メイ/五反田

先日「ハトを食べたことが無い」という方がいらっしゃったので、皆でいかにハトが素晴らしい食材かを熱弁したのですが、我々の表現力に問題がありいまいちピンと来てない様子だったので、「解せぬなら、食わせてしまえ、ハトポッポ」という運びとなりました。

ハト料理と言えばすぐに頭に浮かぶのが当店。予約の際に「初めてハトを食べる方がいるので、よろしくお願いします」と入念な打ち合わせ。
露払いは当然にシャンパーニュ。ボトルにしようかと考えていたのですが、1杯1,300円と格安だったのでグラスでお願いしました。
アミューズは左からニンジンのムーズに天使エビのアワアワ、イカのスープに牡蠣のフリット。牡蠣に歴然とした旨味が捻じ込まれており潮が響く。唯一の欠点は酒を呼び過ぎてあっという間に泡が乾くことである。
慌ててマコンのシャルドネへ。悠長な味わいでリーズナブル。
カリフラワーのババロワに青海苔とアサリのジュレ。赤貝・セイコガニ・ズワイガニ・ウニがポヨンポヨンに閉じ込められています。兎にも角にも海の香り。前菜からフルスロットル。
バケットと
バターは特に工夫は無く標準的。
フォアグラのポワレにはリンゴと金柑を合わせる。リンゴは透明な存在であまり印象に残らなかったのですが、金柑の特徴的な香りがフォアグラの脂と一心同体となり、さらにはマディラのソースが優しく落ち着ける。ピンクペッパーのアクセントも心憎いです。
金目鯛のミキュイ。ポーションが小さいというか、身が薄いので残念ながらミキュイという調理法の良さが出ていなかった気がします。ソースはアメリケーヌ。料理の説明を受けた際には鯛にアメリケーヌなんてケイン小杉で大丈夫かいなと心配したのですが、想定外に上品なソースで悪くない取り合わせでした。
樽がバリバリのボルドーの白で攻めに行く。
ミルクパンは結構しっかり焼いたもので、いわゆるミルクパンとは赴きが異なって面白かったです。正統派ミルクパンの最高峰が東洋軒でウェルター級だとすると、当店はもう少しバターをきかせてミドル級と言ったところ。どちらもそれぞれの良さがある。
ダダーン!ボヨヨン!ボヨヨン!本日の主役、鳩山総理の登場です。フランスヴァンテ産仔鳩胸肉の岩塩包み。
思わずあすなろ抱きしたくなる桜色の身体。食べる前から断定できる、コレは絶対に美味しい。岩塩に練りこまれたハーブの香りが店内を満たし昂奮が湧き上がる。
欲望に対して真っ直ぐの味わいで完璧。パーフェクトです。ガルニチュールにも一切の手抜きはなく、ハトの完璧な美味しさに理路整然と寄り添う。ハト初体験者も「鶏肉みたいな白い肉じゃないんですね、野生的」いいぞ、理解は賞賛の始まりだ。
前回お邪魔した際に併せて頂いたものとは異なるものを。こちらは中々に好戦的な味わいでハトを受け止めるというよりはより強く引き立たせる存在で素晴らしかった。
お待ちかね、焼き鳥屋メイ。当店はメインの食材を2種類の趣向で用意してくれるのです。手羽元に手羽先、串に刺さるはレバー・心臓・砂肝。これぞ食物のアップサイクル。ハトのみを食べる国があれば当店のシェフは間違いなく王様になれるであろう。
胸肉の柔和な味付けと打って変わって塩をガリっときかせているので、当然におかわりだ。
アヴァンデセールには洋梨のスープ。滑らかに冷えており、絹のようなシャーベットです。
メインにはイチゴとバナナとホワイトチョコのエスプーマ。直線的でわかり易く素直に美味しい。パイナップルが隠れていたんですが、ここのシェフ、パイナップル、好きなのかな。
ミニャルディーズにも手が込んでいる。徹頭徹尾きちんとした料理店。
エスプレッソを入念に頂いてごちそうさまでした!

正午入店、16時退店。休日の円満な使いみち。何度来ても素晴らしい。大満足です。

私は「五反田のメイは良いよ」とグルメ仲間に言いふらしまくっており、その後訪れたかた全員から「確かに良かった」と賞賛を受けているお店です。なんというか、ブロートウェアが何ひとつ無いんですよね。ここまで断捨離を徹底して得意分野に集中できる勇気は尊敬に値します。オススメ。


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