レストランゼルコバ/勝沼


勝沼のワイナリー、ルミエール併設のレストラン。ワインタクシーを用いた行動範囲では、メルシャンでの軽食と、ゼルコバでしか食事を摂るチャンスは無いため、自然と予約で満席になります。
雨予報でも律儀に革靴とジャケット着用でお邪魔したというのに、パーカーにスニーカーで斜めがけバックのオバハンどもよりもランクの低い席に案内され悲しい気持ちになりました。予約先着順のある意味フェアな店なんだ、と自分に言い聞かせる。
 テーブルコーディネートを一言で表現すると、ダサい。妙な素材のクロスを敷くぐらいなら取っ払ってしまえば良いのに。
 ともあれ、ルミエールのスパークリングで乾杯です。コチラは安旨で良いですね。
 マスのリエットに自家製ピクルス。前者は旨味が強くパンチがあってグッド。後者は悪くないのですが、さすがに量が少なすぎでしょう。こんな量なら出さなくて結構です。
 サラダはレタスにベビーリーフ、梨と柿とチキンにパルミジャーノ。「何も言わなくていいわ、キミの考えていること、手に取るようにわかるから」と連れ。いや、別に不味くなんてないですよ。でもね、こんな家庭料理、ワイナリー併設のフレンチレストランでプロに作ってもらってお金を払って食べるもんじゃないとも思うんです。
 丸いパンは普通。コーンブレッドはボソボソしていてイマイチでした。
 復刻して農家に特別に作ってもらっているという古代小麦(?)を用いたヴルーテ。旨味に乏しく溶いた片栗粉を飲んでいるかのようでした。サツマイモが妙にどっしりとしていて無駄に腹が膨れる。
 近場で養殖しているマスのポワレ。うーん、普通だ。上手く表現できません。
コチラも程よく安旨です。さすが日本人、きっちりまとめてくるなあ。

ところで当店は11:30と13:00の2部制なので、クリスマスの給食方式で料理が提供されるのです。それだけで興ざめなのに、他のテーブルと調理タイミングが同期されているのか、メインディッシュが待てど暮らせど届かない。前の皿を食べ終わってから20分以上経過してから到着したメインディッシュがコチラ。
甲州ワインビーフのロースト。一口目の印象は硬い。なのですが、肉の中心部に辿り着くと程よい肉の甘味と食感が融和し結構やるじゃないか。

結論は出た。肉の中心部だけ出して欲しい。ポーションはともかく、端っこの硬い肉は全体の評価を下げるだけだと思うのです。それからヴルーテと言ったりポワレと言ったりローストと言ったり言語に統一性が無いのも気になりました。
 合わせるワインはルミエールが造るテンプラニーリョ。おおー、日本でもこのブドウ、造ってるんですね。自分が思い描いていた味とはちょっと印象が違ったのですが、これはこれで面白かったです。
 デセールはドングリのパウンドケーキにブランデーのアイス。パウンドケーキのドングリ比率が妙に高く不思議な気分。アイスにはコクが無く物足りない一方で、風変わりな味が混入。スタッフに確認すると「ジンジャーとクローブその他たくさんです(キリ」との堂々たる回答。うーん、これなら信玄餅アイスをそのまま出してくれればいいのに。

連れは余程のことが無い限り、食事を残すということは無いのですが、パウンドケーキをほぼ全て残している。具合でも悪いのかい、と尋ねると「美味しくないわ。このお店は私を出来の悪いイベリコ豚にでもするつもり?」。
「韮崎でエイジングされたコクテル堂のコーヒー」と仰々しいものですが、普通です。やはり大言壮語するのは良くないですね。黙って「ブレンドコーヒー」とだけ記しておけば誰も文句言わないのにな。

山梨の食材を多用したコースに仕上げていることは評価できるのですが、いかんせん美味しくない。それでも周りにライバルがいないから1人勝ちで、しばらくこのスタンスを変えるつもりも無いでしょうね。

一通り食べると90分以上要します。ワイナリー巡りの貴重な時間が削られることを考えれば、お弁当持参でメルシャンの芝生で食事を済ますのが一番かな、と思いました。



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