ラ リューン/麻布十番

前回からそれほど間をあけずに再訪。好きなんです、クラシックなフレンチ。
 アスパラにゴボウのパウダーをつけて食べる。ゴボウのパウダーはよくわからんが、アスパラ自体はこっくりと甘い。ところでこの残ったパウダーってどうするんでしょう。スプーンでザラザラーって食べるのもアレなんで残してしまうのですが。
 相変わらずたっぷりのリエット。美味しいなあ。ケチなビストロだと、これだけで1,000円ぐらい請求してくるもんね。
 おなじみの卵。初回はビビってしまいましたが、
 手馴れたもんである。
 タイムを散りばめるこの余裕。レモンビネガー、美味しいからもっとちょうだい。
 ウニ、カボチャのムース、ナスにコンソメのジュレ。前回と全く同じなのですが、当店のスペシャリテとみなして良いでしょう。まず、ウニが間違いなく美味しい。そしてカボチャのまろやかさが舌を包み込み、ナスの野性味で〆る。それぞれが主張している一方できちんと調和している絶妙なバランス。うまいなあ。
 ラディッシュをパイで包んでガブリ。若干パイが脂っぽいのが残念。
 桜エビを練りこんだクッキー。意外と、といえば失礼なのかもしれませんが、何とも不思議に美味しかった。なんかねエビのカリっとした核みたいなのがイケてるの。ブルボン的に大量生産すれば当たると思う。
 フォアグラのポワレにアーティチョーク、サマートリュフ、ハマグリ。フォアグラにハマグリって面白い。旨味の強いハマグリと控えめ気味なフォアグラが仲良しこよしなんだ。
 前回はニンジンのスープでお見事!でしたが、今回はタマネギのスープでお見事!ここのシェフは野菜を甘くする裏技を知っているに違いない。
 メインはシャラン鴨にピーナッツのソース。ピーナッツかぁ。ありそうでないなあこのソース。私は初めてカモ。絶品である。鴨も期待通りの味。ただちょっとナイフの切れ味が悪かった。ライオールであれば無条件で良く切れると盲信している私がいけないのだけれども。
デセールはイチゴちゃん祭にトンカ豆を散らしたもの。トンカ豆ってここ2~3年で突然普及しましたね。あのセクシーな香り、たまんない。

いやあ、今回も大満足。派手ではありませんが確実に美味しい。守りのレストランです。ただ、前回とほとんど皿が重複していたのが残念。次はしばらく間をあけて、ジビエの季節にお邪魔することとしましょう。

http://tabelog.com/tokyo/A1307/A130702/13002869/

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東京カレンダーの麻布十番特集に載っているお店は片っ端から行くようにしています。麻布十番ラヴァーの方は是非とも一家に一冊。雑誌なので売り切れ注意!

