アンビグラム/広尾

ドンチッチョのスタッフが2年ほど前に独立したお店。天現寺。50代、40代、30代のオッサングルメ会でお邪魔しました。オッサンばっかでお店の雰囲気を壊しはしないかと心配したのですが、杞憂。オッサンばっかのお店です。オッサンだけのテーブルとか普通。しかもみんな食べ込んでる感があってオッサンながらにカッコイイんです。
 まずはシチリアのスプマンテ。なんか変わった味でした。
 ニジマスにマイワシ。ニジマスは正直スシローのサーモンと大差ありませんでしたが、ソースに光るものを感じました、マイワシは独特の苦味と旨味がクセになる味で素晴らしい出来。
 パンは普通。フォカッチャは良い意味でオイリー。結構好き。
 ヴェルメンティーノ、シャルドネ、ソーヴィニヨンブランを混ぜたもの。青臭くて野生的。
 この皿最高!まず、香りが良い。チーズとトリュフ、種々のキノコ。見た目の卵も素晴らしい。食べる前から味を類推でき、実際に食べても期待通りの味。
 リングイネをアメリケーヌソースで。それほど甲殻を感じることはできませんでしたが、なんとも絶妙な柑橘とチーズの香り。センスいいなあ。茹で加減も完璧。この時点でここのシェフはホンモノだと確信。
ホロホロ鶏もエエ味出てるわー。しつこいかもしらんけど茹で加減もちょうどええ感じでさあ、オレほんま今日この店予約して良かったって思ったわ。と、突然関西弁のタメ口になるぐらい美味しいです。
スペシャリテの仔牛の塊肉。むはっ!原始人の骨付き肉状態!こういう肉が実在するのかと子供のころは半信半疑でしたが実在し、ひいては金さえ払えばいつでも手に入る。大人って素晴らしい。
ガツン系を狙ってタウラージ。うおーうめー。ブラックベリー、プルーン、凝縮感。ひいてはチョコレートのニュアンスまで!これこれこういうの飲みたかったの。
先ほどの肉塊を取り分けてもらうと、何とも屈託のない切り口。見た目も味もアニョードレ(生後間もない乳飲み仔羊)のよう。シンプルにローストしただけですが、文句なく美味しかったです。
「もうちょっと食べましょうか」という結論となり、お店の方に相談。え?まだ食うのかよ、と店員が一瞬ひるんだのが面白かったです。そう、我々はチームナリサワ、10,000キロカロリーを超えたあたりからが勝負なのである。追加したのは猪肉の赤ワイン煮込み。前述のワインと気味が悪いほどマッチする。涙が出るほど感激しました。単品だと肉塊のほうが美味しいけれども、ワインとタッグを組むと猪の勝ち。食事って楽しい。
ドルチェは結構な種類があったので、「みんな別々のを選んで、つつきあいましょうか」と、つくづくチャーミングなオッサンたちである。ミカンのタルトは生地にコクがあり美味しかった。
クレマカタラナ(プリンみたいなやつ)は卵の風味が強くて良い。カラメルの苦味を足し算で美味しい。
イチゴのスープ。うわーこれ絶対OL好きだわー。程よい酸味で華やかな気分に。
ロゼのスパークリングワインを注ぎ、より一層チャラいドルチェに。
オッサンなので、コーヒーではなく食後酒。グラッパが5種類ぐらいあったのでこちらもバラバラにお願い。
ただし、私はグラッパなど度数強い系には疎く適切なコメントができないので意見を表明しない。
酒類全般幅広く語れるとカッコイイのになあ。

都内ではトップクラスのイタリアンです。華美な内装ではありませんが、客層が上質でとても都会的な雰囲気を作り上げています。料理は基本の基本をおさえており正真正銘美味しいものばかり。しかもアラカルトで注文できるのが最高。欠点が何ひとつ無い。オススメです。


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十年近く愛読している本です。ホームパーティがあれば常にこの本に立ち返る。前菜からドルチェまで最大公約数的な技術が網羅されており、これをなぞれば体面は保てます。


