東洋軒/栄(名古屋)


東京の赤坂に東洋軒という、ナリサワ監修の素晴らしい洋食屋があるのですが、その系列店が当店。大分の東洋軒とは全く関係がないのでご注意を。
名古屋三越の9階に入居しており、通し営業であるのが嬉しいですね。この日は16時過ぎというヘンな時間だったので、ご覧の通りガラガラで手術室のように静かでした。ライチタイムにはお得なセットメニューなどがあるようです。
簡明直截にスペシャリテの「ブラックカレー」のみを単品注文。それでもたった1,000円であり、松阪牛100%を使用した「プレミアムブラックカレーライス」にアップグレードしたとしても僅か2,100円です。
カレーソースはソースポットに注がれて供されます。見た目は良いのですが、これ、器にたっぷりとソースがへばりついてしまうので、完食することができず口惜しい思いをしてしまう。そもそもの調理していた鍋からソースポット、そして皿へと歩留まりの悪さを案じてしまいます。
ライスは宮内庁の献上米とかそんな感じに大変ありがたいものであり、その名に違わずライスだけで滅茶苦茶に美味しいです。これが老舗の風格である。
漬物もぬかりなし。ラッキョウが特に美味しかった。
さて本題のプレミアムブラックカレーライス。ブラックとまでは言えないものの、凝縮感のあるこげ茶色のソースです。テラテラと輝く脂の膜が松阪牛の品の良い味わいを期待させます。

香りは甘い。タマネギ由来の甘味のほか、果物の甘味や牛の脂の甘さもところどころ見え隠れ。インド料理のような切れ味の鋭いスパイシーな雰囲気はなく、いわゆる日本の洋食屋のカレーです。
アタックにも甘さが目立ちます。松阪牛のコクを野菜や果物の甘味で包み込み、味覚の奥でスパイスで締まりを見せる。これは旨い。もちろん東京の東洋軒でも同じ印象をうけたのですが、あちらはコース料理の〆に供されるので満腹感との闘い。当店は空っぽの胃袋にダイレクトに投入することができるので、その美味しさは東京の何倍もに感じました。

肉は薄切りタイプで結構な量が入っており、体感では100グラム近くあります。ナニワヤで松阪牛が100グラム1,000円程で売られていることを考えれば納得感のある値付けでしょう。

完璧なカレーを完璧な形で生みあげた一皿でした。スガラボでの〆カレーをゆうに超え、人生でトップクラスに美味しいカレーに位置づけられます。食後の皿をなめまわしたい衝動に駆られてしまう。お会計は税別で2,100円。こんなに投資対効果の高い2,100円があるか?幸せな気分で東京に帰る私(写真はJR東海より)。
新幹線でリクライニングを倒したら後ろの席のオッサンからドコドコ蹴られて、車掌にやべー奴が後ろに居るんスけど、と相談すると、デッキにおいて3者面談が開催されました。

オッサンは「オレはパソコンをしたいんだからリクライニングを倒すな!」と、机をたたきわるような激しさで言う。私は落ち着いて「それは仕様です」と返し、車掌からの判決文も「それは仕様です」。

気の毒な方である。新幹線に乗るたびに辛い思いをしているんだろうな。毎度前席がリクライニングを倒すか倒さないかでイライラするだなんて神のご加護があまりにも少ない人生。「リクライニングは倒れるものだ」と受け入れたほうが出張がもっと彩り豊かなものになるだろうに。

オッサンはブツブツ言いながら車掌のご好意により座席を変わって行きました。新しい座席の前席の方がリクライニングシートを倒していませんように。


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