ナリサワ/青山一丁目

「高級レストラン"また行きたい"偏差値」という記事において、当ブログ開始以来、首位を守り続けているナリサワ。The World's 50 Best Restaurantsで2013年度は大きく順位を下げましたが、2014年は世界14位、アジア首位に返り咲きました。こういう順位の変動があったのであれば、やっぱ行きたくなってしまう。グルメ大臣とグルメ夫妻、そして私の4人でお邪魔することに。我々以外のお客様はほとんどが外人。当店は世界と戦っているのです。
恒例の森のパン。前回お邪魔した際のテーマである「森」が継続しているとのこと。「前回といくつか皿がかぶるかも」と事前にお伝え頂いており、なんとまあCRM。軽くセールスフォース入ってます。
暑かったのでシャンパーニュを一気に飲み干してしまう。左の白ワインは、日本にある200年も続くワイナリーのものだと。日本が江戸時代からワインを作っていたとは!
森さん。左上の水は木のエキスがなんとかって言ってたけど正直よくわからんかった。その他、葉っぱとか全部食べれるのですが、味があんまりしないし食べづらいしで意図は理解できず。
鮎はド直球。シンプル。香りと苦味が良い。
岩ガキもシンプル。なんか昔よりも尖りが無くなって、よりわかり易い料理になったように思えます。
アジ。これはびっくりするほど美味しかったなあ。当店は料理の説明はきちんとしてくれるのですが、素材の説明については意外とそっけない。なのにこの質。とんでもなく上等なものを使用していると推察。レストランにおいて、素材の産地や希少性を前面に押し出してくる店は、料理総体としての自信の無さのあらわれと私は捉えているので、当店のスタンスは非常に好ましく思えます。
さて、このあたりからワインはなんだったかすっかり覚えていないぞう。
森のパンが焼きあがる。何度食べてもこのパンは感動的に美味しい。もはやパンというよりもひとつの完成された料理と言えるのではないのでしょうか。噛み締めるほどに甘みが染み出し、飲み込みたくない。
普通のパンは普通です。森のパンを10個ぐらい食べたいな。
エレン・イェーガー
ではなく、イカ料理。液体窒素の「炭」のパウダーがヤリイカの熱で溶けていく。前回のほうが肉厚で複雑な苦味があった気がするのですが、個体差なのかもしれません。
ワインはちょいちょい冒険を挟んでくれるので、一杯一杯がすごく楽しい。
賀茂茄子で祇園祭のイメージした絢爛たる一皿。う、美しい。
想定外にここで赤。
海老。これは殻までバリバリいけるのですが、殻自体にはそれほど旨味は残っておらず、一方で、身自体の甘さは脊髄反射で美味しさを感じてしまうレベル。感激です。
いよいよ覚えてない。
フグをシンプルに揚げたもの。紙でつつんでモスチキン的に手づかみで食べる。もはや何料理なのかわからん。そういえば、この前までミシュランによる分類では、当店は「コンテンポラリーフレンチ」とされていたのですが、2014年からは「イノベーティブ」となっており、フレンチという枠組みで測るべきではないと公式に認められました。
私は美味しいものであれば無限に食べることができ、無限に飲むことができるのである。
魚介や豚(だっけ?)などから抽出したスープにアワビ。これも非常にわかりやすく、胃袋にストレートにおさまる。うめぇ。大ジョッキで欲しい。
ところで皆さんはワインを飲む際、胴体と脚、どっちを持ちますか?日本人の99%は脚をちょこんと持ちますが、私は胴体をガツンと持ち、外人のように安定させて飲むのがカッコイイと信じ込んでいるのです。当食事会においても、「○○さん(私の名)はアメリカ人持ちですねぇ」とバレてしまい、やはり温度を保つためにも脚を持つべきであるとの指摘を受けました。しかしそれでも私は胴体を持ち、ガブりと飲み続ける。なぜならブラピがそうしているから。あと酔っ払ってくると、折ってしまいそうで怖い。
豚肉!見て見てこの色!職人芸!すごく柔らかいんだけれども歯ごたえがあるという矛盾。広がる肉本来の旨味。抜群です。
飲んで
飲む。
赤ムツ。これは料理単体というよりも、ワインとの調和に昂奮。
〆の赤。これがモロタイプで、肉をほんの少し食べ始めたぐらいで飲み終えてしもた。それでもソムリエ様がすぐさまトクトクと継ぎ足して下さってああもう天国。
メインはハトにサルミ(内臓)ソース!最後の最後でこれまでの「イノベーティブ」をひっくり返し、「ど」トラディショナルな調理!参りました。ピカソがまともな絵を描けば病的に上手いのと同じ原理。ため息が出るほどパーフェクトな火入れ。滲み出る肉汁。皮目に残る旨味。ありがとうございました。
プレデザート。
シャカシャカシェイクした何かを注いでくれました。ただ、正直ハトで完全に舞い上がってしまい、あんましコレ、覚えてませんすんません。おや俺は悪くないハトが悪い。ポッポー。
おおおおおお!メインのデセールまでクラシック!ヨーグルトのアイスにスフレ。柑橘でさっぱり。
とろけるというか消えてしまうというか、筆舌に尽くしがたい繊細な舌触り。こうなってくると、イノベーティブ専門店とクラシック専門店を分けて出店して欲しい。そして私は後者へ向かいたい。
ミニャルディーズはお好きなものをお好きなだけ方式ですが、
恒例の「全部くれ」。しかもオッサン3人とも「全部くれ」。舌がどうのこうのというよりも、屈強な胃袋と肝臓の持ち主であることが、グルメの前提条件なのかもしれません。カヌレが特に美味しかった。
食後は梅酒?梅ワイン?梅をワインに漬け込んだもの。
ここのマカロン大好き。みんな楽しい。
フィナーレはヨーグルトのお酒。ごちそうさまでした!

いや、ほんともう、やっぱ好きだわオレこの店。たまんない。前回は奇抜かつ美味ということで、私の食事史に衝撃的なデビューを飾りましたが、今回は「クラシックもイケるんやで」ということで惚れ直してまうやろ。ちなみにグルメ夫は11回目の来店ですって。ここまで人を魅了するパワー。

うーん、私にとって世界最高のレストランはやはりナリサワですね。しかしエッジが効きすぎて、好みはハッキリと分かれ易いレストランだと思います。現に食べログのポイントは大して高くない。このベタ褒め記事を読んで行きたくなったからってすぐに行くんじゃなくて、食べログで低評価な人のレビューを読み込んで、色々と事前に納得してから臨むのが良いでしょう。

いやー、それにしても幸せな時間を過ごせました。感動的。人生って最高じゃん。心からそう思わせてくれるお店です。何か嫌なことがあった時は、素敵な女性と当店に来るだけで、なんかもう悩み事とかどうでも良くなると思うんだ。

また来ます。必ず。

以下、グルメ夫妻にワインの写真を頂いたのでメモ的に。最初のシャンパーニュは欠落。














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「結局、一番良いレストランはどこなの?」と結論を求められた場合は即答でナリサワ!と回答しています。訪れる度に新しい発見がある世界最高のレストラン。


「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。