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アップタウン/東銀座

パイセンがタイ赴任することになり慌てて壮行会。会の2日前に「オマエ飲み屋詳しいんだろ予約しとけよ8~10人で20時から東京駅近辺。あ、22時以降もバラバラ来るから」。なんちゅう無理難題。てゆーか僕、今、高松にいるんですけど。さすがに東京駅近辺は23時に全部閉まるので、場所だけは銀座とさせて頂きました。
 私は人生で1度も遅刻したことがなく、当日も30分前に着いてしまったので、近くのファミマで立ち読み。15分前に私と似た感覚の連れも偶然ファミマに現れたので、先に乾杯。SPAを熟読していたことはバレていないはず。
 カリフォルニアなんとかサラダ。凡庸かつ量が少ない。
 コブサラダ。これも量が少ない。コブサラダって量だけが取り柄なのに。
 スパークリング1杯と生牡蠣2ピースで1,500円と悪くないディールだったので注文。
 だがしかし牡蠣の味が薄くアウト。普段の牡蠣会のレベルの高さを再認識。
 非常にクリア。クリアすぎて印象なし。
 オイスターシューター。私はアンチョビマヨネーズ味を頂く。こちらはソースが濃厚で良かったです。
 カラマリ。油が悪くベチャっとしてる。身も小さい。
 コッポラのワイン。話題先行と思いきや、意外にも好きな味でした。
 ピザは
 数種注文しましたが、いずれも小さく美味しくない。
 パスタの味も推して知るべし。
 ここでお金を使うべきでは無いと判断し、最も安いワインへ移行です。
 フィッシュアンドチップスもケルヒャーで一掃したくなる味でした。
大勢でお邪魔すると色んな種類飲めるのがいいですね。

というわけで、というわけなお店でした。まあ、冒頭挙げた条件で美味しくリーズナブルなお店なんてこの世に存在するわけもなく、突然の予約でも大人数を受け入れ可能であったということが当店の価値なのでしょう。

ただ、今回の使い方も間違っているような気がします。カウンターでカキ2ピースとビールを飲んで、カクテルを2杯飲んで1時間で5,000円払って帰る。これが正しい使い方なんでしょう。食事の味がどうのこうの言う私が野暮。すいません暗い話して。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。


うどん県

7年ぶりのうどん県。 夜は酒やら鮨やらですが、日中はとにかく麺尽くし。

■つばめ家/瓦町
 別記事に詳しく記載しましたが、小豆島の特別な素麺を使用したジャージャー麺はイマイチ。
なぜかボンゴレビアンコも。普通です。


■麺八/香西
 人力で破壊できそうなプレハブづくりのうどん屋さん。雰囲気あります。昼のみの営業で、大将が気の向いた時だけに大声で発する「ありがとーーーぅぅっ」が、ラーメン二郎三田本店に似ています。
 ぶっかけ。麗しきツヤとコシ。讃岐に来たなあ。まだまだ全然食べれる胃袋なので、もう一杯。
 一方で、カレーうどんは凡庸でした。妙に小麦粉を感じる。ぶっかけ240円で、カレー570円はとても納得がいきませんでした。


■ドーミーイン/瓦町
 21:30~23:00限定で無料提供している「夜鳴きそば」。どうせ美味しくないだろうとタカをくくっていたのですが、連れが絶賛していたので試してみると、悪くないじゃないか。適当に入ったラーメン屋で600円払ってコレが出てきても納得するレベル、。
 朝食にはうどんがあります。こちらもはなまるうどんと同等。やるな共立メンテナンス。


■馬渕手打製麺所/太田
 空港へお送り頂けるついでに「有名店がある」とのことで。セルフサービス方式。レジで食べる玉数を伝え勘定を済ませ、その後は煮るなり焼くなりコロ助ナリ。人生で初めてうどんを茹でたかもしれない。
 ツユやらなんやらも全てセルフ。2玉注文しましたが、色々と味を変えながら楽しむことができるので飽きませんね。
 エビ天、鶏天、共に100円。これほんとに商売成り立つの?ウチの近所のスーパーなんて、エビ天だけで300円近くするのに。

■空の駅かがわ/高松空港
 「蛇口をひねればミカンジュース」に完全に乗っかって、うどんダシ。
 意外にも美味しい。

■はやし家製麺所/高松空港
 飛行機まで時間があったので、コーヒーの代わりに一杯。
 釜玉うどん。注文すると、「釜玉ですかー!今あげちゃったんですよねー!今から茹でるので、10分お待ち頂けますか~?」と、10分待ったのですが、その間他の客の注文はドンドコドンドコ出していたので、釜玉うどんは何か特別なモノなのでしょうか?誰か教えて下さい。


■讃岐ラウンジ/高松空港
 ANAラウンジは無いとのことだったので、カード会社共用のラウンジへ。みんながみんなココに集まるから人口密度が高くなり、かえって落ち着かない。
屋上は広々として、ベンチもたくさんあって、気持ちが良かったです。空港で働く人々がめいめい気分転換に訪れており、牧歌的で居心地が良い。ここでビアガーデンやりたいな。

