ヴィノ・ヒラタ (Vino Hirata)/麻布十番


クチーナ・ヒラタという十番の老舗店があるのですが、個人的にはそれほど記憶に残ったわけではない。したがって、関連店であるヴィノ・ヒラタ についてもあまり期待はしていなかったのですが、結論から言うと素晴らしいお店でした。
伝統的な雰囲気のあるクチーナ・ヒラタと異なり、当店はあくまでモダン。スタイリッシュな空気に満ち、オトナがカッコよくワインを飲むお店に見えます(写真は食べログ公式写真より)。
男3人での訪問なので当然にボトルで進みます。医者がぐるりと店内を見渡し、「やはり麻布の女は質が高いですね。私が住んでいる神楽坂も悪くは無いのですが、大学生みたいなガキもウロついているもんで」なるほど確かにその筋の女性が極めて多い店内。ペタンコの靴や胸をした女の子はひとりとしていません。
アラカルトも充実しているのですが、我々は5,000円のコースをチョイス。お苦手な食材はございますか、と店員に尋ねられ「シイタケが苦手です」と答えるシイタケ嫌い。「え!?も、もしかして、あなたが、かの有名なシイタケ嫌いさんだったのですか!」と腰を抜かす医者。このやり取りなんかわろてもうた。
石ガレイのカルパッチョにパルマ産生ハム。イタリアンではカレイを生で良く食べるのでしょうか、ここの所カレイが続きます。ご多分にもれず華麗なる味わいであり、生ハムの塩味とコクを合わせて気楽に美味しい一皿でした。
パンは工夫を凝らしたものを複数種。フラットなバゲットからオカズにもなりそうなものまで色とりどりであり実に美味しかった。

「見てくださいよあの女。ミロのヴィーナスみたいなオフショルですよね。あいつは絶対に実家暮らしじゃないな。あんな服装で家を出と、親に怒られるはずだもん」
鰯と青唐辛子のスパゲティが旨すぎる。直接材料費はすごく安いのに。料理って魔法だなあ。男3人、無言でむしゃぶりついてしまいました。「これは旨い。最後の〆にもう一皿食べたくなりますね」
メカジキのパン粉焼きケッカ載せ。ケッカとは冷たいトマトソースです。トマトソースというものは酸味が強く素材の味を邪魔することが多いのですが、当店のそれはバランス良し。トマトの新鮮さがひしひしと伝わって来、サクサクと軽快に揚がった魚にベストマッチ。フィレオフィッシュの40倍美味しいです。
「そうそう、今、男性の不妊治療は主に産婦人科で取り扱っているんですが、近々それが泌尿器科に移される予定なんですよね。バブルが来ますよ、コレは」と、不妊治療領域を専門としなかったことを悔やむ医者。

「不妊治療って儲かるんですよ。みんなすがる思いで来ているから、いくらでもお金を払う。本当は1発で子供ができるのに、何回かわざと失敗して金を巻き上げてるタチの悪い医者もいます。まあ、最後にはキチンと妊娠させるんで、患者の満足度は高いのですが」ちなみに不妊治療のすぐ隣の部屋では中絶手術が行われていることが多いとのこと。世も末だ。
琉球ロイヤルポークの網焼き(写真を撮り忘れたので『料理王国レストランガイド』より引用)。この豚肉も軽やかでいいですね。全くクドさや臭みを感じさせることはなく、罪悪感を全く感じさせることがありません。ワインも先の白ワインで充分でした。
「そういえばこの前、誰かが『最近のタケマシュランは医者としか飲まない』って悪口言ってましたよ」うーん、よくわからない誹謗だなあ。私は職業と付き合っているのではなく、その人となりと一緒になって遊んでいるだけなのに。

私は昔からこのような謎の批判を受けることが多いのです。大学生の頃は「あいつは可愛い子としか話さない」と、サークル内で総スカンを喰らったりもしました。寿命は限られているのだから、美人から優先して付き合って何が悪い。芸能事務所だってそうしてるのに。そして10数年経った今、私の周りには美人しか残っていないので、私の勝利である。
デザートにはカンノーリとゴールデンキウイのシャーベット。カンノーリとはシチリアでとっても有名なお菓子であり、小麦粉ベースの生地を筒状に揚げ、その中にリコッタチーズ主体のクリームをたっぷりと詰め込んだものです。カンノーリの美味しさはさることながら、シャーベットが予想していた通りのキウイ味で濃密。
カプチーノは朝飲むものだとは第三次ミトリダテス戦争の頃から決まっているのですが、飲みたいものは飲みたかった。以上、3人で3万円。ひとり1万円と非常にリーズナブルな夕食でした。

ふとすると、シイタケ嫌いが買ったばかりのスマホ一心不乱に操作する。おまえさ、友達と会ってるときぐらいツムツムやめたら?と非難すると「あ、ツムツムやってるんですか!?懐かしい!」と予想外にノってくる医者。「いやあ、昔はよくやりましたよ。30万円ぐらい課金したかなあ

「俺は課金とかには絶対に手を出さない」と謎の意地を張るシイタケ嫌い。「ツムツムの課金なんて安いものですよ。この前ハマったゲームなんて、60万円も課金しちゃったんだから」なるほどゲーム会社が儲かるわけだ。私のポートフォリオにゲーム株を組み込むことを決意。個別銘柄を買うのは嫌だから、世界のゲーム業界全体に投資するファンドとか無いかなあ。


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麻布十番はイタリア料理屋も多い。ただし、おっ、と思えるお店は少数です。個人のお店のランチが狙い目ですね。
東京カレンダーの麻布十番特集に載っているお店は片っ端から行くようにしています。麻布十番ラヴァーの方は是非とも一家に一冊。Kindleだとスマホで読めるので便利です。