営業している貴重な存在。
13時近くにお邪魔したのですが、なるほど客は私だけである。ワンオペの店主と孤食の私。不思議な共犯関係がここにあります。店名の「エピス(EPICES)」とはフランス語で「スパイス」の意。
土曜日のランチは1,000円のパスタランチのみ。魚か肉のパスタをどちらか選び、サラダとスープならびにドリンクバーは自動的に付帯します。
サラダがすごくしっかりしています。葉物野菜を中心に生ハムがひらひら、加えてたっぷりのヨーグルトソース。1,000円のパスタランチでここまで手の込んだ前菜を出せるお店は中々ありません。サービス的な位置づけのランチであっても、料理人としての矜持をきちんと感じる。この時点で、ちょっと夜にもお邪魔したくなりました。
野菜の味噌クリームスープ。見るからに旨そうであり、実際に美味しい。スープストックのそれと同等かそれ以上の出来栄えです。くどいようですが、1,000円のパスタランチのオマケとしては大門トップクラスのクオリティでしょう。
パスタはサーモンとしめじのオイル系を注文しました。麺は乾麺で茹で加減は完璧。量は150グラムほどはあるでしょうか、巷のOL向けパスタショップの大盛以上の迫力があります。魚もゴロゴロと気前よく入っており食べ応え抜群。プレゼンテーションも興味深い。良いパスタです。
他方、パンは全然美味しくないですね。そこらへんのコンビニで買ってきたような味わいであり、これなら出さないほうが身のためかもしれません。
コーヒーはドリンクバーの淹れ置きなので、まあ、ドリンクバー味です。もちろん1,000円のランチなのであまり贅沢は言ってはなりません。
リーズナブルで納得感のあるお店でした。平日のランチであればプレートランチがあるらしく、それも美味しそう。グラスワインも豊富で、アラカルトメニューも充実。これはちょっと一度夜に来てみたいなあ。近所にあったら重宝しそう。こういうお店、すごく好き。


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