鮨舳/瓦町

鮨舳。「すしとも」と読みます。
 清潔感溢れる店構えと若い店主。そう、お店の雰囲気がいいんですよね。大将もおかみさんも気さくでコミュ力に溢れていてリラックスできる。東京の高級店の謎の緊張感、あれは何なんでしょう。

ところで、このあたりの鮨屋はネタの質のみで勝負してくるお店が多く、江戸前は珍しい。その評判が評判を呼び、予約困難店に成長し、ついには2回転営業に。
 香川の地酒、凱陣。芳醇な旨味でクラクラする。外人好きそう。
 オコゼの刺身。歯ごたえが強いのは良いですが、肝心の魚の味が薄く、ピンと来ません。
 アイナメ。上品な脂がほどよく乗ってE感じ。
 ガリはペラペラオのものではなく、ショウガを丸ごと漬け込んで目の前でスライスしてくれる。これだけで立派な一品として成立し得る。
 イサキ。旬の短い魚をピタリと出してくれるのが嬉しいですね。
ナゴヤフグ。初めて食べました。猛烈な歯ごたえかつ溢れ出る旨味。参りました。こんなに素晴らしい食材があるだなんて。
 アオリイカ。細く長く切り通したイカたちを優しく握る。ただ、先ほどのナゴヤフグの食べ応えが衝撃的すぎて、アオリイカの味も歯ざわりも記憶に留まりませんでした。
 蒸しアワビ。むっはー!なんじゃこのワガママボディ!何もつけずにひと口あたり50回咀嚼。永遠に続く旨味!ウマーミー!!!!
 キモも上品に濃く、日本酒にピタンコです。
 トリガイ。こちらは別に普通でした。トリガイって常に周縁的な存在。
 サクラマス。川魚のマスが川でいじめられて海に追いやられて、美味しくなって帰ってきたらしい。いいぞもっとやれ。いじめろ。どっしりとした脂のシャケとは異なり、繊維の一本一本にまで脂が溶け込んでいるような錯覚。
 煮ハマグリ。トリガイとは一転、素晴らしい仕上がり。肉厚でジューシイ。ヒモの歯ごたえ。
 マナガツオを酒粕につけたもの。マナガツオってあまり好きな食材じゃないのですが、ここでは絶妙な魅力を感じました。
 マナガツオの皮の部分を炙って握る。シャリも赤酢に。憎らしいほど旨いのです。
 ガリもどんどん切ってくれますよ。
 シャコ。手前がメス。奥がオス。違いは良くわかりませんがいずれにせよ美味。歯にシコシコって貼りつく感じが面白い。
 広島の地酒、亀齢。先ほどの日本酒をよりフルーティにしたもの。女の子好きそうこのお酒。
 赤身のヅケ。説明不要。ヅケは正義。漬正義。
 本マグロの「はがし」。スジをはがしたものですな。見てくれは良くないものの味は確か。
 同じく「はがし」の大トロの部分。甘えたくなる妙味。
 コハダは特筆すべき点はなし。普通でした。
 ノドグロを炙ったものを芽ねぎと共に。ノドグロって高級魚と言われる割には実はそんな高くなくて美味しくもないよなあ、と、常々考えていたのですが、当店のそれは跳ね上がるほど美味しかった。今まで食べてきたノドグロとは何だったのか。
 今シーズン最後のカキ。程よく水気を抜いて凝縮させており素晴らしい。
 近海物の紫ウニ。ちょこんとゴハンを盛ったかと思うとウニの山。幸せを具現化したもの。
 こちらは函館の紫ウニ。エサが異なるので味わいも変わる。申し訳ないですが函館のほうが美味しかったりして。
 アナゴ。ビジュアルは良いのですが、やや期待ハズレ。まあクールダウンと考えることとしましょう。
一方で、タマゴは上品な甘さがきいており素晴らしい出来でした。

以上、非常にレベルの高い江戸前鮨をおなかいっぱい食べて、銀座の半額。感激しました。近海物と旬の物で攻めてくるあたりが憎いですな。

ただ、なんとも困った店である。いかんせん東京からは遠すぎる。香川に用事なんてそうそうない。そういう意味で、大のお気に入りではあるものの、人生であと数回も来れないんでしょうね。つくづく困った店である。

1クールのレギュラーより1回の伝説。常連にはなれないものの、今回の味わいを記憶に留めておきたいと思います。ごちそうさまでした!



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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。


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