森本/渋谷

どういうビジネスモデルなのかはよくわかりませんが、amazonのkindleで東京カレンダーを無料で読むことができます。その中で、東京カレンダーらしからぬハードボイルドなお店が特集されたので、俄然興味が沸いてくる。
そのお店の名は森本。創業69年の老舗。マークシティ脇、京王井の頭線西口出てすぐにあります。なんとも味のある店構え。「ご飯ものはございません」という注意書きが焼き物に対する矜持を感じます。
なんとかラスト2席に滑り込むことができました。17:30だというのにこの集客には舌を巻く。客の半分はおひとりさまという気軽なお店。ガイドブックか何かで紹介されたのか、外国人のゲストがかなり多いのが面白い。ものの数分で待ち行列が生じ始めていました。
生ビールで乾杯。なのですが、1杯700円近くと店構えの割には強気の価格設定です。
とり刺し。若干乾燥しているのか光沢が失われスーパーの刺身のような色合いでした。味はまあまあ。非常に清澄というか、プレーン過ぎて鶏そのもののコクに乏しかったような気がします。
レバ刺し。こちらも先と同等に非常にクリアな味わい。食べ易いと言えばそれまでですが、レバ刺しの美点が損なわれてしまっているような印象すら感じました。
砂きも刺し。刺身シリーズでは最も心象が良かったのがコチラ。パワフルな味覚に純朴な塩での味付けが心地よい。
うなぎのきも焼き。濃厚で芳醇。やや脂が抜け過ぎのきらいはあるのですが、この価格でこの味覚は合格点といったところでしょう。
つくね。タマネギがたっぷりと練りこまれた、一風変わったつくね串です。シンプルな塩焼きなのですが、その割には素材そのものの味が濃いというわけではなく、どっちつかずの味わいでした。この程度の鶏肉であればデロデロのタレ焼きにして卵黄で食べてしまうほうが私は好きです。
合鴨。野趣溢れる味わいであり、噛み締めるたびに肉の旨味が味蕾を刺激します。ピーマンを刺してしまう思い切りの良さもグッド。本日一番の串でした。
ねぎ。ネギマシュランとしては至福のひととき、と言いたいところですが、コチラもネギそのものに深みは感じられる、そこらへんで買ってきたネギを切って焼いただけのような味覚でガチしょんぼり沈殿。
銀杏と軟骨。これらについても普通中の普通であり、先のネギと印象は変わらず。

これだけ食べて3杯酒を飲んで、ひとり5,000円でした。店の雰囲気や料理の味そのものを考えれば割高です。これならもう少し電車に乗って床島に行ったほうが満足度は断然高い。

また気になったのは料理を出すテンポ。客の食べるペースなどはお構いなしに、焼けたものからドンドコドンドコ出してくるので、当然に客の取り皿の上で串が渋滞するのです。味の濃いものの後に薄いものが出てきたり、終盤に刺身が出てきたりと、あまり客の食体験を向上させるという意識に乏しいような気がしました。それでも当店にお邪魔したい方は、一気に注文するのではなく、少しづつ注文しながら自衛を心がけましょう。


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私はヒールからスニーカーまでイケるクチです。三ツ星店もいいけど、場末の飲み屋街も魅力的。
おひとり様大歓迎の名酒場100軒を掲載。ひとり客の割合・男女比・ビールの値段などを「酔い処早見表」として整理されており読み易いです。紙媒体だと1,000円近くする本が、Kindleだとたった500円でお買い得!

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